住宅ローン基礎知識 繰上げ返済

繰上げ返済 期間短縮型の注意点

住宅ローンの「繰り上げ返済」には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類ありますが、一般的に繰上げ返済といえば「期間短縮型」をいい、利用している方が多いようです。
ところが、「返済額軽減額」には無い、「期間短縮型」特有のリスクがあるのです。

1.住宅ローン減税が受けられなくなる

住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した人が、借入当初から10年間、年末のローン残高のうち一定割合の範囲で税金が軽減される制度です。
「期間短縮型」の繰り上げ返済をしたことにより、完済予定日が融資実行日から10年未満となった場合は、その年の年末から住宅ローン減税が受けられなくなります。

2.老後破産となる危険

住宅ローンは、可能な限り定年退職前に完済したいもの。
しかしながら、住宅購入当初や子供の教育費負担との兼ね合いから、住宅ローン返済月額を少なく抑える目的で、35年の長期ローンを契約する方も少なくないでしょう。

このように定年退職後も返済が続くような場合は、「期間短縮型」の繰り上げ返済を積極的に行い、定年退職前の完済を目指すことと思われますが、このような場合にこそ注意が必要です。
計画的な繰上げ返済の予定が、計画通りに事が運ばない場合も想定しておくべきです。

例えば、繰上げ返済をした結果ですが、次のどちらの事例が定年退職後の老後生活に大きな影響を与えるでしょうか?

繰上げ返済の種類 住宅ローン完済時年齢 毎月の返済額
期間短縮型 67歳 10万円
返済額軽減型 77歳 5万円

「期間短縮型」の繰上げ返済を行った結果、完済時年齢は前倒しで来ましたが、定年退職(65歳)以降、のこり2年ではありますが、毎月の返済額が10万円続きます。 「返済額軽減型」の繰上げ返済を行った結果、完済時年齢の前倒しはできませんでしたが、定年退職(65歳)以降の毎月の支払いは、当初の半分にまで減っています。

たとえ、定年退職後に住宅ローン返済が長く続いたとしても、毎月の返済額が低く抑えられてさえいれば、老後の生活も安定するのではないでしょうか。
定年退職後の生活資金で重要なことは、住宅ローンの総返済額ではありません。
目先の生活費です。毎月の家計支出が少なければ、生活していけるのです。

一度だけの繰上げ返済であれば、「期間短縮型」が効果的ですが、継続的に行う場合はその限りではありません。
「返済額軽減型」で繰上げ返済すると、毎月の返済額は少なくなります。
そこで、先月よりも少なくなった返済差額を、更に繰上げ返済に廻せればどうでしょう。

結果として、「期間短縮型」で繰上げ返済したときの利息軽減効果と同じ程度の効果を得ることは可能になります。さらに「返済額軽減型」を繰り返すことで、「期間短縮型」で繰上げ返済したときと同じ時期に完済することも可能です。

繰り上げ返済のリスクや仕組みについて十分理解し、賢く利用して下さい。

中村 諭(なかむら さとし)
中村 諭
住宅ローンソムリエ(R)、ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
貸金業務取扱主任者、オールアバウトガイド

千葉県市川市生まれ、「税理士・FPなどの専門家も相談にくる」住宅ローン・アパートローン専門のFP事務所を経営。
新聞、雑誌、ラジオ出演、講演、執筆と幅広く活躍中。

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