住まいのコラム

初めての一人暮らしで失敗しないコツは?
まずやること・必要なものリスト

最終更新日:

監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
初めての一人暮らしが決まったらまず何をすればいい?
まずは一人暮らしに必要な初期費用を確保し、毎月支払えるだけの家賃の予算を決めましょう。初期費用は、一般的に家賃の5~6ヵ月程度のお金がかかるため、前もって貯金をしておく必要があるでしょう。物件選びは前もって決めた家賃の予算に収まる物件の中から、エリア、居室の広さや間取り、設備などを考慮して選びましょう。

進学や就職を機に、初めての一人暮らしを始める人は大勢います。実家を離れて過ごす自由な時間への期待に胸を膨らませる人も多い一方、一人暮らしを始めるための準備に不安を抱える人も少なくありません。

今回は初めての一人暮らしの準備項目をリスト形式でご紹介します。上手に新生活をスタートさせられるよう、本記事を参考にひとつずつ準備を進めましょう。

初めての一人暮らしでやることの流れ

一人暮らしのスタートは、今までに存在していなかった新しい世帯を作ることを意味します。今までの生活にはかからなかった出費への備えや、生活を送るために必要な家具・家電の用意など、さまざまな準備をしなくてはなりません。

一人暮らしをする前にやらなければならない準備は、主に以下の項目に分類されます。

(1)一人暮らしにかかる費用を把握する
(2)物件を探す
(3)引越しの準備を始める
(4)必要なものを揃える

それぞれの項目を、一人暮らしスタートから時系列でリストにすると以下のようになります。

時期 やること
一人暮らしをすると決めた時 一人暮らしにかかる費用を把握する
一人暮らしスタートの2ヵ月前 物件を探す
一人暮らしスタートの1〜2ヵ月前 引越しの準備を始める
一人暮らしスタートの1ヵ月前 必要なものを揃える

それぞれの項目でやることを確認し、漏れがないように新生活のための準備を進めましょう。

(1)一人暮らしにかかる費用を把握する

一人暮らしにはさまざまな費用がかかります。特に初期費用はまとまったお金の準備が必要です。

初期費用は家賃5〜6ヵ月

一人暮らしをスタートするにあたり、最初に考えたいのが初期費用の準備です。入居するまでに必要なお金である初期費用は、住みたい物件やエリアによって金額が変わります。

入居の条件は物件ごとに異なるため初期費用の金額も変わりますが、一般的には入居する物件の家賃の5~6ヵ月分がかかるといわれています。

初期費用の内訳

入居時に必要な費用の項目は、一般的に次の内訳となっています。

・敷金(0~3ヵ月分)
・礼金(0~3ヵ月分)
・入居月の日割家賃
・入居月の翌月の家
・仲介手数料(0.5~1ヵ月分)
・火災保険料(1~2万円)
・鍵の交換費用(1~3万円)

上記の費用のほかに、家賃保証会社へ支払う保証料が発生する場合があります。近年の賃貸借契約においては、連帯保証人の代わりとなる家賃保証会社との契約が一般的になりつつあります。保証料は契約時に固定費を払うケースと、毎月家賃と一緒に家賃数%分の保証料を徴収するケースの2つです。

なお、上記の費用には業者に荷物を運んでもらうための引越し費用は含まれていません。自前のトラックなどを使って運ぶ分には必要ない費用ですが、引越し業者を利用する場合には、家財道具の量や物件までの距離によって数万~数十万の費用が必要です。

敷金・礼金

敷金・礼金は、物件によって金額設定が異なります。それぞれに家賃2~3ヵ月分を設定する物件もありますが、一般的には敷金・礼金合計で家賃2~3ヵ月分程度に収まることが多いでしょう。

敷金・礼金の概要や相場について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

敷金・礼金を簡単にわかりやすく解説!いつ払う?返ってくるの?

