住まいのコラム

一人暮らしの女性が安全に暮らすための物件選び、注意したい3つのポイント

最終更新日:

監修者
亀梨 奈美
不動産ジャーナリスト/株式会社real wave代表取締役
女性の一人暮らしでの物件選びで注意することは?
物件選びでは、セキュリティ設備と部屋の階数をチェックしてください。オートロックやモニター付きインターホンは防犯に有効です。1階の部屋は侵入されやすいため、女性は避けたほうが無難。また、物件そのものだけでなく、住む街の治安にも目を向けましょう。昼間だけでなく夜の街の様子も確認しておくことが重要です。

これから一人暮らしを始める女性の中には、新生活に心をときめかせている一方、安心して一人暮らし生活を送れるか不安に感じている人も多いのではないでしょうか。安心して暮らすためには、物件選びから防犯を意識し、さらに日常生活でも安全を守るための工夫が必要です。

ここでは、一人暮らしの女性が安心して暮らすための物件選びの注意点や日常生活を送るうえでのポイントを解説します。

一人暮らし女性が物件を選ぶ際に意識したいこと

安心した生活が送れるかどうかは、住む物件によって左右されます。一人暮らしの女性が物件を選ぶ際に特に注意しておきたいポイントをご紹介します。

物件のセキュリティ

女性の一人暮らしなら、できる限りセキュリティ設備が充実している物件を選ぶことをおすすめします。セキュリティ設備とは、次のようなものを指します。

・オートロック
・モニター付きインターフォン
・防犯カメラ

オートロックがあれば、住人や住人が許可した人以外はエントランスより奥に入ることはできません。加えて、容姿がわかるモニター付きのインターフォンが備わっていれば、どのような人が訪ねてきたかも把握できるでしょう。

オートロックの安全性についてはこちらでも詳しく解説しています。

オートロックは安全?意味ない?知っておきたいデメリットも解説

また、最近は防犯カメラが備わった集合住宅も増えています。防犯カメラがあることで犯罪の抑止力になり、万一ストーキング行為や嫌がらせがあった場合も早期に解決しやすくなります。

部屋のある階数

1階の部屋は、道路から見えやすく、侵入しようと思えばできてしまうため、一人暮らしの女性にはあまりおすすめできません。洗濯物が干したり、窓を開けたりすることに躊躇するようにもなってしまうでしょう。

※ 構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
※「その他の施錠開け」…ピッキング、サムターン回し、合かぎ以外で施錠を開けるもの。
※「ドア錠破り」…ドアの隙間にバールなどを差し込み、施錠部を強引にこじ開けるもの。

出典:警視庁

警視庁の調査によれば、2022年の侵入窃盗の被害数は「3階建以下」の共同住宅で2866件、「4階建以上」の共同住宅で1587件だといいます。このデータは、高層階であるほど侵入されにくいことを示しています。

周辺の治安

セキュリティ設備や部屋の階数に気を付けたとしても、隣戸の窓の位置や距離、フェンスの高さなどによっては、部屋の中を覗かれやすくなってしまったり、外部から侵入しやすくなってしまったりするケースがあります。

また、街灯が少なく、人通りがほとんどないような立地にあると、夜間の帰路に不安があります。物件選びの際は、昼間と夜間、平日と休日など、時間帯と曜日を変えて複数回、内覧することをおすすめします。

女性が安心して住める物件を見つけるためのおすすめの方法のひとつとして、女性の仲介担当者を付けてもらうことが挙げられます。オートロックや防犯カメラなどハード面だけでなく、女性ならではの視点で、暮らしやすさなどのソフト面を考慮した物件を提案してくれることに期待できます。

日常生活で注意しておきたいこと

物件のセキュリティ対策が万全だったとしても、生活の仕方次第では女性を狙った犯罪の標的になってしまうリスクが高くなってしまいます。日常生活を送るうえでは、次のような点に気をつけましょう。

洗濯物は外に干さず室内干しにする

洗濯物は、犯罪者にとって「この部屋にどんな人が住んでいるか」を知るためのわかりやすい指標にもなりえます。「2階以上であれば大丈夫」と考える人もいるでしょう。確かに洗濯物がとられるリスクは少ないかもしれませんが、干してある洗濯物から「女性が住んでいる」と判断され、別の犯罪のターゲットにされる可能性は十分あります。従って、一人暮らし女子は、室内干しがベター。ベランダに洗濯機がある物件も、できれば避けたほうがよいでしょう。

最近では、室内干しができるよう、天井に室内干しユニットが埋め込まれている物件も増えています。また、ドラム式乾燥洗濯機を使えば、家事の負担も軽減できます。

カーテン・窓の開けっぱなしはNG

高層階だとしても、カーテンや窓を開けっぱなしにして外出したり、就寝したりすることは避けましょう。特に、夜間にカーテンや窓が開けっぱなしだと、外から部屋の中が丸見えになってしまいます。

