住宅ローン基礎知識 新規借り入れ
住宅ローンを借りるときに、金利のタイプについて「変動金利」と「固定金利」のどちらにすべきか、多くの方が悩むでしょう。
そこで、今回は住宅ローンの「変動金利」「固定金利」と「ミックスローン」について、解説します。
固定金利と変動金利それぞれのメリット・デメリットは、以下表のとおりです。
メリット | デメリット | |
変動金利 | 金利下降局面に強い 一般的に固定金利より金利が低い |
金利上昇局面では損をしやすい |
固定金利 | 金利上昇局面に強い | 金利下降局面では損をしやすい 一般的に変動金利より金利が高い |
上記表からわかるとおり、将来的に金利の上昇を予想した場合は固定金利を選び、金利の下降を予想した場合は、変動金利を選べば問題ないはずです。
しかし、将来の金利動向を予想することはハードルが高く、固定金利・変動金利のどちらが得かを決めることは難しいでしょう。
実際のところ、ここ10数年にわたり「金利は底だ」と言われてきましたが、日本では2016年にマイナス金利が導入されるなど、これまでの常識で予想することは困難な状況です。
そこで、変動金利か固定金利を選べない方におすすめの住宅ローンが「ミックスローン」です。
ミックスローンでは、変動金利と固定金利の2本にわけて契約します。2つの住宅ローンを組み合わせているため、リスクを軽減できるメリットがあります。しかし、金融機関の選び方が難しくなるデメリットも。
ここからは「ミックスローン」の特徴を解説します。
ミックスローンは、変動金利と固定金利など異なるローンを組み合わせる住宅ローンのタイプです。そのため、仮に金利が上がってもリスクはおさえられ、金利が上がらなければ、低金利の恩恵を受けられます。さらに、ローンの割合を50:50以外からも選べることがメリットです。
住宅ローンを2つにわけることで、「変動金利の住宅ローンを先に完済する」など、目標設定が容易になり、計画的な繰上げ返済が可能になります。
各金融機関には「変動金利」「固定金利」のどちらに強いかという特色があります。
ミックスローンの場合は2つの住宅ローンを組み合わせるため、金融機関の特色を活かした選び方ができず、中途半端な銀行選びになることがデメリットです。
ミックスローンのメリットとして、金利上昇リスクをおさえられ、低金利の恩恵も受けられることを挙げました。ただし裏を返せば、2つの住宅ローンそれぞれのメリットを最大限に活かせられないことになります。
リスクは減りますが、その分メリットも減るため、ローン完済時にメリットを最大限に享受できたとはならずに、後悔が残るかもしれません。
ミックスローンは2本のローンになるため契約書が2枚になり、印紙税も2倍に。そのため、2倍の経費がかかることがデメリットとして挙げられます。
なお、住宅ローン契約時にかかる具体的な費用として、以下が挙げられます。
・印紙税
・抵当権設定登記費用
・ローン事務手数料
ただし、例えば6000万円のローンを2つにわけることで3000万円ずつにして、1枚あたりの印紙税費用を下げることは可能です。とはいえ、2つの合計額は1枚のときよりも高くなり、抵当権設定登記費用やローン事務手数料も2倍になります。
金融機関によっては2本にわけた住宅ローンでも、所定の用件に従うことで、1枚の契約書で済む場合があります。1枚の契約書で済めば、収入印紙や登記費用も1本分で問題ありません。
また、住宅ローン契約の場面では、多くの書類に住所や氏名を書く必要があります。この作業が軽減されることも嬉しいでしょう。
※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)