住まいのコラム
一人暮らしの理想の間取りは?
間取り別のメリット・デメリットを解説
最終更新日:

- 高野 友樹
- 公認不動産コンサルティングマスター/相続対策専門士/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
- 一人暮らしにぴったりの間取りは?
- 一人暮らしに適した間取りは、生活で重視するものが何かによって変わります。あまり自炊はせず、家賃の安さを優先する場合はワンルームがおすすめ。多少設備は古くても、自炊しやすい環境とできる限り広い部屋を選びたい場合は1DKがおすすめです。そのほか、1LDKや2Kも一人暮らしの間取りの選択肢になります。
一人暮らしを始めるにあたり、部屋の間取り選びはとても重要なポイントです。一人暮らし向けの間取りとしては、ワンルーム、1K、1DK、1LDK、2Kの5種類があり、それぞれメリット・デメリットがあるので、特徴を踏まえた上で、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
この記事では、一人暮らしの部屋の広さの目安や、各間取りの特徴を解説します。併せて、それぞれどのような人に向いているかなど、選び方のポイントについても見ていきましょう。
目次
一人暮らしに必要な部屋の広さは25㎡程度

快適な一人暮らしを送るには、最低限どれくらいの広さの部屋が必要になるのでしょうか。快適だと感じる広さには人によって差がありますが、国土交通省の「住生活基本計画」では、一人暮らしに最低限必要な居住面積は25㎡とされています。1畳の広さを1.62㎡とすると、25㎡は約15畳です。ただし、これは玄関、キッチン、バス・トイレなど、すべての設備を含んだ広さなので、居室だけなら6~8畳程度が目安になります。
このことから、一人暮らしの部屋を探す際は、居住面積で25㎡以上、うち居室が6~8畳であることを目安にするのがおすすめです。ただ、都市部では、広さに伴って家賃が高くなることもあり、18~22㎡前後の部屋が人気となっています。
25㎡程度を目安に物件を探すと、間取りとしてはワンルーム、1K、1DKが多くなります。また、ライフスタイルによっては、もう少し広めの1LDK、2Kなども、一人暮らしの間取りの選択肢としておすすめです。それぞれの特徴を捉えて、自分に合った間取りを見つけましょう。

一人暮らしに必要な部屋の広さは、個人の生活スタイルや好みによって異なるものの、1Rまたは1Kで20~25㎡、1DKだと25~35㎡が理想的です。ただし、実際に部屋を内見してみると、窓からの景色や天井の高さ、クロスの色などさまざまな要素によって、広さの印象が変わる可能性も十分にあります。必ず内見して、実際に目で見て広さのイメージをつかむことが大切です。
実際に一人暮らしの人が住んでいる間取りは?
実際のところ、一人暮らしの人はどのような間取りに住んでいるケースが多いのでしょうか。
一人暮らしの男女を対象にアンケートで聞いてみました。
※対象者:全国の一人暮らし経験のある20代~60代男女1360人 調査時期:2024年1月
アンケートで聞いた 一人暮らしで住んでいる(住んでいた)部屋の間取りは?
アンケートの結果を見ると、ワンルームや1K、1DK、1LDKといった1部屋タイプの間取りが多く、合計すると5割以上を占めています。
一人暮らしにおすすめの間取り1:ワンルーム