入居月の日割家賃

入居時には、当月および翌月の家賃を同時に支払う必要があります。当月分は日割で計算されるため、仮に4月16日に入居した場合は、4月分は15日分だけ支払いが発生します。

仲介手数料

仲介手数料は、入居する物件を仲介する管理会社に支払う仲介報酬です。家賃の0.5ヵ月分程度を支払うケースが多いですが、管理会社の中には仲介手数料を無料に設定する会社もあります。

火災保険料

火災保険料は契約する保険会社によって保険料が異なります。不動産会社から紹介された保険会社だけでなく、自分で探した保険会社と契約できますので、保険料が安い会社を探してみるのもよいでしょう。

鍵の交換

鍵の交換は前の入居者が退去する際に行われるのが一般的ですが、すべての管理会社が鍵の交換を義務づけているとは限りません。自室の鍵を前の入居者が持っているリスクをなくしたいと思うなら、自費で交換しておくとよいでしょう。

初期費用以外に、家具や家電の購入費も必要

一人暮らしを始めるにあたり、家具・家電・生活用品の購入は不可欠です。具体的には、最低限、次のようなものが必要になるでしょう。

費用の目安
家具 ベッド 3〜10万円
机と椅子 1〜5万円
収納家具 3〜10万円
家電 冷蔵庫 3〜10万円
洗濯機 3〜10万円
電子レンジ 1〜3万円
炊飯器 1〜3万円
エアコン 3〜8万円
生活用品 寝具 1〜3万円
食器 1〜2万円
調理器具 1〜2万円
掃除用具 1〜2万円
バス・トイレ用品 5000〜1万円

敷金・礼金、仲介手数料が無料の物件や一定期間家賃が無料となるフリーレント物件もあります。それらの物件を選択すれば初期費用の負担を少しは軽減できるでしょう。

(2)物件を探す

費用を把握できたなら、次は入居する物件探しです。物件選びをスムーズに進められるよう、次に紹介する手順を意識しておきましょう。

予算を決める

物件探しにもっとも必要な条件は家賃の予算です。支払える範囲に初期費用を抑えるだけでなく、毎月無理なく払える家賃の上限も決めておきましょう。

かつては、家賃は毎月の手取り収入の3分の1を上限に決めるとよいといわれていましたが、近年は物価高や税率の上昇などで昔と同じ手取りでも支出が大きくなっている傾向があります。そのため、現在は手取りの4分の1を目安とするのが一般的のようです。手取りが20万円なら5万円弱、30万円なら7万円程度までの家賃に収めれば、家賃の支払いが生活を圧迫する状態にはなりにくいでしょう。

給料に対する適切な家賃について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

給料に対する適切な家賃は?一人暮らし・二人暮らしの目安を解説!

希望の間取り・広さを決める

毎月支払える家賃の上限を定めたら、その範囲で入居できる部屋を探しましょう。部屋を選ぶうえで優先したい条件は、生活スタイルに適した部屋の面積です。外見や内装がいくらきれいだとしても、居住空間が狭すぎる部屋は住み心地が悪くなり、健康的な生活を送るのは難しくなるでしょう。

国土交通省がまとめた「住生活基本計画における「水準」について」では、健康で文化的な住生活の基礎となる居住面積は25平方メートル以上、多様なライフスタイルを想定した居住面積は40平方メートル以上と定めています。自分にとって狭すぎず広すぎない部屋を選べるよう、自分好みのライフスタイルを想定しながら、物件広告に掲載された面積を参考に内見する物件を選びましょう。

また、部屋選びにおいて重要な要素のひとつが部屋の間取りです。間取りは居室の数と台所の位置や広さに応じて、1R、1DK、2LDKなどと表現されます。

初めての一人暮らしでは、居室と台所が別の空間である1K、広めの居住空間が設けられた1LDKなどが選ばれる傾向があります。部屋で過ごす時間や過ごし方によって快適な間取りは変わりますので、想定するライフスタイルに適した間取りを選択しましょう。

一人暮らしの理想の間取りは?間取り別のメリット・デメリットを解説

女性の一人暮らしは防犯面もチェック

女性が入居する物件を選ぶ際には、防犯面の機能も検討しておきましょう。近年はオートロックやモニター付きインターホンなど、防犯機能が高い設備が設けられた物件が増えていますので、予算が許す範囲でセキュリティ機能が充実した物件を選びたいところです。

