住まいのコラム

ワンルーム一人暮らし!
メリット・デメリットとレイアウトのポイント

最終更新日:

監修者
亀梨 奈美
不動産ジャーナリスト/株式会社real wave代表取締役
ワンルームのメリット・デメリットは?
ワンルームは1Kよりも低い家賃で借りられることが多いです。仕切りがないため部屋が広く見えやすく開放感を感じられるのもメリットです。一方で玄関と居室が一体化しているため、外から内部が見えやすい構造です。また、キッチンも居室と一体なので、部屋にこもった料理の匂いがソファや寝具につかないよう注意する必要があります。

ワンルームは一人暮らし向けの間取りのひとつです。賃貸物件の間取りでは最小構成であるワンルームは、ほか間取りに比べてどのようなメリットがあり、注意すべき点があるのでしょうか。

今回はワンルームで一人暮らしをするメリット・デメリットと、ワンルームを過ごしやすい空間にするレイアウトのポイントを解説します。

「ワンルーム」とはどのような間取りか

ワンルームとは、居室1つとキッチン・玄関が一体化した間取りを指します。キッチンと居室の仕切りや玄関と居室をつなぐ廊下はありません。バス・トイレに関しては、それぞれ独立している、いわゆる「バス・トイレ別」のワンルーム物件もあれば、バス・トイレが一緒になっている物件もあります。

ワンルームの物件探しでチェックすべきポイント

ワンルームはほかの間取りと比べても安い家賃で借りられる物件が多く、初めての一人暮らしにもおすすめの間取りです。ただ、ワンルームとひとくちに言っても物件により特徴はさまざま。物件を探す際は、ワンルームであるということ以外にも、以下の点をチェックしておきましょう。

専有面積

ワンルームはあくまで居室とキッチン・玄関が一体化した間取りを指しており、居室の広さを表してはいません。物件ごとに部屋の広さが異なりますので、不動産広告を見るときには居室の広さを確認する必要があります。

同じワンルームでも、6畳と8畳では置ける家具の大きさや数が異なり、生活の仕方も変わります。ワンルームの物件を選ぶ際には、間取りだけでなく物件の広さにも注目しましょう。

収納量

多くのワンルーム物件には収納が備え付けられています。築年数が古い物件は押入れ、新しくなるほどクローゼットが採用されていることが多く、数や広さも物件によって異なります。

押し入れはクローゼットに比べて奥行きが広く設計される傾向があり、収納量に期待できます。しかし一般的に上下段を仕切る構造になっているため、コートのような丈の長い服を収納するのには向いていません。

収納の広さや形状には一長一短がありますので、自分の荷物の量や内容にあった収納を選ぶとよいでしょう。

キッチンの場所

同じワンルームでも、過ごしやすさや使い勝手はキッチンの場所によって大きく変わります。キッチンが居室からはみ出した部分に設置されている場合、居室とキッチンを仕切りやすいため、生活スペースを確保しやすくなります。

一方でキッチンが居室内に設置されている物件では、居室の一部をキッチンスペースに割かなければならないため、十分な広さを感じることは難しいでしょう。

居室を少しでも広く使いたい方には、1Kのようにキッチンエリアが独立した間取りの物件がおすすめです。

ワンルームのお部屋はコンパクトなものが多いですが、中には40㎡、50㎡を超える物件も見られます。間取りタイプを絞って物件検索することもできますが「ワンルーム=狭い」と決めつけ対象から除外してしまうと、自分に合った物件を見逃してしまうことにもなりかねません。

ワンルーム一人暮らしのメリット

賃貸物件の間取りでは最小構成となるワンルームですが、ワンルームで一人暮らしをすることには大きなメリットもあります。

家賃が低い傾向にある

一人暮らしとなると、家賃を誰かと折半するわけにはいきません。毎月の出費となる家賃には慎重になる人も多いでしょう。
ワンルームは、一般的にほかの間取りよりも家賃が低く設定される傾向にあるため、学生や新社会人など毎月の支出を抑えたい人にとって魅力的な選択肢だといえるでしょう。

開放的

ワンルームの間取りは、玄関を開けるとすぐに居室が広がる形式が一般的です。キッチンと居室を分ける仕切りが無く室内が全てひとつにまとまっているため、1Kに比べて開放的な間取りだと感じられるでしょう。

掃除が楽

一人暮らしだと、基本家事はすべて自分で行うことになります。
となれば、掃除がラクにできる間取りかどうかも気になるところ。

ワンルームでは居室とキッチンの間に敷居がないため、部屋の中の段差が多くありません。段差はほこりやゴミが溜まりやすく、敷居が多い部屋ほど掃除に手間がかかるといえます。

敷居のないワンルームはほこりやゴミが溜まりにくいため、掃除が手軽に済む点がメリット。

たとえ専有面積が広くなったとしてもワンルームである以上敷居は多くないので、広い部屋でも短時間で掃除を終わらせられるでしょう。

ワンルーム一人暮らしのデメリット

一人暮らしにコンパクトな生活を求める人にとって、ワンルームは魅力的な選択肢になりえます。

一方で便利な面ばかりではなく、ワンルームならではのデメリットも存在しています。

部屋を狭く感じやすい

ワンルームはキッチンが居室に含まれているため、1Kに比べて居住スペースとして使用できる空間が狭くなります。同じ6畳の表記でも、6畳をまるまる居室に使える1Kに対し、ワンルームは実質4.5~5畳程度しか使えないと考えてよいでしょう。