ワンルームは、キッチンスペースと居室のあいだに仕切りがなく、すべてつながっている間取りです。キッチン設備はもちろん、トイレや浴室へのドアもすべて同じ空間にあります。トイレと浴室がいっしょになった造りが比較的多いのも特徴です。
バス・トイレ付きワンルーム物件で、間取り上の広さが6畳の表記なら、ドアで仕切られたトイレ・浴室以外の部分である、居室・キッチン・玄関を含めた全体の広さが6畳ということになります。この場合、居室部分の広さは6畳より狭くなってしまうので、注意が必要です。
ワンルームのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<ワンルームのメリット>
・ほかの間取りに比べて家賃が安い
・ドアや仕切りがない分、広く見える
・掃除がしやすい
・すべてが1つの空間にあるので、生活動線が良い
・比較的駅から近く、便利な立地にある物件が多い
<ワンルームのデメリット>
・居室部分が狭い
・仕切りがないので、玄関から居室の中まで見えてしまう
・料理のにおいが部屋中に充満してしまう
・冷暖房が効きにくい
ワンルーム一人暮らし!メリット・デメリットとレイアウトのポイント
アンケートで聞いた ワンルームに住んで良かったことは?
- 回答者の声
- 家賃がとにかく安いので、生活費においてそこまで大きな負担はなかった。20代/男性
- 収納スペースがないので物が少なく、あまり散らからないので部屋の掃除が楽にできる。30代/女性
- 何がどこにあるかすぐにわかるし、模様替えも、すぐ終わる。40代/女性
- 寒い日や暑い日もエアコンや電気ストーブがすぐに効いてくれるため電気代にもやさしい30代/女性
- 限られたスペースのため、物を少なく保つ必要があり、整理整頓がしやすくストレスが少ないです。30代/男性
ワンルームがおすすめの人
ワンルームはほかの間取りに比べて家賃相場が安いため、家賃の安さを優先したい人におすすめです。ただし、居室は狭くなりがちで、キッチンの使い勝手が悪いことも多いので、基本的には荷物が少ない人や、あまり自炊をしない人向きだといえます。
家賃が高い都心部のエリアに住みたい場合は、ワンルームを選ぶことで家賃を抑えられる可能性があります。
一人暮らしにおすすめの間取り2:1K

1Kは、広さが4.5畳未満のキッチンと居室という間取りです。キッチンと居室の間はドアなどで仕切られ、別の空間になっています。トイレや浴室に続くドアは、キッチンスペース(玄関から居室へ続く廊下)に設けられている造りが一般的です。
ワンルームと比べると、1Kのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<1Kのメリット>
・玄関から居室の中が見えない
・料理をしても、においが居室まで広がらない
・居室の冷暖房の効きが良い
・冷蔵庫などの運転音が気にならない(冷蔵庫をキッチンに置いた場合)
<1Kのデメリット>
・ワンルームに比べると家賃が高い
・ワンルームに比べると掃除に手間がかかる
・キッチンが狭い物件では、冷蔵庫を居室に置かなくてはいけない場合がある
・キッチンを締め切ると冷暖房が届かないので、キッチンが暑い・寒い
・扉がある分、部屋が狭く感じる
アンケートで聞いた 1Kに住んで良かったことは?
- 回答者の声
- キッチンと部屋が別れていて狭さを感じず、かといって広すぎもしないのでちょうどいい20代/男性
- 料理をした後、臭いが寝室まで入ってこないので、扉で遮られる1Kにして良かったと思う。20代/男性
- 料理やお菓子作りが好きなため、キッチンがしっかりしていることはうれしい30代/女性
- 部屋の中に調理家電や食材等を置く必要もないので生活感が出ないし、部屋のスペースを圧迫することもない20代/男性
- ワンルームだと玄関のドアを開ければ本当に全てが丸見えだが、リビングが分離されているので安心感がある50代/女性
1Kがおすすめの人
1Kの間取りは、自炊をする人、家賃を抑えつつできるだけ居室が広い部屋に住みたい人、バス・トイレへの扉と居室が分かれていることにこだわりたい人などにおすすめです。家賃相場はワンルームより少し高い傾向がありますが、駅からの距離や築年数次第では、ワンルームと家賃があまり変わらない物件もあります。
キッチンスペースが狭いと、冷蔵庫を居室に置かなくてはいけない場合もあるので、冷蔵庫が置けるかどうかは事前に確認しておきましょう。
一人暮らしにおすすめの間取り3:1DK