賃貸物件で人気の防犯設備には以下のようなものがあります。

・玄関のオートロック
・ドアに2つ以上の鍵
・TVモニター付きインターホン
・共用部の防犯カメラ
・宅配ボックス

なお、十分なセキュリティ設備が揃っていない物件が選択肢に上がるようなら、不審者が侵入しにくい2階以上の部屋を選ぶのがおすすめです。

女性の一人暮らしの物件選びについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

一人暮らしの女性が安全に暮らすための物件選び、注意したい3つのポイント

(3)引越しの準備を始める

入居先を選び始めたら、同時に引越しの準備を進めましょう。引越し準備は入居先が決まる前から始められます。早めにできることから手を着けておくと安心です。

荷物の準備

入居先を選び始めたら、同時に運び込む荷物の準備を進めておきましょう。まずは手持ちの荷物から運び込むものを決めつつ、不用品の処分を進めるのがおすすめです。

入居後に収納が狭いことに気づき、運び込んだ荷物があふれてしまうことも珍しくありません。また、一人暮らしを始めるといつの間にか荷物が増えていることも多いため、入居時点では収納に余裕をもたせられる程度の荷物の量にしておくとよいでしょう。

引越し業者を選ぶ

入居先が決まったなら、荷物を運び込んでくれる引越し業者を選びましょう。引越し業者は全国展開している大手から地域密着型の中小企業、個人の配送業者などさまざまな業態があります。料金やサービスの内容もそれぞれ異なるので、複数の引越し業者に見積もりを取って比較検討するのがおすすめです。

引越し業者との契約が決まると、多くの場合荷物運搬用の段ボール箱が提供されます。荷物を封入する際には、着替えや洗面用具などを引越し先ですぐに使えるように、すぐに開ける段ボールとして分別しておくとよいでしょう。

引越し業者の相場や選び方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

引越し見積もりの相場はいくら?費用の目安や安く抑えるコツを解説

ライフラインなどを契約

引越し直後からすぐに生活を開始できるように、以下のライフラインの契約を進めておきましょう。

・電気
・ガス
・水道

連絡先は賃貸借契約時に仲介会社から提供されますので、自分で電話等で連絡します。なお、ガスや水道は使用開始日に立ち会いが必要になる場合があります。あらかじめ立ち会い可能な日程を確認したうえで手続きを進めましょう。また、開通までの期間が長引きやすいインターネット契約も並行して進めておくとよいでしょう。

(4)必要なものを揃える

初めての一人暮らしのスタート時は、生活に必要な道具類がすべて揃っていない場合があります。実家から持ち込むものを含め、新生活に使うアイテムの準備を進めておきましょう。

必要なものリスト
家具 寝具(ベッド、布団)
テーブル、椅子
収納用具(タンス、収納ボックス)
食器棚
家電 冷蔵庫
洗濯機
掃除機
調理器具(炊飯器、電子レンジなど)
照明器具
テレビ
日用品 調理器具(フライパン、鍋、包丁など)
カーテン、カーペット
食器類
洗面道具、洗濯用品

家具

快適な生活を送るためには、充実した家具が必要です。必須となる家具はライフスタイルによって異なりますので、自分が想定する生活に必要な家具を用意しましょう。

一般的に、一人暮らしに必要とされる家具には以下のものがあります。

・寝具(ベッド、布団)
・テーブル、椅子
・収納用具(タンス、収納ボックス)
・食器棚

なお、部屋のデザインによって向いている家具のデザインや機能が変わります。和室で使うテーブルには座卓が向いていますし、フローリングの洋室ならダイニングテーブルセットやソファー+ローテーブルという選択肢があるでしょう。

また、部屋の大きさによって選べる家具のサイズが変わります。目算で選んだ家具のサイズが部屋に合わないような事態にならないよう、メジャーなどで部屋の広さを測ったうえで家具を選ぶのがおすすめです。

家電

充実した一人暮らし生活を送るためには、新たに家電品を準備する必要があります。一人暮らしの部屋にあるのが好ましい家電は以下の通りです。

・冷蔵庫
・洗濯機
・掃除機
・調理器具(炊飯器、電子レンジなど)
・照明器具
・テレビ

必須となる家電品は、自炊の有無や生活時間の長さなどのライフスタイルによって異なるため、自分の生活に必須と思える家電から優先して用意しましょう。物件によっては照明器具や小型の冷蔵庫などが備え付けられている場合がありますので、どの家電品が自分の生活に必要であるかを見極めて準備を進めるのが大切です。

