住まいのコラム
一人暮らしの引越し費用は?
距離別の相場と費用を抑えるコツ
最終更新日:
- 和田 由貴
- 消費生活アドバイザー/環境カウンセラー/省エネ・脱炭素エキスパート/エコピープル/食生活アドバイザー/家電製品アドバイザー
- 一人暮らしの引越し費用は平均いくら?
- 一人暮らしの引越し費用は、通常期で荷物が少ない場合には2万7000~6万5000円程度、繁忙期で荷物が多い場合には4万4000~14万円程度と、金額に幅があります。引越し費用は、引越し時期や荷物の量のほか、移動する距離によっても大きく変わります。
引越し費用は、引越しの時期や荷物の量、移動する距離などによって異なります。ファミリーに比べて荷物の少ない一人暮らしの引越しでは、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
この記事では、一人暮らしの引越し費用の相場や、一人暮らしの引越し費用を節約するコツを解説します。
一人暮らしの引越し費用の平均価格
引越し費用に影響するのは、主に「引越しをする時期」「移動する距離」「荷物の多さ」という3つの要素です。移動する距離が長く、運ぶ荷物の量が多いほど、引越し料金は上がります。また、就職や入学、転勤などで新生活をスタートする人が多い3~4月は、引越し業界の繁忙期であり、そのほかの時期に比べて料金が高くなりがちです。
まずは、一人暮らしの引越し費用について、時期・距離・荷物の量といった条件別に見ていきましょう。実際の費用は依頼する引越し業者によって異なりますが、一般的な相場感として参考にしてみてください。
繁忙期(3~4月)の引越し費用の平均価格
1年の中で3月から4月にかけては、引越し業界の繁忙期です。この時期の一人暮らしの引越し費用の目安は、下記のとおりです。
■繁忙期(3~4月)の引越し費用の平均価格
距離 | 荷物が少ない場合 | 荷物が多い場合 |
---|---|---|
~15km未満(同じ市区町村程度) | 3万5640円 | 4万4000円 |
~50km未満(同じ都道府県内程度) | 4万4000円 | 5万4000円 |
~200km未満(同一地域程度) | 6万1000円 | 8万1000円 |
~500km未満(近隣地域程度) | 9万円 | 11万5000円 |
500km以上 | 10万円 | 14万円 |
※掲載内容は引越し侍のアンケートデータから算出した目安です。金額は市場状況などにより上下するのでご留意ください。
通常期(5~2月)の引越し費用の平均価格
5月から1月の通常期は、繁忙期に比べて引越し費用が安い傾向があります。この時期の引越し費用の目安は下記のとおりです。距離が同じくらいでも、繁忙期と通常期では、引越し費用に数万円の差が生じることもあります。
■通常期(5~2月)の引越し費用の平均価格
距離 | 荷物が少ない場合 | 荷物が多い場合 |
---|---|---|
~15km未満(同じ市区町村程度) | 2万7000円 | 3万2400円 |
~50km未満(同じ都道府県内程度) | 3万円 | 3万5000円 |
~200km未満(同一地域程度) | 4万1750円 | 5万円 |
~500km未満(近隣地域程度) | 5万4000円 | 7万円 |
500km以上 | 6万5940円 | 9万円 |
※掲載内容は引越し侍のアンケートデータから算出した目安です。金額は市場状況などにより上下するのでご留意ください。
荷物が「多い」「少ない」の目安
引越し費用の相場を見ると、同じ一人暮らしでも、荷物の量が多いか少ないかによって引越し費用が変動することがわかります。
荷物が少ないとされるのは、基本的な家具・家電に段ボール8~10個程度の、軽トラックに載せられる範囲を指すことが一般的です。それよりも荷物が多くなり、段ボールが10個を超えて11~20個程度になると、「荷物が多い」とみなされ、2tショートトラックなどが必要になるため料金が上がります(段ボールのサイズや業者により個数の目安は異なる)。
なお、基本的な家具・家電とは、一人暮らし用の冷蔵庫や洗濯機、テレビ、電子レンジ、ローテーブル、チェストなどです。ベッドやソファなどの大型家具は引越し費用に影響する可能性があります。
また、新居や旧居が2階以上の場合、エレベーターの有無などによって引越し費用が変わることもあります。引越し業者によって料金システムが異なるため、引越し前には複数社に相見積もりをとるとよいでしょう。
一人暮らしの引越し費用を安くするコツ
一人暮らしの引越し費用を抑えるには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、6つのポイントを紹介します。
引越し費用が安くなる時期や日時を選ぶ
