住まいのコラム

引越し前にする事リスト!
手続き・荷造りなどを流れに沿って紹介

最終更新日:

監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
引越し前にやらなければいけないことは?
引越し日が決まったら、新居に荷物を運ぶための準備を進めます。同時に役所や郵便局、電話やインターネットなどの引越し手続きも並行して進めましょう。荷物の梱包も少しずつ進めておきます。引越し前にはやることが非常に多いので、やることをリストにまとめてひとつずつ完了させましょう。

引越しに関する手続きや準備を面倒に感じる人は多いでしょう。対応しなければならないことは多いですが、あらかじめやることを把握して進めれば、決して怖いものではありません。

引越しをスムーズに抜かりなく進めるためには、やることをリスト化し、スケジュールに沿ってひとつひとつ進めることが大切です。今回は引越し前にやるべきことの内容と、対応時期をリスト化してご紹介します。

引越し前にする事リスト

最初に、引越し前にやることの一覧リストをご紹介します。

引越しが決まった時
1 退去日を決める
2 賃貸住宅の解約を申し入れる
3 断捨離してものを減らす
4 引越し業者へ見積もり依頼
5 転園手続き
6 転校手続き
引越し2週間前までにする事
7 引越し業者の決定
8 ライフラインの手続き
9 固定電話の移動手続き
10 携帯電話の住所変更
11 インターネット回線の移動手続き
引越し1週間前までにする事
12 役所に転出届を提出
13 郵便局の転居・転送サービスの手続き
14 その他契約などの住所変更手続き
引越し前日までにする事
15 荷物の梱包
16 新居の掃除
17 冷蔵庫の水抜き
18 洗濯機の水抜き
引越し当日にする事
19 荷物の搬出
20 旧居の掃除
21 旧居の明け渡し
22 新居近隣への挨拶

引越し前には考えなければならないことがたくさんあります。うっかり手続きを忘れたというようなことがないよう、チェックリストを活用しながらひとつひとつ進めていきましょう。

以下で、各事項の詳細を解説します。

引越しが決まったらする事

引越しに関する手続きは、いくつかのタイミングに分類して進めると抜け漏れがでにくくなります。まずは引越しが決まった直後にやるべきことについてご紹介します。

退去日を決める

まずは、現在の物件の契約終了日となる「退去日」を決めましょう。退去日はこの先に行う手続きの基準になります。

引越しを決めてから実際に引越しを済ませて退去するまでは1~2ヵ月ほどの時間が必要です。あまり近すぎる日に退去日を設定するのは避けておきましょう。

賃貸住宅の解約の申し入れ

退去日が決まったら、現在住んでいる賃貸物件の家主・管理会社に解約の申し入れをしましょう。ほとんどの賃貸契約では、退去日から1ヵ月以上前に家主・管理会社に通告しなければならないように定められています。仮に3月15日に「3月31日に退去したい」と伝えても、4月15日まで契約が継続されるのが一般的です。そのため、どれだけ早く退去したくてもそこまでの家賃は日割で払う必要があります。

退去の申し入れはあくまで1ヵ月以上前であるため、早めに通告する分には問題ありません。1月初旬の時点で3月31日退去の予定で手続きは進められます。1ヵ月前ギリギリまで待たずに申し入れをしておきましょう。

断捨離してものを減らす

引越しが決まった時点で早めに着手したいのが、家中の不用品を処分する断捨離です。引越しは家中の品物を棚卸する絶好のタイミングです。買ったけどまったく使わなかった家電や便利グッズ、読まないまま溜めてしまった雑誌や新聞紙、サイズアウトした子どもの服など、これから使う予定のないものはどんどん処分していきましょう。

不用品を処分できると引越し先に運ぶものが減るため、引越し料金を安く抑えられる可能性があります。
また引越し先に現在の荷物をすべてしまえるだけの収納が備わっているとも限りません。使うかどうか悩むくらいの品物は処分し、できるだけ荷物を減らしておきましょう。

まだ使えそうな家電や衣服を処分するときには、捨てる前に一度フリマアプリへの出品も試してみましょう。お金を出して買ってくれる人が出てくれば、ちょっとしたお小遣い稼ぎになります。出品や発送には手間暇がかかる上、品物によっては売れるまで時間がかかるので、なるべく時間に余裕があるうちから始めるのがおすすめです。

フリマアプリで売れないもの、大きすぎて出品できないものなどは、自治体の大型ごみ処分や不用品回収業者を利用して処分しましょう。

なお、大型の家具や家電の処分には案外時間がかかります。品物によっては引越しギリギリまで部屋に残っている場合もあるので、引越しの見積もりを取る前に必要なものと捨てるものの切り分けだけでも済ませておきましょう。

引越し業者へ見積もり依頼

断捨離を進めるのと同時に、引越し業者への見積もり依頼も行いましょう。引越し業者に訪問してもらい、実際に運ぶ荷物を見てもらって見積もりを出してもらいます。

シーズンによっては引越し業者が繁忙期に入るため、2週間前に申し込んでもすでに予約を取れない恐れがあります。また同じ荷物の量でも、引越し業者によって料金には差がでます。そのため複数社に価格と対応時期の見積もりを取り、比較検討できるのが理想的です。

