住まいのコラム

転居届に必要なものと手続きまとめ!
転出届・転入届との違いも解説

最終更新日:

監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
転居届を出さないとどんなリスクがある?
転居届を提出しないと、国や地方自治体などから送られる公的書類を受け取れなくなります。また住民票などの公的書類の交付を受けられない、公共サービスの利用が制限されるといった問題も発生します。一生に関わる手続きができなくなるリスクもあるので、手続きは忘れずに済ませましょう。

引越しの際は住民票を移動しなければなりません。この住民票を移すために提出する書類のひとつが「転居届」です。

転居届は同一市区町村内での引越し時に必要になります。ここでは、転居届を提出しなければならない理由や、手続きの方法についてご紹介します。

転居届とは同じ市区町村内での転居に必要な書類

転居届は、同じ市区町村内で転居する際に、住民票の住所変更手続きをするための書類です。厳密には転居届という書類は存在せず、役所の窓口でもらえる「住民異動届」の「転居」の欄にチェックを入れて提出します。

住民票は市区町村単位で管理をしているため、ほかの市区町村へ転居する場合には、転出元と転入先の両方で手続きを行う必要があります。しかし同一市区町村内で転居する場合には、同じ管轄エリア内で処理が完結するため、一回の手続きで終えられます。

転出届との違い

転出届は現在の居住地とは異なる市区町村へ転居するために必要な書類です。現在の市区町村から住民票を切り離し、異なる市区町村へ転入できる状態を作ります。

転出届が役所に受理されると「転出証明書」が発行されます。転出証明書は住民票がほかの市区町村に移動できる状態であることを証明する書類です。引越し先に転入するために必要なので、転入手続きを追えるまでは大切に保管しましょう。

転入届との違い

「転入届」は、引越し先の市区町村に住民票を登録するために必要な書類です。引越し前の市区町村役所で発行された転出証明書と一緒に引越し先の役所に提出することで、住民票を引越し先に移動できます。

転入届だけでは住民票を移動させることはできず、必ず転出届とセットで手続きします。手続きが分かれているため、転出証明書を受け取ったままうっかり転入届を忘れてしまう可能性も。早めに転入手続きまで済ませるようにしておきましょう。

転居届に必要なものと手続きの流れ

引越しの時期にはさまざまな手続きを行わなければならず、転居届の手続きまで手が回らないという人もいるかもしれません。しかし転居届の提出は法律で義務づけられており、公的なサービスを受けるためには欠かせない手続きです。優先して済ませるように手配しましょう。

手続きのタイミング

転居届の提出は、転居を済ませてから14日以内に行う必要があります。引越しを済ませる前には受け付けてもらえません。必ず転居後に手続きを行いましょう。

市区町村をまたいだ転居のときのように転出・転入の手続きを別々に行う必要がなく、一度役所に行けば手続きが終わるため、引越しを済ませた直後に時間を作って済ませるのがおすすめです。

必要なもの

転居届の手続きには以下の書類が必要です。

・本人確認書類
   ※運転免許証、保険証、在留カードなど
・印鑑
・国民健康保険証、介護保険被保険者証など
   ※該当する場合

手続き方法

転居届の手続きは、市区町村の窓口に記入済みの住民異動届と上記の書類を提出するだけ。あとは係員が適切に処理を進めてくれます。提出書類に漏れがないように注意しましょう。

国民健康保険に加入している場合、転居届を提出すれば同時に住所変更の手続きを行ってくれます。その際には一度古い国民健康保険証を返却する必要があります。普段保険証を使わない人はうっかり忘れないように注意が必要です。

また、市区町村に登録した印鑑証明の住所変更も、転居届の提出だけで行えます。住所変更後は古い住所が記載された印鑑証明書は無効になります。必要があれば再度発行してもらいましょう。

もし平日に自分で役所に行って手続きをするのが難しい場合には、代理人に手続きを代行してもらうことができます。同一世帯内の家族であれば、特に追加の書類は必要はありません。家族以外に依頼する場合は、本来手続きを行う本人による委任状が必要です。

市区町村によっては、役所に土日祝日専用の受付窓口を設けている場合があります。受付時間は平日よりも短く設定されている場合があるので、窓口を利用できるかどうかも含めて役所に確認しておきましょう。

なお、マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードがあれば、役所に出向かずにインターネットで手続きを済ませることも可能です。

住所が変更になった場合は運転免許証の住所変更も必要です。忘れると免許証の更新に関する連絡が届かず、更新を逃し免許が失効する可能性があるため、警察署や運転免許センターで忘れずに変更しましょう。

転居届の期限は移転から14日後!出さなかった場合のリスクは?