1Kで一人暮らしをしていた方がワンルームへ転居すると、キッチンで使っていた食器棚や冷蔵庫が部屋に入りきらないおそれがあります。もしキッチンエリアがある部屋からワンルームへ転居する際には、従来の部屋よりも広い間取りの物件を選ぶか、転居を機に不要な家財道具を処分するようにしましょう。

玄関から室内が見えてしまう

ワンルームは玄関と居室が一体になっている間取りが多いため、玄関を開けると生活スペースが全て見えてしまいます。玄関前の廊下を歩く隣人や宅配業者などに室内を見られやすいため、ほかの間取りよりも他人に見せたくないものを見られるリスクは高まるでしょう。

特に女性の一人暮らしの場合、室内がまる見えになってしまうのは防犯上も避けたいものです。

外から部屋を見えにくくする方法のひとつが玄関カーテンです。
あまり玄関ドアにカーテンレールがついている家はありませんが、突っ張り棒で設置できるカーテンも多く販売されています。デザイン性にこだわりたいならロールカーテンやアコーディオンカーテン、簡単に目線だけ遮りたいならのれんといった選択肢もあります。

料理の匂いが部屋に広がりやすい

ワンルームは居室とキッチンが一体であるため、料理の匂いが室内に広がるのを防ぐのは非常に困難です。換気扇を回しているだけでは、服や布団類などの布製品に匂いがついて取れなくなるおそれあり。居室で過ごす時間が長いワンルームの一人暮らしでは、料理の匂い対策は決して手を抜けません。

自炊をする場合には、可能ならすべての窓を開けておくといった十分な換気対策が有効です。また、服につく匂いそのものを減らすよう、匂いが残りやすい油を使った料理は控えるように注意しましょう。

ワンルーム一人暮らしのレイアウトのポイント

ワンルームは注意しなければならない点こそありますが、一人暮らしにおすすめできる間取りであることは間違いありません。ワンルームでの時間を快適に過ごせるよう、レイアウトにも気を配るとよいでしょう。

収納付き家具で省スペース

ワンルームの生活において課題になりやすいのが収納スペースの確保です。
ワンルームほかの間取りに比べて収納スペースが少ない傾向があるので、追加で収納用の家具を用意する必要が出てくることも。

ベッドやソファに収納機能がついたタイプを選べば、プラスで収納用の家具を置く必要がなく、家具を置くスペースを最小限に留めることができます。フタが開くスツールや小物を置ける棚付きのローテーブルなど、小型家具の中にも収納機能を持ったものがあります。

家具を増やして部屋を狭くしてはいけませんが、設置予定の家具を収納付きに見直すといった対応は検討する価値があるでしょう。

壁・空間を有効活用

壁のスペースや空き空間の活用は、ワンルームの収納問題を解決する有効な手段のひとつです。家具を置いた壁の面が何にも使われていないようなら、棚やフックといった壁面収納を追加し、収納やインテリアに活用するとよいでしょう。

また、すでに配置してある家具の周辺にも活用の余地がある空間は眠っています。テーブル下は広く活用しやすい空間なので、キャスター付き収納ボックスの収納場所にするなどの活用方法も検討してみましょう。

ゾーニングで空間を仕切る

ワンルームは部屋全体に一体感を出せる反面、生活の要素がすべて一部屋にまとまっているため、メリハリをつけにくい一面があります。寝る時間と生活時間にはっきりとした区切りをつけたいなら、部屋の空間を目的ごとに区別する「ゾーニング」を取り入れてみましょう。

ゾーニングのための仕切りには、背が低い本棚のような圧迫感のない家具がオススメです。また突っ張り棒で吊るしたカーテンなら、好きなときに仕切りをオンオフできますので、生活のメリハリと空間の有効活用を両立させられるでしょう。

テイスト・高さ・色で統一感を出す

すべての家具家電や雑貨が一部屋に集まるワンルームは、雑多な空間になりがち。ごちゃごちゃとした空間は生活の乱れにつながります。シンプルで統一感のある部屋作りを意識するとよいでしょう。

インテリアのテイストを同系統にまとめると、部屋に統一感が出やすくなります。最初からテイストを統一させるのが難しいようなら、インテリアをモノトーン+青といった少ない色数にまとめるところから始めるとよいでしょう。

また、統一感の演出には高さの合った家具やインテリア選びも有効です。高さがでこぼこせずに並んだ家具は、整然とした落ち着きのある空間を演出してくれます。高さが合っている家具の上はインテリア置き場としても使いやすいので、高さを合わせられる同じ規格のシリーズで揃えるのもオススメです。

ワンルームは収納量も多くない傾向にありますので、モノが収まり切らないということが起こりがちです。居室にモノが収まり切らないのであれば、トランクルームを契約し、季節ものの衣類などを収納するのも1つの手段でしょう。1ヶ月あたり数千円で借りられるトランクルームもあります。

まとめ

ワンルームは、居室とキッチンスペース、玄関が一体化した間取りの物件です。同じ6畳でも1Kより居住スペースは狭くなりますが、家賃が安く開放感があるといったメリットがあります。

1Kよりも不便な点もあるワンルームですが、レイアウト次第では十分に快適な空間を演出できます。一人暮らしの部屋を探す際には、ぜひワンルームも視野に入れながら自分好みに作り上げられる物件を選びましょう。

監修者プロフィール 亀梨 奈美 株式会社real wave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年に株式会社real wave設立。不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに執筆している。

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