1DKは、4.5畳以上8畳未満のキッチンと居室という間取りです。1Kよりもキッチンが広いので冷蔵庫はもちろん置けますし、ダイニングテーブルが置ける物件も少なくありません。ワンルームや1Kは一口コンロの場合もありますが、1DKはコンロが2口以上の物件が多くなっています。
ワンルームや1Kと比べると、1DKのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<1DKのメリット>
・キッチンが広く調理がしやすい
・キッチン部分の広さによっては、ダイニングテーブルを置くことができる
・キッチンに収納や窓がある場合が多い
<1DKのデメリット>
・ワンルームや1Kに比べると家賃が高い
・1980年代に主流となった間取りのため、築年数が古い物件が多い
・ワンルームや1Kより掃除の手間がかかる
1DKとは?間取りの特徴や1R・1LDKとの違い、選び方のポイントを解説
アンケートで聞いた 1DKに住んで良かったことは?
- 回答者の声
- DK部分で食事をするスペースや生活必需品などの収納が確保できたため、リビング部分がかなり広く使えて快適だった。30代/男性
- 台所と居住空間が別なので、料理がしやすい。40代/男性
- 1kの部屋と比べると部屋の広さにゆとりがあるので、くつろぎやすくてとても気に入っている。20代/女性
- ダイニングキッチンと洋室が区切られているので、臭いをシャットダウンできる。30代/女性
- ダイニングがあるとキッチンが広いので料理もしやすかった。1部屋だが、こじんまりとしていて落ち着く。30代/女性
1DKがおすすめの人
1DKは、ワンルームや1Kに比べて多少家賃が高くなっても、ゆとりのあるキッチンが欲しい人におすすめです。築年数が古い物件が比較的多いので、ワンルームや1Kとほぼ同等の価格で借りられることもあります。築年数が古いといっても、リノベーションなどで内装をきれいにしている場合も多くなっています。築年数は気にしないので、予算の範囲内でできる限り広い部屋に住みたいという人にぴったりです。
一人暮らしにおすすめの間取り4:1LDK

1LDKは、8畳以上の広さのキッチンと居室という間取りです。キッチンスペースは、ダイニングテーブルに加えてソファなどを置くだけのゆとりがあり、リビング・ダイニングとして使えます。生活スペースとしてくつろぐ部屋と、寝室を完全に分けられることから人気が高く、一人暮らしはもちろん、二人暮らしでも1LDKを選ぶ人は多いです。
ほかの間取りと比べると、1LDKのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<1LDKのメリット>
・食事をしてくつろぐ部屋と寝室を完全に分けられるので、メリハリのある生活ができる
・リビングスペースが広く、来客対応がしやすい
・大きめの家具が置ける
<1LDKのデメリット>
・ほかの間取りに比べて家賃が高い
・部屋が広い分、掃除の手間がかかる
・エアコンは各部屋に2台設置されている場合が多く、冷暖房費がかさむ
一人暮らしで1LDKは広すぎる?男女別レイアウトのポイントとは
アンケートで聞いた 1LDKに住んで良かったことは?
- 回答者の声
- 部屋がある程度広いことで色んな家具を置いてインテリアなどを楽しめたり急遽親や友人が泊まりに来ても困らない20代/男性
- 寝室と別なので人が来た時に寝室を見られることがなく、逆に友達や家族が来た時に寝るスペースを作ることができる。20代/女性
- 1Kの時は冷蔵庫を部屋に置いていたが、1LDKではキッチンに置くことができ、部屋を広く使えた。50代/女性
- 寝る部屋と普段過ごす部屋を分けることでオンオフがはっきりし、メリハリが出来る40代/男性
- 一人暮らしには広すぎず、狭すぎず、ちょうどいい間取り。30代/男性
1LDKがおすすめの人
1LDKはリビングが広く、生活スペースにゆとりがあるので、家で過ごすことの多い人には特におすすめです。ただし、ワンルーム、1K、1DKに比べると家賃は高くなるので、予算に余裕があり、広い部屋に住みたい人向けといえます。なお、2人でも無理なく住めるので、恋人や結婚相手ができてからも住み続けたい人にもぴったりです。
一人暮らしにおすすめの間取り5:2K

2Kは、6畳未満のキッチンと居室2つの間取りです。2Kは昭和中期に人気となった間取りで、築年数が古いことが多く、家賃が比較的安いので、家賃を抑えて部屋数を確保したい人におすすめです。全体の占有面積は、1DKと同程度の物件が中心です。
ほかの間取りと比べると、2Kのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<2Kのメリット>
・1Kや1DKとあまり家賃が変わらない
・寝室とは別に、趣味部屋や仕事部屋を確保できる
<2Kのデメリット>
・築年数が古い物件が多く、水回りなどの使い勝手が悪い場合がある
・物件数が少ない
アンケートで聞いた 2Kに住んで良かったことは?
- 回答者の声
- ある程度の荷物があるため、2間あるのは助かる。60代/男性
- 友人が泊まりに来た時に部屋が分かれているので、お互い気にせずに過ごしたり、寝たりすることができる。30代/女性
- 普段は部屋のふすまを取り払って、広いワンルームのように使えた。30代/女性
- ひとつが主に生活をする部屋で、もうひとつが寝室兼荷物置き場の部屋で1人にしては十分な広さで快適でした。20代/男性
2Kがおすすめの人
2Kの物件は築年数が古いものが多く、ほかの間取りに比べて家賃が安い傾向があるので、築年数へのこだわりより、趣味部屋・仕事部屋などに寝室以外の部屋を確保したい人に向いています。
リフォーム済みできれいな物件も多いですが、昔の生活習慣を反映して、洗濯機置き場がベランダにあったり、浴槽が正方形サイズだったりする物件もあるので、間取りや水回りの環境をしっかりチェックしてから選びましょう。