引越し費用を抑えるなら、できるだけ料金が安く設定されている引越し日を選びます。引越し業界には繁忙期と通常期があり、3~4月の繁忙期の料金はほかの時期に比べて高くなります。時期に制限がないのであれば、引越しをする人が少ない通常期を狙うのがおすすめです。
また、引越し費用は曜日や時間帯によっても変わります。
たとえば、土日祝日よりも平日、午前中より午後のほうが、引越し費用は安くなる傾向です。また、カレンダーに書かれている「仏滅」や「赤口」などの日は縁起が良くないと考える人もいるため、業者によっては引越し費用が安く設定されていることがあります。
一人暮らし用の引越しプランを選ぶ
多くの引越し業者では「単身パック」「単身プラン」といった名称で、一人暮らし向けのリーズナブルな引越しプランを提供しています。これらのプランでは一般的に、専用のコンテナやボックスに荷物を積み込み、ほかの利用者の荷物といっしょに運ぶことでコストを抑えています。
専用コンテナに積める範囲の量・サイズの荷物までしか対応できないというデメリットはありますが、荷物が少ない場合は検討してみるとよいでしょう。
荷造り・荷ほどきは自分でやる
荷造りや荷ほどきを引越し業者に頼むと、オプションとして追加料金がかかります。一人暮らしなら荷物は自分の分だけですから、荷造りや荷ほどきはできるだけ自分で行うことをおすすめします。
引越し開始時点までに荷造りが終わっていないと、追加料金が発生する可能性があるため、余裕を持って準備を進めておくことが大切です。
不用品は引越し前に処分して荷物を減らす
荷物の量が増えるほど引越し費用は高くなるので、不用品がある場合は引越し前に処分して荷物の量を減らしておくと、引越し費用の節約につながります。
家具や家電、洋服、本などを処分する際には、フリマアプリやリサイクルショップを利用すれば、荷物を減らすと同時に、得た資金を引越し費用にあてることもできて一石二鳥です。
大型の家具や家電は引越し後に購入する
引越しに伴って大型の家具や家電を新調する場合は、転居後の購入がおすすめです。ベッドや高さのあるタンス、2~3人掛けのソファなどがあると、大きめのトラックが必要になり、引越し料金が上がってしまいます。
冷蔵庫や洗濯機などの家電製品を新たに購入する際にも、引越し直後のタイミングで新居に届くように配送手配をしておきます。
学生なら学割プランを活用する
引越し業者によっては、学生を対象とした学割プランが用意されていることがあります。
業者によって利用条件や料金は異なりますが、学生の一人暮らしの引越しなら、単身者向けプランより学割プランのほうがお得になるケースがほとんどです。各社の学割プランを比較して利用を検討するのもおすすめです。
不用品の処分は意外とコストがかかります。大型の家具も粗大ごみの処分料は高額ですし、特にテレビや冷蔵庫などの家電の場合、家電リサイクル法の料金+引き取り料なども含め5000円以上かかることも。引越しが決まったら、早めにフリマアプリや地域の無料掲示板などへ出品するのがおすすめです。無料で出品しても、処分費用を考えれば十分節約になります。
一人暮らしの引越しにかかる費用総額の目安
一人暮らしの引越しにかかる費用総額の目安は、引越し代のほか賃貸契約の初期費用などを合わせると、総額で30万~80万円程かかるといわれています。金額に幅があるのは、新居の家賃や引越し代、家具・家電を新たに買うかどうかなどによって総額が変わってくるからです。
すでに一人暮らしをしていて転居する場合には、旧居の退去費用も必要になります。どのような費用がどれくらいかかるのかを見ていきましょう。
賃貸物件の契約時にかかる初期費用
賃貸物件を契約する際には、一般的に、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用がかかります。初期費用の目安は、家賃の半年分です。主な費用は下記のようになります。
■賃貸物件の契約費用の目安(家賃7万円の場合)
項目 | 相場 | 金額 |
---|---|---|
敷金 | 1ヵ月分 | 7万円 |
礼金 | 1ヵ月分 | 7万円 |
前家賃 | 1ヵ月分 | 7万円 |
日割家賃 | 仮に半月とする | 3.5万円 |
仲介手数料 | 1ヵ月分+消費税(10%) | 7.7万円 |
火災保険料 | 1年で1万円程度 | 1万円 |
保証料 | 半月分~1ヵ月分 | 3.5万~7万円 |
鍵交換費用 | 実費 | 2万円 |
合計 | 38万7000~42万2000円 |
引越し費用
引越し費用の金額は、引越しの時期や荷物の量、移動する距離などによって変わります。通常期で荷物も少なければ3万~4万円程度ですむ可能性がありますが、繁忙期で荷物が多く、遠距離になると、10万円を超えることもあります。
家具・家電などの購入費用
初めての一人暮らしなら、引越しに合わせて、生活に必要な家具・家電を一式そろえなければなりません。特に、カーテンや照明器具、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビなどは、引越し後すぐに使うものです。さらに、部屋にガスコンロやエアコンがついていない場合は、それらの購入費用も必要です。
