住宅ローン基礎知識 新規借り入れ
住宅ローンといえば、金利が気になるはず。住宅ローン金利の種類は、大きくわけて「固定金利」と「変動金利」の2種類です。
さらに、おさえて欲しい金利として「基準金利」と「優遇金利」が挙げられます。
住宅ローンを組んで支払う利息は、「基準金利」から「優遇金利」を引いた後、つまり値引きを受けた後の金利が適用されます。あまり聞かない「優遇金利」ですが、実はとても重要なポイントです。
金融機関はさまざまな手段を使って「お金」を集めます。例えば、銀行は定期預金などの利息を支払って、「お金」を集めています。そして、その調達コストに銀行の経費などを考慮して、さらに将来の市場金利動向に合わせて、集めて来た「お金」に金利を付加して融資しています。
つまり、「金利」は各金融機関が独自の判断で決定しているため、金融機関によって「基準金利」は異なります。この独自に決めている「金利」を各金融機関の「基準金利(店頭金利)」といいます。
また、「変動金利」「固定期間3年」「固定期間5年」「固定期間10年」「全期間固定」など、銀行にはさまざまな種類の住宅ローンが用意されています。したがって、銀行で取り扱っている住宅ローンの種類だけ、「基準金利」は存在します。
住宅ローンの申し込み者が各金融機関で定められている一定の条件を満たす場合に、「基準金利」から一定の割合を引き下げた金利で融資を受けることがあります。引き下げた後の金利を「適用金利」と呼び、引き下げ幅の金利を「優遇金利」といいます。
この「優遇金利」には「全期間優遇タイプ」と「当初期間優遇タイプ」の2パターンがあります。
借り入れ当初から返済終了まで、全期間にわたり「優遇金利」の引き下げ幅が適用されるタイプです。
「2年固定金利」などで当初借り入れ期間が経過した後も、優遇金利幅が変わらないため長期間にわたって低金利で利用しやすい優遇タイプです。
しかし当初期間優遇タイプと比べると、当初借り入れ期間の優遇金利幅は小さくなっています。
(例)
固定金利選択型(2年固定)住宅ローン、1.25%(当初期間優遇)の例
基準金利(2.65%)、優遇金利(全期間:▲1.40%)
全期間優遇タイプ
借り入れ当初の一定期間、「優遇金利」の引き下げ幅が適用されるタイプです。
「2年固定金利」などで利用する場合、当初2年間の期間が終了すると優遇金利の引き下げ幅が小さくなります。そのため、借り入れ期間全体で見ると全期間優遇タイプより返済額が大きくなる可能性も。
ただし、返済途中で借り換えなども検討していく予定がある場合には、おすすめの優遇タイプといえます。
(例)
固定金利選択型(2年固定)住宅ローン、0.55%(当初期間優遇)の例
基準金利(2.65%)
優遇金利(当初期間:▲2.10%、当初期間終了後:▲1.0%)
当初期間優遇タイプ
もし、住宅ローンの返済を2ヵ月連続して遅延してしまった場合には、ペナルティとして「優遇金利」は取り消されます。「優遇金利」がない住宅ローンでは、今後「基準金利」の利息を支払い続けなければなりません。
「優遇金利」が使える条件や取り消される条件は、各金融機関によって異なります。そのため住宅ローンを申し込む際には、よく聞いて理解しておくことが大切です。
※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)