繁忙期は予約が取りにくいだけでなく、値段が閑散期と比較すると高めに設定されています。3~4月、9~10月は繁忙期なので、避けることができる場合はなるべく繁忙期を避けることをおすすめします。

転園・転校手続き

子どもの学区外に引っ越す場合、転園・転校の手続きも行う必要があります。公立の小中学校では、学校から在学証明書や教科書用図書給与証明書などの書類を発行してもらわなければならないため、早めに連絡しておくのが安心です。

私立は学校によって手続きの内容が違います。必要な手順を早めに確認しておきましょう。

転出の手続きと同時に、引越し先での転入手続きも並行して進めておきましょう。幼稚園・保育園は空き状況の確認が必要です。小中学校では制服や指定の学用品の用意があるため、早い時点から転入先の学校に確認しておけると安心です。

引越し2週間前までにする事

引越しが近づいてきた2週間前は、より引越しの準備が具体的になってきます。

引越し業者の決定

見積もりを取った引越し業者の中から、実際に依頼する業者を1社決定しましょう。料金の安さはもちろん大切ですが、サービスの内容や当日対応してくれる作業員の人数なども判断材料にするとよいでしょう。

多くの引越し業者では、梱包用の段ボール箱をサービスで提供してくれます。段ボールを受け取った後は、少しずつでも箱詰めを進めておくと、引越し日直前になってから慌てずに済むでしょう。

固定電話・携帯電話・インターネットの住所変更手続き

引越し先でも固定電話とインターネットを継続して使いたい場合は、引越しの手続きが必要です。

固定電話は局番なしの「116」に電話し、オペレーターの指示に従って手続きを進めましょう。もし電話が繋がりにくいようなら、インターネットからの手続きも可能です。

インターネット回線の手続きは回線業者とプロバイダそれぞれで行いましょう。引越し先でも継続して同じ回線を使いたい場合は、継続する旨を回線業者・プロバイダに申し入れます。

ただし、インターネット回線は建物や地域によって速度が変わるため、引越し先でも現在と同じ速度が出る保証はありません。また異なる業者に乗り換えることで新規契約特典をもらえる場合もあります。引越しを機に乗り換えを検討するのもよいでしょう。

携帯電話はどこにいても使えますが、登録住所が旧住所のままでは重要なお知らせが届かなくなることも。住所変更の手続きは忘れずに済ませておきましょう。

ライフラインの手続き

引越し前2週間前後には、現在利用している電気・ガス・水道といったライフラインの停止手続きを行います。それぞれインターネットで停止手続きを受け付けていますが、提供会社によっては電話での連絡が必要になる場合があります。手続き方法を確認しながら進めましょう。

電気は停止日を決めて連絡するだけで手続きが終わりますが、ガス・水道は停止時に立ち会いが求められる場合があるため、日程調整も注意が必要です。

引越し1週間前までにする事

引越しが目前に迫った1週間前にも、済ませておかなければならない手続きは、まだまだあります。

役所に転出届を提出

引越し日が近づいてきたら、市区町村の役所で転出届の手続きを行いましょう。

転出届は、現在の市区町村から異なる市区町村へ住民票を移すために必要な手続きです。転居日の14日前から手続きできるので、1週間前より以前に手続きを済ませておくことも可能です。

転出届の期限はいつからいつまで?必要なものや手続き方法を解説

なお、同一市区町村内での転居の場合は「転居届」の提出が必要です。転居届は引越しが済んだ後14日以内に手続きを行う必要があります。転出届とはタイミングが異なるので、手続きの際には注意しましょう。

転居届に必要なものと手続きまとめ!転出届・転入届との違いも解説

郵便局の転居・転送サービスの手続き

旧居に届く郵便物を新居に転送させるための手続きが、郵便局の転居・転送サービスです。申込日から1年間、はがきや封書、ゆうパックなどの郵便物を旧居から新居へ自動転送してくれます。

申し込み方法は郵便局の窓口・郵送・インターネットの3種類です。申し込みから転送が開始されるまで3~7営業日ほどの時間が必要なので、遅くとも引越し日の2週間前には手続きを済ませておくのが理想です。

郵便局の住所変更はネットでできる?転居・転送サービスに必要なものと手続き方法

その他契約などの住所変更手続き

銀行などの金融機関、保険会社などに登録した住所も変更を済ませておきましょう。ただし、金融機関やカード会社の中には、転居後の住所を確認できる証明書の提出が必要な場合があります。必要な書類を確認して手続きを進めましょう。

民間のインターネットサービスやアカウントサービスなどの登録情報も、それぞれ変更が必要です。多くは住民票などの書類なしで変更できますが、中には免許証やマイナンバーカードの提出を求められるものもあります。必要に応じて転居後に手続きを行うように準備をしておきましょう。