転居届は、転居を済ませた日から14日以内に市区町村役所へ提出する必要があります。この期日は住民基本台帳法により定められているものであり、期間内に提出を済ませない場合には、法的なペナルティを負うこともあります。

公的書類が届かない

転居届の手続きを正しく完了しないことで考えられるリスクのひとつが、公的書類を受け取れないということ。

国や地方自治体から送られる公的書類は、原則として住民票に登録された住所へ発送されます。引越し後も住民票を移さないままにしておくと、公的な書類を送付する郵便物が旧住所に届いてしまい、宛先不明のまま送り主に返送されてしまうので注意が必要です。

公的な書類の中には役所から送られる「入学期日・学校指定通知」のように、受け取れないと取り返しがつかなくなるようなものも多く含まれているため、住民票を移さないことによるリスクは非常に大きいといえます。

有効な公的書類を取得できない

転居届を提出していないと、住民票や印鑑証明などの公的書類を取得できない可能性があります。

転居届の手続きをしないままでも、役所に行けば旧住所が記載された公的書類の発行は受けられるでしょう。しかし、提出先によっては居住実態がない住所が記載された公的書類を無効と判断する恐れがあり、住民票や印鑑証明を用いて結んだ契約が無効になる場合もあるかもしれません。

そうなると再手続きに時間がかかるだけでなく、経済的な損失や法的な責任を問われるリスクも高まります。

公共サービスを利用できない

住民票が現住所に更新されていないと、公共サービスの利用に制限がかかる場合があります。公的施設の多くは、近隣の地域住民に利用してもらうためのものです。同一市区町村内に住民票がある状態ならば問題なく利用できる可能性はありますが、住民票の住所に居住実態がないことを理由に、利用を断られることも十分に考えられます。

リスクとしてはあまり大きなものではありませんが、生活の至る所で不便さを感じるようになるかもしれません。

5万円以下の過料を科される可能性がある

転居届は、転居を済ませた日から14日以内に市区町村役所へ提出する必要があります。この期日は住民基本台帳法により定められているものであり、期間内に提出を済ませない場合には、法的なペナルティを負うこともあります。

住民基本台帳法では、正当な理由なく転居から14日以内に転居届を提出しなかった者に対し、5万円以下の過料を科すように定めています。

過料は行政上の秩序罰に該当する罰則です。刑事罰ではないため前科にはならず、履歴書の賞罰に記載する義務はありません。しかし、前述したように、手続きを行わないことで生活におけるさまざまな不具合が生じる恐れがあります。

定められた期日内に手続きを行うように努め、もしなんらかの事情で手続きが遅れそうな場合には、役所に一言相談しておくとよいでしょう。

短期の住み込みや単身赴任、一時的な転居などで生活拠点が変わらないといったように、転居届を出していないことに正当な事由が認められる場合は過料を科されることはありません。

まとめ

転居届は、同一市区町村内で住所を変更するときに市区町村役所へ提出する書類です。ほかの市区町村への移動がないため、転出・転入届のように複数回の手続きを行う必要がなく、転居届を一回提出するだけで住民票更新の手続きが完了します。

居住する市区町村が変わらない転居は、住民票を移動しなくても大きな問題がないように思えるかもしれません。しかし転居届を提出しないままにしておくと、国や地方自治体からの書類が届かないだけでなく、公共サービスの利用に制限がかかる場合もあります。

日常の生活の中で不便が生じるリスクが非常に大きいので、近場への転居であっても必ず転居届の提出は行いましょう。

監修者プロフィール 矢野 翔一 関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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