住まいのコラム
郵便局の住所変更はネットでできる?
転居・転送サービスに必要なものと手続き方法
最終更新日:
- 矢野 翔一
- 2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
- 郵便局の住所変更方法は?
- 郵便物の転居・転送サービスは郵便局で受け付けています。身分証明証と旧住所を証明する書類があれば、全国どこの郵便局からも申し込みが可能です。また、窓口だけでなく郵送やインターネットでも申し込めます。有効期限は申込日から1年間であり、手続きをすれば期間を1年単位で延長可能です。
引越しの際には、住民票や健康保険の移転など、さまざまな手続きをする必要があります。そのうちのひとつが、郵便局の転居・転送サービス。転居先でも変わらず郵便物を受け取るために欠かせない手続きです。
郵便局の転居・転送サービスは、どのような手順で手続きを行えばよいのでしょうか。今回は、引越し時には欠かせない郵便局の転居・転送サービスの手続き方法についてご紹介します。
郵便局の転居・転送サービスって何?
引越しにともない必要となる、各種サービスの登録住所変更手続き。すべて終わらせたつもりでも、うっかり手続きが漏れてしまうことも少なくありません。
郵便物の配送先の住所変更が漏れてしまうと、重要なお知らせが旧住所に届いてしまい、生活い支障が出てしまうことも。そうしたトラブルを避けるために利用したいのが、郵便局の転居・転送サービスです。
旧居に届いた荷物を新居に転送してくれるサービス
転居・転送サービスは、旧住所に配達される郵便物を新住所に転送する郵便局のサービスです。転送元の旧住所と転送先の新住所を記載した「転居届」を提出することで、旧住所宛のはがきや封書、ゆうパックなどの郵便物が無料で新住所に届くようになります。
転送期間
転居・転送サービスの有効期間は、転居届の提出日から1年間と定められています。原則として期間途中での解除はできませんが、サービスの継続・延長は可能。転送サービスの更新手続きを行うことで、転送期間を1年単位で継続・延長できます。
郵便局の転居・転送サービスの手続き方法
引越し後に郵便物の受け取り漏れを防いでくれる転居・転送サービスは、必ず済ませておきたい手続きのひとつ。手続き方法は3種類用意されており、いずれの方法で手続きを行っても転居・転送サービスの内容は変わりません。
インターネットによる手続き方法
転居届はインターネット経由で提出することができます。手続きには郵便局が発行する「ゆうびんID」が必要であり、郵便局のホームページ上にある「e転居」から申し込みできます。
手続きの手順は以下の通りです。
(1)郵便局ホームページからe転居(https://welcometown.post.japanpost.jp/etn/)にアクセス
(2)ゆうびんID(https://lp.jpid.pf.japanpost.jp/)を持っていなければ取得
(3)「スマートフォンご利用の方はこちらから」「PCご利用の方はこちらから」のいずれかへ進む
(4)ログインしてガイダンスに従って手続きを進める
(5)転居届受付確認センターへ電話
※(4)の手続きの中で入力した電話番号で電話をかける必要あり
(6)手続き完了
ポスト投函による手続き方法
転居届をポストに投函する方法でも転居・転送サービスの手続きを進められます。ただし、転居届の用紙は郵便局の窓口でしか入手できないため、一度は郵便局に足を運ぶ必要があります。
転居届の裏面には転居届管理センターの住所が記載されており、封書としてポストに投函できます。切手を貼る必要はなく、本人確認書類の提出も不要であるため、転居届を入手し、必要事項を記入した直後に投函することも可能です。
窓口で手続きする方法
転居届の提出は、郵便局の窓口でも行えます。提出先はどの郵便局でもよく、最寄りである必要もありません。また、住民票を新居に移す前でも手続きは可能です。
郵便局の窓口で手続きを行う場合は、本人確認書類および旧居の住所を確認できる書類の提出が必要です。
必要書類が揃ったら、以下の手順で手続きを進めましょう。
(1)郵便局の窓口で転居届の用紙を入手し、必要事項を記入
(2)窓口へ本人確認書類と転居届を提出
(3)局員による確認が完了後、不備がなければ手続き終了
手続きはいつまでにすればいい?