引越し前日までにする事

いよいよ翌日に引越しを迎える前日には、最後の確認と対応が待っています。

荷物の梱包

翌日に引越し業者に荷物を運んでもらえるよう、前日までに梱包はできるだけ済ませておきましょう。引越しに慣れていない人は思っているよりも梱包に時間を取られてしまいます。前日に集中してやるような予定を組まず、時間をかけて少しずつ梱包を進めておくのが理想的です。

転居後にすぐに使用する衣服やタオル類、食器などを梱包する箱には、わかりやすい印をつけておくことで、引越し先ですぐに使えます。また、洗面用具のように前日まで使い続けるものは当日最後に梱包できるよう、口の開いた段ボールを用意しておきましょう。最後に封をするときも、すぐに空けるための目立つ印をつけておくのを忘れずに。

新居の掃除

忘れてはいけないのが新居側の掃除です。荷物を運び入れた後は隅々まで掃除をしにくくなるので、事前にきれいにしておきましょう。

また、荷物が入らないうちに入居前からある傷や汚れのチェックをしておくのもおすすめです。退去する際に不要な修繕費を請求されないよう、写真撮影をして記録を残しておくとよいでしょう。万が一荷物の搬入時についた傷との切り分けにもなります。

冷蔵庫・洗濯機を空にして水抜き

引越し前日には冷蔵庫や洗濯機の運搬準備も済ませておきましょう。

冷蔵庫はコンセントを抜き、中身を空にしておきます。一晩経ったら水受けに溜まった水を捨て、本体や内部についた水滴もふき取っておきましょう。

洗濯機は水抜きの処理が必要です。蛇口を閉め、給水・排水ホースの取り外しもしておきます。水抜きの方法はメーカーや機種によって異なるので、取扱説明書または公式サイトを見て手順を確認しておきましょう。

引越し当日にする事

いよいよ引越し当日です。準備が順調に進んでいれば、後は引越し業者に荷物を運び出してもらうだけです。"立つ鳥跡を濁さず"となるように、最後まで気を抜かずに引越しを進めましょう。

荷物の搬出

引越しの当日は、引越し業者による荷物の搬出がメインです。すでに梱包が終わっている荷物を運び出すだけでなく、家具家電は引越し業者が養生しながらトラックへ積み込んでいきます。

運び出しの判断や順番などの指示を求められる場合もあります。スムーズに搬出できるように的確に意思を伝えましょう。

旧居の掃除

引越し業者が荷物を運び出してくれた後、退出する前に旧居の掃除をしておきましょう。長らく置きっぱなしの家具の裏や押入れの奥など、数年ぶりに掃除するような場所もあるはずです。汚れやホコリ、ごみが残らないように掃除しておきましょう。

退去後には原状回復費用の計算が行われ、余った敷金が返還されます。汚れがひどいとクリーニング代がかかってしまうため、敷金はまったく返ってこないかもしれません。きれいな状態に戻しておけば、原状回復費用があまりかからず、敷金が多く戻ってくることも期待できます。

特にキッチン、バス、トイレといった水回りは汚れが目立つ場所です。入りに掃除しておきましょう。

旧居の明け渡し

退去時には家主・管理会社に部屋を明け渡します。室内の汚れや傷などのチェックに立ち会った後は、日割の過払い家賃や敷金の返還などの説明を受け、最後に鍵を返却して退去完了です。

なお、引越し業者の作業のタイミングによっては、当日に部屋を明け渡すのが難しい場合があります。また引越し当日は新居側の対応もあり大変忙しいもの。引越し日とは別に明け渡し日を設定しておくと、余裕を持って対応できるでしょう。

余裕があれば近隣の方へ挨拶も

新居への引越しが済んだ後は、余裕があれば近所の方へ挨拶回りをしておきましょう。引越し作業で迷惑をかけたことをお詫びしながら挨拶をしておくことで、今後の新居での生活が快適で安全なものになる可能性があります。

挨拶の際には粗品を渡すのが通例です。一昔前は引越しそばを渡すような文化がありましたが、食べ物は好き嫌いや保存期間などの問題があるため、近年では日持ちしやすいお菓子やティッシュ・タオルなどの消耗品が一般的とされています。

引越しのあいさつは必要?適切な時間や粗品の選び方

引越しの挨拶は向こう3軒両隣の計5軒、集合住宅の場合は、両隣と上・下階の人、大家、管理人などです。早朝や夜間を避けて午前10時から午後6時までに挨拶を済ませましょう。

まとめ

引越しを決めてから転居がすべて終わるまで、およそ1~2ヵ月の時間がかかります。この間にはさまざまな手続きを進めながら、荷物の梱包や不用品の処分も行わなければなりません。

あまりの忙しさにうっかり大切な手続きを忘れてしまったということも考えられます。失敗の内容によっては退去できる日をずらさなければならなくなることも。ひとつひとつの手続きを忘れずに行えるよう、やることリストを確認しながら引越し前の時期に応じた対応を進めていきましょう。

監修者プロフィール 矢野 翔一 関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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