住まいのコラム
学生マンションと普通の賃貸の違いは?
メリット・デメリットを解説
最終更新日:
- 高野 友樹
- 公認不動産コンサルティングマスター/相続対策専門士/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
- 学生マンションは何が違う?
- 学生マンションは「学生であること」が入居条件となっているのが大きな特徴。入居者の学生本人でなく入保護者が賃貸借契約を交わすのが一般的です。通常の賃貸物件と比べて入居者の年齢層が近く、セキュリティ設備も充実しています。門限などが設けられていない物件も多く、学生寮よりも比較的自由度が高いです。
進学を機に学生が親元を離れる場合は、一般的な賃貸物件を借りたり、学生寮や学生会館を利用したりするほか、学生マンションを利用するという選択肢もあります。
学生マンションは、一般的なアパートやマンションなどの賃貸物件や学生寮と比べて、どのような違いがあるのでしょうか。メリット・デメリットや、学生マンションが向いている人について解説します。
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学生マンションとは?
学生マンションは、学生であることを入居条件とした学生専用の賃貸マンションです。大学や専門学校に通いやすい立地で、入居契約の際は合格証書や学生証などの書類が求められます。
一般的なマンションやアパートなどの賃貸物件と比べると、学生マンションは入居者同士の年齢が近く、防犯面も重視されている点が特徴です。また、賃貸借契約は入居者本人ではなく保護者が交わすことが多くなっています。
学生マンションと学生寮の違い
学生が親元を離れて生活する際の住まいの選択肢には、学生寮や学生会館もありますが、学生マンションとはどのような違いがあるのでしょうか。
学生寮や学生会館は、門限が決まっている、相部屋の場合がある、風呂・トイレは共用の場合があるなど、比較的自由度が低くなりがちです。
一方の学生マンションには、基本的に門限などの規則がありません。もちろん、マンション自体の利用規約はありますが、門限のような学生ならではのルールはない場合がほとんどで、比較的自由度が高いといえます。風呂やトイレも各部屋にあるため、プライバシーが気になる人も安心です。
学生マンションは、学生であるという条件と契約方法の違い以外は、一般的な賃貸物件に近いといえるでしょう。
学生マンションの契約時のメリット
学生マンションは入居する学生本人ではなく、保護者が賃貸借契約を交わすのが一般的です。そのため、入居審査や手続きを安心して進めやすいという面もあります。
ほかにも、学生マンションには下記のような、一般的な賃貸物件にはない契約時のメリットがあります。
学生マンションは仮押さえができる
学生マンションは、気に入った物件の仮押さえが可能です。合格発表の前に物件の仮押さえができるため、後からその物件への入居を希望した人に先を契約されてしまったり、入学の決定が遅かったために部屋探しを始める時期が遅れて、人気の物件が埋まってしまったりする心配がありません。もし不合格になった場合は、キャンセルすることができます。
一方、一般的なマンションやアパートなどの賃貸物件は、原則として仮押さえすることはできません。正式な入居の申込みをしなければ、自分よりも後に入居希望者が現れた場合に、借手が決まってしまいます。
また、一度契約すると、自分の都合で入居日を遅らせることは基本的にできず、通常は審査が通ってから2週間後に家賃が発生します。そのため、仮押さえができない一般的な賃貸物件は、入学が決まってからでなければ部屋探しを始められないというデメリットがあるのです。
契約しても入居日まで家賃が発生しないことが多い
契約から2週間後には家賃が発生する一般的な賃貸物件と違い、学生マンションは契約をしても、入居日まで家賃が発生しない物件が多くあります。たとえば、学生マンションの契約を卒業年度の秋~冬頃に交わしたとしても、入居予定日(家賃発生日)は、実際に入居する3月下旬に設定することが可能です。
学生マンションは基本的に、卒業とともに前の入居者が退去するため、2~3月に前の住人の退去と、新しい住人の入居が発生することが多くなります。契約から入居まで期間があっても、その間、空室になり続けることがあまりないため、入居日まで家賃が発生しないという契約が可能になっているのです。
学生マンションに住むメリット
セキュリティ設備が充実
多くの学生マンションが、オートロックや防犯カメラなどの防犯設備を導入しています。中には、管理人が常駐しているマンションもあるため、防犯性が高く安心です。
また、女性専用マンションや、女性専用フロアを設けた学生マンションもあります。女子学生の一人暮らしの場合は、こうした物件もおすすめです。
通学しやすい立地
学生マンションは、入学する大学名をもとに探せる物件が多くなっています。通学しやすい立地の学生マンションに住めば、通学にかかる時間が短縮できるうえ、交通費の節約にもつながります。
家具家電付きやWi-Fi付き物件が多い
学生マンションには、デスクや冷蔵庫、洗濯機などの家具・家電が備え付けられている物件もそろっています。卒業して退去する際、備え付けの家具・家電はそのままでよいため、処分や引越しにかかる手間や費用を抑えられます。
また、無料Wi-Fiを利用できる物件もあります。こうした学生マンションは、新生活を始めるためにかかる初期費用を大きくカットできる点が魅力です。
学生しか住んでいない安心感
一般的な賃貸物件には、さまざまな年齢層の住人がいます。その点、学生マンションは入居者の多くが同じ大学や専門学校に通う、年齢層の近い学生のため、同じマンション内にどのような人が住んでいるのかわからないという不安を軽減できます。