転居・転送サービスの手続きは、引越し当日の10日前には済ませておくのが理想です。転送届が受理され、転送が開始されるまでは3~7営業日の期間が必要であるため、転居ギリギリに手続きをしてしまうと、しばらくは旧居に郵便物が届いてしまう可能性があります。
なお、転居届には転送開始希望日を指定する欄があり、転送がスタートする時期を選ぶことができます。もし転居届の提出日から1ヵ月後に転送開始を希望した場合は、3~7営業日が経過しても転送は始まらず、1ヵ月経過後の指定日になってはじめて新居へ転送された郵便物が届き始めます。
引越し日が数週間後に決まっているような場合は、余裕を持って転居届を提出すれば、転居した初日から転送された郵便物を受け取れるようになるでしょう。
引越し前後は、引越し準備に加え、役所への転出・転入の届出やライフラインの解約などやるべきことが膨大にあります。郵便局から届く書類には、重要書類も多いもの。確実かつスムーズに転居・転送の届出ができるよう、早め早めに動くことをおすすめします。必要に応じて、引越し前後のやるべきことリストのようなものを作成するのもよいでしょう。
郵便局の転居・転送サービスの手続きに必要なもの
転居・転送サービスの手続きには、事前に以下の書類を用意しておく必要があります。
・本人確認書類
・旧住所を確認できる書類
郵便局の窓口での手続きには「本人確認書類」および「旧住所を確認できる書類」の提出が必要です。転送先の新住所を確認する書類は必要ありません。旧住所が記載された運転免許証があると、両方の要件を満たしてくれるため便利です。
インターネット経由での手続きでは、顔写真付きの本人確認書類の提出が必須です。運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、在留カードのいずれか1点が必要であり、パスポートは顔写真付でも対象外です。
また、マイナンバーカードによる本人確認は即時完了するため手続きがスムーズに進みますが、それ以外の本人確認書類では確認に数日の時間が必要です。そのため、郵便局の窓口のほうが早く手続きが終わる場合があります。
なお、郵便局の窓口およびポスト投函で手続きを行った場合、第三者による不正な転居・手相サービスの利用を防ぐため、新居への郵便局員の訪問や旧居への確認書類送付が行われる場合があります。特にポスト投函による手続きでは本人確認書類の提出が不要であるため、確認が行われる可能性は高いと考えておきましょう。
郵便局の転居・転送サービスを利用するときの注意点
引越し時には便利な転居・転送サービスですが、必ずすべての配達物が転送されるとは限りません。油断していると大切な郵便物が新居に届かなかったということも……。
以下で、事前に知っておきたい、転居・転送サービス利用における注意点を解説します。
転送されない郵便物もある
転居・転送サービスを申し込んでも、「転送不要」と明記された郵便物は転送の対象にはなりません。転居届が受理されていても旧居に配達されてしまうため、受取人不在の場合には差出人に返却されてしまいます。
転送不要の郵便物は、銀行などの金融機関やクレジットカード会社、証券会社などから送られるものが該当します。それらの差出人から届く郵便物は、受け取りに本人確認が必要な重要書類であることがが多く、第三者による不正な受け取りを防ぐために転送が行われません。
金融機関などからの郵便物が旧居に届き続けてしまうと、サービスを受け続けるために必要な手続きを逃すことも考えられます。転居後には優先して住所変更を済ませておきましょう。
民間の宅配業者の荷物は転送されない
転居・転送サービスは郵便局を運営する日本郵便株式会社のサービスです。郵便による配達物のみが転送の対象となり、その他の民間宅配業者が扱う荷物は転送されません。はがきや封書を宅配業者が配達するメール便も転送の対象外です。
一部の宅配業者では、旧居から新居への転送サービスを独自に行っていますが、郵便局の転居・転送サービスとは別に手続きをしなければなりません。またすべての宅配業者が転送サービスを行っているわけではないので注意が必要です。宅配便で荷物が発送されるインターネットショッピングサイトなどの登録住所はすぐに変更しておきましょう。
転送期間中に引越した場合はどうする?
転居・転送サービスによる郵便物の転送は、転居届の提出から1年間有効です。原則として期間中の転送停止はできません。
ただし、転送期間中に転居し住所が変わる場合は、新たに転居届を提出することで、転送先を変更できます。すでに元の住所であるAから転居先であるBへの転居届を提出済みである場合、Bから再転居先のCへの転居届を提出することで、Aに届いた郵便物がBに転送され、Bに届いた郵便物がさらにCに転送されるようになります。
一部の家族に届く郵便物だけ転居・転送サービスを止められる?
転居・転送サービスは、同一住所に複数の人が住んでいても、そのうち特定の人だけを対象に設定できます。
たとえば父親だけが単身赴任で自宅とは別の県に転居する場合、父親だけ転居・転送サービスを申し込むことで父親宛の郵便物のみ転送され、ほかの家族宛の郵便物は自宅に届き続けます。
なお、転居・転送サービスへの申し込みは、一度に6名まで可能です。7名以上の転送を同時に申し込みたい場合は、転居届を2枚に分けて申し込みましょう。
近年まで転居・転送サービスに類するサービスを提供する民間の宅配業者も見られましたが、人材不足などさまざまな社会的背景もあり、現在はほとんどの宅配業者が転居・転送サービスを実施していません。従って、郵便局での手続きを含め、インターネット販売サイトの住所変更や知り合いの方への住所変更の報告も忘れずに行うようにしましょう。
まとめ
郵便局の転居・転送サービスは、引越しの際に必ず済ませておきたい手続きのひとつです。転居届の提出から1年間は自動的に新居の住所へ転送されるので、うっかり住所変更の手続きを忘れていたサービスがあっても安心です。
ただし、金融機関などから送られる重要なお知らせは転送不要扱いになるため、転居届を出していても転送されません。重要なお知らせが新居に届かないままになってしまう可能性もあるので、転居後には金融機関などの住所変更を優先して済ませておきましょう。
監修者プロフィール
- 矢野 翔一
- 関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。