日用品

生活を送るうえで必要な雑貨類の用意も進めておきましょう。

・調理器具(フライパン、鍋、包丁など)
・カーテン、カーペット
・食器類
・洗面道具、洗濯用品

日用品や雑貨類は比較的安価で購入できるものが多く、100円ショップやリサイクルショップでも普段使いには十分な品を揃えられます。また、実家で使っていない食器や調理器具などがあれば、ある程度の初期費用を節約できるでしょう。

初めての一人暮らしで失敗しないコツ

どれだけ念入りにシミュレーションをしていたとしても、入居して初めて失敗に気がつくことも多々あります。失敗の内容によってはあとまで尾を引く場合がありますので、次に紹介する失敗は避けられるように対策しておきましょう。

収納にはゆとりをもつ

収納が広い新居を選んだはずなのに、運び込んだ荷物が入りきらないというケースは少なくありません。

初めての一人暮らしでは、実際の量よりも荷物を少なく見積もってしまいがちです。また入居時にはすべての荷物が収納に入ったとしても、生活をしている中で新たな生活雑貨や趣味の道具を購入した結果、あとから荷物があふれることも考えられます。

部屋を選ぶ時点では、今後荷物が増えることを想定して広めの収納を重視するのがおすすめです。また、新居には余計な荷物を持ち込まないよう、本当に必要なものだけに厳選しておきましょう。

資金に余裕をもつ

一人暮らしにかかるお金は初期費用だけではありません。入居後には毎月の家賃に加え、水道光熱費やインターネット回線費用、食費などさまざまな種類の生活費がかかり続けます。実家暮らし時代よりも支払う項目が多く、また出て行くお金もまとまった金額になりますので、気がつかないうちに収入をオーバーした支出が発生してしまいやすくなります。

多少余計な出費が増えても生活が破綻しないように、支出は現在の収入でも十分に貯金できる程度の金額に抑えるように注意しましょう。

新居の傷・汚れ・カビ対策を徹底する

新居入居後は、傷・汚れ・カビ対策を行うことをおすすめします。

傷や汚れ、カビは、程度により退去時に原状回復費用を請求される可能性があります。 敷金から賄える場合は追加費用がかかりませんが、原状回復に敷金以上の費用がかかる場合、追加で費用を払う必要があります。

「きれいにしていればよかった……」と後悔しないよう、入居初期から対策を徹底しましょう。

特にフローリングは傷つきやすい建材です。重量のある家具には、フェルトやゴム製の保護シール・マットを装着しましょう。あとから装着しようとすると骨が折れる作業になります。引越し作業前に購入しておくとよいでしょう。

フローリングの傷対策について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

賃貸のフローリングに傷がついた!退去時の費用は?修繕は必要?

押し入れのカビには注意を払いましょう。押し入れは湿気がこもりやすく、結露が発生しやすい場所です。結露はカビの原因となるため、押し入れのドアを少し開けておくことで湿気を逃がすことができます。収納用の除湿剤や除湿効果のある炭を置くのも効果的です。

カビ対策について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

賃貸アパートにカビが発生してしまったときの退去費用はいくら?

経年劣化による損耗については通常損耗として扱われるため、借主に原状回復義務がないのが一般的です。ただし、契約書に原状回復義務に関する規定が設けられている場合は、それが優先される可能性があるため、契約書の内容をしっかり確認しておきましょう。

まとめ

初めての一人暮らしを始める前は、誰もが希望や期待に胸を膨らませるものです。一方で現実的には生活のために多くの費用がかかり、準備をするためにも手間暇がかかります。

期待通りの一人暮らし生活をスタートさせるためには、お金の用意や物件探し、生活必需品の購入などさまざまな準備が必要です。快適な一人暮らし空間を作れるように、チェック項目を確認しながら漏れがないように準備を進めましょう。

監修者プロフィール

監修者
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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