家族で暮らしていたときの習慣やクセもあると思いますが、女性の一人暮らしでは、最新の注意を払って生活しなければなりません。

一人暮らし女性だと思われない工夫を

不審者や窃盗犯は、あらかじめ「一人暮らし」の「女性」であることを確認したうえで犯罪におよぶものです。一人暮らしとは思われないような工夫をすることも、犯罪を未然に防ぐ抑止力になります。

一人暮らしの女性だと思われない工夫とは、例えば以下のようなものです。

・男性用の洗濯物をベランダに干す
・家を出るとき・帰ってきたときに「いってきます」「ただいま」と大きな声であいさつする
・郵便受けや表札にフルネームを記載しない
・カーテンや窓際に置く雑貨はユニセックスなデザインのものにする

ゴミ出しにも気をつける

日常的に出すゴミからも、個人情報が流出する恐れがあります。郵便物を捨てるときには、名前やそのほかの個人情報がわからないよう、シュレッダーにかけるなどして処分することが大切です。

また、ネイルチップや使用済みの化粧品など女性のものと思わせるようなゴミは、外からわからないよう、紙袋など透過性のないもので包んだうえでゴミ袋に入れるようにしましょう。

一人暮らし女性が快適・安心に暮らすためのワンポイントアドバイス

次のようなアイデアや手段も、一人暮らし生活の安全性・快適性を高めるために有効です。

「駅近」の魅力は大きい

いわゆる駅近物件は、駅から家までの道のりが短く、路上で危険な目に合うリスクを低減できます。また、駅付近は明るく人通りが多いことから、一人暮らし女性が住む場所として適していると考えられます。ただし、人通りが多いということは目につきやすいとも言い換えられます。駅近だからと安心するのではなく、駅近のなかでもセキュリティが高く、騒音も感じにくい2階以上の物件をおすすめします。

とはいえ、賃貸物件は、基本的に駅に近ければ近いほど賃料が高くなるものです。セキュリティ対策も十分な物件となれば、予算オーバーしてしまうこともあるかもしれません。予算に収まらない場合は、1駅、2駅ずらして物件を探してみましょう。駅近物件であれば、多少、学校や勤務先から離れたとしても、通勤・通学時間が大きく変わることはないはずです。

防犯アイテムをうまく活用する

物件に備わっている設備だけに頼るのではなく、自らできる対策も駆使して暮らし全体の防犯対策をしましょう。
例えば、防犯ブザーがあると夜道で一人歩くときに心強いですし、覗き穴がある玄関ドアにはドアスコープカバーを取り付けると安心して過ごせます。100円ショップでも、一人暮らし女性に役立つ防犯アイテムが多数取り揃えられています。

ただし、賃貸住宅は自分の所有物でないため、何でも自由に取り付けられるわけではありません。居室やベランダに何かを取り付ける場合は、賃貸借契約上のルールや着脱可能なアイテムなのかを確認しておきましょう。

「女性専用賃貸住宅」も検討してみる

近年では、入居者を女性に限定している「女性専用」物件も多数見られるようになりました。上下左右に住む人すべてが女性のため、安心して暮らすことができるでしょう。セキュリティ対策も充実しているケースが多いです。

また、一人暮らし女性にうれしいペット飼育可能な物件や浴室・洗面室にこだわっている物件も。女性専用の賃貸住宅ということで、一人暮らしする娘を心配するご家族の安心にもつながります。

一人暮らしの女性の物件選びで気をつけたいポイントは複数ありますが、物件情報だけでセキュリティを判断しないようにしましょう。たとえば、オートロックや防犯カメラなどがあれば安心というわけではありません。大切なのは、物件および現地を実際に見て、セキュリティの「総合力」を判断することです。

まとめ

女性の一人暮らしに、不安はつきものです。その不安をできる限り払拭し、一人暮らしへの期待や楽しさに目を向けられるよう、今回ご紹介した物件選びのポイントや日常生活を送るうえでの工夫を意識してみてください。

一人暮らしの物件選びや失敗しないコツについてはこちらでも詳しく解説しています。

初めての一人暮らしで失敗しないコツは?まずやること・必要なものリスト

監修者プロフィール 亀梨 奈美 株式会社real wave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年に株式会社real wave設立。不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに執筆している。

他のカテゴリからコラム記事を探す

  • 賃貸
    賃貸物件探しに役立つ間取りや各種費用の詳細、物件選びのコツも紹介。
  • 引越し
    引越しに伴う手続きや引越し前にやっておくとよいことを伝授。
  • マンション購入
    新築から中古まで、マンション購入で失敗しないためのお役立ち情報。
  • 戸建て購入
    新築or中古?ローンは?物件の探し方は?戸建て購入の疑問を解決。