住宅ローン基礎知識 借り換え
住宅ローンの借換えを検討する場合は、「目的」によって、取るべき対策が異なります。借換えを行う主な目的として、以下の3点が考えられます。
【借換え目的】
毎月の返済額を下げるためには、次の方法があります。
現在契約している金融機関より、金利の低い金融機関へ借換えをすれば、毎月の返済額を下げられます。
近年ではネット銀行を筆頭に、低金利で住宅ローンを組める金融機関も増えていえるため、選択肢の幅は広がっています。
特に金利の高い時期にローンを組んだ方は、一度検討してみてもよいでしょう。
単純に返済期間の長いローンへ借換えれば、毎月支払う返済金額を下げられます。
しかし、この方法を選択した場合、毎月の返済額は下がりますが、返済期間が長引くので、その分、金融機関へ支払う金利の合計額が増加します。
総返済額が増加することを理解したうえで、毎月の負担を減らすことを優先すべきか、よく考えて決める必要があるでしょう。
総返済額を下げるためには、次の方法があります。
毎月の返済額を下げる方法と同様ですが、現在より低い金利に借換えることで、総返済額を下げることが可能です。
残りのローン期間が長ければ長いほど、現在より低い金利へ借換えることによる総返済額の削減額が大きくなります。
したがって、長期のローンを組んでいる場合は、早い段階での借換えが有効です。
住宅ローンは期間が長いほど、金融機関へ支払う金利の合計額も増えます。
そのため、金利が大きく変わらなければ、現在より返済期間の短い住宅ローンへの借換えによって、総返済額を下げることが可能です。
ただし、返済期間を短くすれば、毎月支払う返済額は上がりますので、慎重に検討しなければなりません。
金利上昇リスクをおさえるためには、次の方法があります。
変動金利型で住宅ローンを組んでいると、半年に1回、金利の見直しが実施されるため、金利上昇リスクがつきまといます。
しかし固定金利型のローンに借換えると、変動型よりも金利が高くなるケースが多いですが、金利上昇の心配がなくなります。
ただし、固定金利型にも全期間固定のタイプと、5年、10年など一定の期間を設定するタイプがあります。
全期間固定の場合は金利上昇に左右されることはありませんが、期間を設定するタイプの場合、設定した年に金利の見直しが実施されるので注意が必要です。
全期間固定型でない場合、基本的に金利上昇リスクは避けられません。しかし現在より低い金利に借換えることでリスクを軽減できます。
現在、住宅ローンの金利は、1%を切る金融機関も珍しくないほどの低水準です。その中でもネット銀行は、特に低い金利で借りられます。
ただし、ネット銀行には「審査が厳しい」「事務手数料が高い」などのデメリットもあるので、特徴をよく理解したうえで検討することをおすすめします。
住宅ローンの借換えは、以下3つの条件にあてはまる場合にメリットがあります。
なぜ、この3条件が満たせないと、効果がないのでしょうか。なぜなら、住宅ローンの借換えには、相当な費用が掛かるからです。
※諸費用の内訳、金額は金融機関によって異なる
例えば、「残り期間10年、ローン残高1000万円」の住宅ローンを借換える場合、およそ50万円の借換え諸費用が必要です。
この50万円を上回る効果がないと、借換えをするメリットがありません。
しかしながら、金利差が1%に満たない場合でも、「ローン残高が多い」「残り返済期間が長い」場合には、充分に借換え効果があります。そのため、まずは住宅ローンの借換えシミュレーションサイトなどで、試算してみることがおすすめです。
借換えの目的はいくつかありますが、総返済額を減らすための行動であれば、まずは金利を下げることが挙げられます。
例えば「変動金利の住宅ローン」から「変動金利の住宅ローン」など、同じ金利タイプ間の借換えであれば、現状のローンよりリスクはなく、以下のように借換えの効果があります。
毎月の返済額は現状維持程度で問題なければ、返済期間を短くすることが可能です。
毎月の返済額をおさえられますが、一方で、将来的に金利が上昇するリスクを含んでおり、必ずしも総返済額が減るとは限りません。
異なる金利タイプによる借換えでは、持合わせるリスクも変わるため、単純に両者を比較することはできないものと考えましょう。
ただし、近年では日本の住宅ローン金利が長期に渡り低金利の状態を維持していることから、金利上昇リスクを不安視する見方は、以前より減少傾向にあります。
実際、住宅ローンを組む場合、固定金利型より変動金利型を選ぶ方が年々増加している状況です。
とはいえ、将来的な金利の動きを完全に予想することは不可能なので、目先の金利や返済額だけにとらわれてはいけません。
長い目で本当に住宅ローンを借換える価値があるのか、じっくり考えて取り掛かることをおすすめします。
※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:清水 みちよ(宅地建物取引士)