一般的に、一人暮らしの引越しで家具・家電を一式購入する場合、総額で15万~20万円程度が必要といわれています。主な家具・家電の価格の相場は、下記のとおりです。
■家具・家電などの購入費用の目安
必要なもの | 価格の相場 |
---|---|
冷蔵庫 | 4万円 |
洗濯機 | 3万円 |
電子レンジ | 1万円 |
テレビ | 3万円 |
炊飯器 | 7000円 |
照明器具 | 5000円 |
テーブル | 7000円 |
カーテン | 5000円 |
寝具一式 | 1万円 |
調理器具・食器類 | 8000円 |
※2023年7月末時点の価格相場を参考に作成
賃貸物件の退去費用
すでに一人暮らしをしている場合は、旧居の退去費用がかかる可能性があります。
退去費用とは、主に、借主の故意や不注意による傷、汚れなどを修繕する原状回復費用のことです。また、入居時の契約によっては、退去時にハウスクリーニング費用を負担しなければならないケースもあります。
一人暮らしの退去費用の相場は、5万円前後です。また、住んでいた年数が長くなるほど、請求される退去費用は高くなる傾向があります。入居時に敷金を預けている場合は、退去費用が敷金から差し引かれ、残りが返金されます。
入居時、退去時にかかる費用は、賃貸借契約書に書かれています。退去時になってから「こんなに費用がかかるの?」とならないように、契約時にしっかり確認しましょう。特に敷金ゼロの物件の場合、原状回復などの退去費用を敷金から相殺することができないので、退去時に予想外の費用負担を感じるかもしれません。
一人暮らしの初期費用を抑えるコツ
一人暮らしの引越し費用を抑えるには、まず、引越し代が安くなる時期や日時を選ぶことがポイントです。ただ、一人暮らしにかかる初期費用の総額から見れば、引越し代はそれほど大きな割合を占めるわけではありません。引越しにかかるトータルの費用を節約するなら、引越し代以外の初期費用を少なくすることが重要です。
では、一人暮らしの初期費用を抑えるには、どのような方法があるのでしょうか。
敷金ゼロ・礼金ゼロの物件を探してみる
賃貸物件の契約時にかかる敷金や礼金のほか、仲介手数料が安い物件を探せば、一人暮らしの初期費用を大幅に抑えることができます。中には、「ゼロゼロ物件」と呼ばれる、敷金・礼金が0円の賃貸物件もあります。
ただし、敷金ゼロ・礼金ゼロの物件は、退去時にクリーニング代など別の費用を支払う契約になっていることもあるため注意が必要です。
火災保険・保証会社の費用をチェック
ほとんどの賃貸物件では、火災保険の加入が入居条件となっています。また、賃貸契約にあたって家賃保証会社の利用を求められることがあります。火災保険の保険料や家賃保証会社の保証料は物件や会社によって異なるので、金額を比較して、高すぎることがないかチェックしましょう。場合によっては、自分で加入する火災保険を選ぶことで、保険料を抑えられる可能性もあります。
また、鍵交換費用や退去時のクリーニング代の有無や金額も、賃貸物件によってさまざまです。契約内容をよく確認し、納得できない費用については不動産会社と交渉することをおすすめします。
家具・家電は必要最低限をそろえる
一人暮らしで使いたい家具や家電を入居時にすべてそろえようとすると、高額な費用がかかります。初期費用を抑えるなら、まずは必要最低限の家具・家電をそろえて、残りは生活しながら少しずつ買い足していくのがよいでしょう。
新品を購入するのではなく、リサイクルショップやフリマアプリ、不用品の譲り受けサービスなどを活用するのもひとつの方法です。
引越しの初期費用や節約のコツについてはこちらでも詳しく解説しています。
賃貸借契約時には、重要事項説明書の説明が必ず行われます。重要事項説明書の中には、原状回復費用の負担、退去時にかかる費用など、重要な内容が記載されています。記載内容と口頭での説明に相違がないか、借主が一方的に不利な内容ではないかなど確認し、十分に納得できる内容と判断してから契約しましょう。
まとめ
一人暮らしの引越し費用は、時期や荷物の量、距離によって変わります。また、一人暮らしを始めるには、引越し費用のほかにも初期費用や家具・家電の購入費用などがかかります。
一人暮らしにかかる費用はさまざまな工夫で節約することができるので、引越し費用を安くするコツを知って、上手に節約を目指しましょう。
監修者プロフィール
和田 由貴
消費生活アドバイザー、環境カウンセラー、省エネ・脱炭素エキスパート、エコピープル、食生活アドバイザー、家電製品アドバイザー
食費・光熱費・交通費・レジャー費など生活全般の節約、エコライフ、買い物、100円ショップなどを専門分野に、暮らしや家事の専門家としてメディアなど多方面で活動。