住宅ローン基礎知識 新規借り入れ
住宅ローンを借りるときに、決めなければならない事項の1つが「借入期間」です。
金融機関によって異なりますが、一般的には1年以上35年以下(フラット35は15年以上35年以下)の中から自由に選択できます。
ただし、申し込み時年齢によっては、35年を下回る期間しか選べないケースもあるようです。
借入期間例[フラット35の場合]
15年以上(ただし、本人または連帯債務者の年齢が60歳以上の場合は10年)以上で、かつ、次の「1」または「2」のいずれか短い年数(1年単位)が上限となります。
つまり、このフラット35の場合は、45歳未満の人なら、35年ローンが組めることになります。
「短い期間で借りる」「長い期間で借りる」のどちらにも、それぞれメリット・デメリットがあります。
総返済額を少なくすることが望みであれば、可能な限り短い期間で借りて、早く完済するとよいでしょう。
しかし、その分毎月の返済額は高額になります。
毎月の返済額を抑えた家計のやりくりを重視するのなら、可能な限り長い期間で借りることです。
一方で、金融機関に支払う利息は多額になるため、老後の生活資金に影響を与える可能性があります。
【返済期間が長い場合】
メリット |
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デメリット |
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【返済期間が短い場合】
メリット |
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デメリット |
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(例)3000万円、元利均等返済、金利2.0%、ボーナス返済なしの住宅ローン[単位:万円]
返済期間の考え方は幾通りかありますが、選び方に正解はありません。
判断の基準はあなたの「ライフプラン」です。
人生の3大出費といわれる「住居費」「教育費」「老後の生活資金」を併せて考えましょう。
・「教育費」負担が大きいときに、無理のない家計の資金繰りはできそうですか
・「老後の生活資金」が足りなくなるような、現役時代の生活にゆとりがあり過ぎではないですか
上記のようなことを勘案したうえで借入額を決めることをおすすめします。
繰上げ返済の方法は金融機関によって異なりますが、毎月、小まめに繰上げ返済ができる金融機関もあります。この場合は、長い「返済期間」で契約していても、結果的に後から「期間を短縮」することは可能です。
なお、最初に短い期間で契約し、後から「契約期間の延長」を金融機関に依頼することは困難な点には注意が必要です。
住宅ローン控除の適用要件には、「借入期間が10年以上あること」というものがあります。
このため、まず借入期間10年以下にすると住宅ローン控除の適用を受けられなくなる点に注意しなければなりません。
また、返済途中で繰上げ返済をして、合計の返済期間が10年以下になるとその時点で住宅ローン控除の適用は受けられなくなります。
そもそも、住宅ローン控除では住宅ローン残高の1%について控除を受けられるため、住宅ローン金利が1%程度であれば金利負担分はほぼないことになります。
たとえば、35年等の長期で借りて、最初の10年を金利負担がほぼない状態で借りて、10年経過後に一括返済するといった方法も有効でしょう。
※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)