2Kの間取りは、複数の部屋を区切っているので、部屋の配置状況によっては採光不足や風の取り入れが難しいといった問題があります。部屋と部屋の間の通路や、家具の配置によっては生活動線がスムーズでないこともあるので、一人暮らし初心者にはやや難易度の高い間取りです。部屋の数にこだわらないなら、ワンルーム、1K、1DK、1LDKから一人暮らしを始めてみるといいでしょう。
大学生・社会人・高齢者の一人暮らしにおすすめの間取り

同じ一人暮らしでも、学生と社会人では家賃にかけられる金額やライフスタイルが異なるため、おすすめの間取りが変わってきます。また、高齢者の一人暮らしでは、動線などを踏まえて間取りを選ぶことが大切です。ここでは、それぞれにおすすめの間取りを見ていきましょう。
大学生におすすめの間取り:ワンルーム・1K
学生の一人暮らしにおすすめの間取りは、ワンルームや1Kです。キッチン周りの設備が比較的簡易なものである分、家賃を抑えることができます。シンプルな間取りなので、初めての一人暮らしでも、生活動線や家事動線が複雑になることはなく、生活リズムをつかみやすいでしょう。
自炊をメインにしたい場合は、キッチンと居室に仕切りがあり、料理のにおいが気になりにくい1Kがおすすめ。簡単な料理しかしないなら、ワンルームで小さめのキッチンの物件でも十分です。
社会人におすすめの間取り:1DK・1LDK
社会人の一人暮らしにおすすめの間取りは、1DKや1LDKです。広さに伴い家賃相場は高くなりますが、学生時代と比べて社会人は家賃にかけられる費用が増えるため、間取りの選択肢が広がります。
1DKや1LDKは、ダイニングスペースと居室が分けられるのが大きな特徴です。食事をするスペースと寝室のスペースを分けることで、生活にメリハリをつけられるでしょう。
また、テレワークのある職場の場合、ダイニングスペースで仕事をして、寝室はしっかり休息する場所として分けておくことで、仕事とプライベートの区切りをつけやすくなります。
高齢者におすすめの間取り:1DK
高齢者の一人暮らしにおすすめの間取りは1DKです。荷物が多くなりがちな高齢者の場合、ワンルームや1Kだとやや手狭ですが、1LDK(リビング・ダイニング・キッチンが8畳以上)だと広くなり、掃除などの手間が増えてしまいます。1DKなら、掃除・洗濯・料理などの家事動線も良く、加齢によって体力が衰えてきても、部屋の管理がしやすいでしょう。
間取りのほかにも、災害時の移動に備えて1階の部屋にしたり、バリアフリー対応の部屋を選んだり、近くに医療機関のある立地を選んだりすることも大切です。
60代女性の一人暮らし。生活費や老後資金の不安をなくし楽しみを増やす方法

賃貸市場においては、シーズンや時期によって家賃が若干変動することがあります。特にオフピーク時期を狙って探すと、家賃が比較的安くて広めな物件が見つかるかもしれません。また、オフシーズンのほうが大家さんとの交渉もしやすくなるので、予算内で理想の間取りに住みたいなら、季節を選んで部屋を探してみるのもおすすめです。
まとめ
一人暮らし向けのマンションの間取りとして、ワンルーム、1K、1DK、1LDK、2Kの5種類を紹介しました。
「荷物が少なくて自炊頻度も低く、家賃の安さを第一に考えるならワンルーム」「設備は多少古くても、ゆとりのあるキッチンを優先するなら1DK」など、生活において何を重視するかによって、適した間取りは変わってきます。各間取りの特徴を参考に、自分のライフスタイルに合った間取りを探してみてください。
監修者プロフィール

- 高野 友樹
- 公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
不動産会社にて600件以上の仲介、6000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。現在は株式会社高野不動産コンサルティングを設立し、不動産コンサルティングを行う。