同じ学生マンションに住む人同士で、友人関係を築きやすい点も魅力です。
食事付きの学生マンションもある
学生マンションには、一般的な賃貸物件のように食事を自分で用意する必要がある物件のほか、食事付きの物件もあります。初めての一人暮らしで、栄養バランスも考えた食事を自炊するのは、なかなか難しいものです。食事付きの学生マンションなら、栄養士が考案したメニューで、健康的な食生活を送ることができます。
学生寮と違い自由度が高い
学生寮や学生会館は、学生たちが共同で生活する施設という要素が強いため、門限をはじめとしたさまざまなルールが設けられているケースがあります。友だちを招いたり、外泊したりする際には申請が必要など、ルールを守る必要があります。また、風呂やトイレが共用となる場合があり、プライベート空間が少なくなる傾向です。
一方、学生マンションは一般的な賃貸物件とほぼ同じで、門限や共同生活のためのルールがない場合が多く、風呂やトイレも各部屋にあります。女性専用などの決まりがない限り、友だちの出入りも基本的に自由です。
学生マンションでは、光熱費や水道代などの生活費が家賃に含まれているケースもあり、生活費の管理が簡単になります。そのため、親元を離れた初めての一人暮らしでも安心して生活できるでしょう。また、学生向けマンションの付近には、学生を対象とした食堂やレストランがある場合も多く、比較的安価に外食が楽しめます。
学生マンションに住むデメリット
学生マンションには、事前に知っておきたいデメリットもあります。ここでは、学生マンションに住む4つのデメリットについて紹介します。
家賃設定がやや高め
学生マンションは、オートロックや防犯カメラなど、セキュリティ設備が充実している傾向があります。一般的なマンションやアパートでも、防犯設備が充実しているほど家賃が高くなるように、設備の充実した学生マンションは、賃料や管理費が近隣の相場よりも比較的高くなりがちです。
また、一般的な賃貸物件の契約期間は2年であることが多いものの、学生マンションは1年契約の物件があります。1年契約の学生マンションの場合は、入館料または更新料が毎年発生することもあります。
物件数が少ない
学生マンションは、一般的なマンションやアパートと比べて物件数が少ないため、通う大学や専門学校の場所によっては、空き部屋を見つけることが難しい場合もあります。
各マンションの部屋数には限りがあり、立地などの条件が良く人気の物件は早々に予約が埋まってしまうため、学生マンションへの入居を希望する場合は、早めに物件探しを始める必要があります。
友だちを泊めることができない場合もある
学生マンションは、基本的には友だちを自由に招いてもよいとしている物件が多くなっています。ただし、女性専用マンションや女性専用フロアの場合は、男性の友だちを招くのは禁止です。
友だちの出入りや宿泊についてのルールは学生マンションによって異なります。トラブルを避けるためにも、利用規約やルールを契約前に確認しましょう。
卒業時に退去することが前提
学生マンションは、原則として学生であることが入居条件となるため、社会人になった場合、そのまま住み続けることはできないケースがほとんどです。卒業と同時に退去することを前提に検討する必要があります。
なお、大学卒業後も大学院や専門学校などに通う場合には、継続して入居することが可能です。
学生マンションでは、居住者の年齢層が若くなりがちです。初めての一人暮らしなど、一人での生活に不慣れな人が多く入居するため、周りの住人の迷惑を考えずに、友だち同士で夜中まで騒いでしまうなどのケースが散見されます。騒音問題に発展しないように、隣人への配慮が必要です。騒音の被害にあってしまった場合は、管理会社に相談しましょう。
学生マンションがおすすめなのはどんな人?
学生マンションの特徴やメリット・デメリットを踏まえると、どのような人が学生マンションに向いているのでしょうか。
具体的には、次のようなライフスタイルの人に、学生マンションはおすすめです。
<学生マンションが向いている人>
・合格前に入居先を予約しておきたい
・不動産会社が混み合う前に入居先を決めておきたい
・防犯性などセキュリティ設備を重視したい
・大学や専門学校から近い物件に住みたい
・年齢層の近い住人がいる物件に住みたい
・学生寮や学生会館よりも自由度の高い生活を送りたい
・初期費用を抑えて、家具・家電付きやWi-Fi付きの物件に住みたい
・メリットを考慮すると、ある程度家賃は高くても構わない
人気のある学生マンションだと、早ければ秋頃には予約で埋まってしまうこともあります。そのため、セキュリティや設備が充実したマンションを希望する場合は、早くからの情報収集がおすすめです。また、人気物件は常時満室状態であることが多く、部屋探しの際に内見ができないことも珍しくありません。写真や間取り図などをしっかり確認して、「想像と違った」ということがないように十分注意しましょう。
まとめ
学生マンションは防犯設備が充実していて、住人は学生に限られるなど、学生の初めての一人暮らしにおいて安心できる要素が多い物件です。また、学生寮や学生会館よりも、自由度が高く暮らせるというメリットもあります。
物件の選択肢の少なさや、相場より家賃が高いといったデメリットもあるため、物件選びの際は重視したい条件を洗い出し、学生マンションを住まいの選択肢に入れるかどうか判断しましょう。
監修者プロフィール
高野 友樹
公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
不動産会社にて600件以上の仲介、6000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。現在は株式会社高野不動産コンサルティングを設立し、不動産コンサルティングを行う。