住まいのコラム

大学生の一人暮らしにかかる費用はどれくらい?
住居費・初期費用も解説!

最終更新日:

監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
大学生の一人暮らしに必要な費用は?
独立行政法人日本学生支援機構の調査によれば、昼間部に通う一人暮らしの大学生の月間生活費は平均9.9万円です。多くの学生は親からの仕送りによってカバーしていますが、仕送りがなくアルバイト代だけで賄っている学生も一定数います。なお、一人暮らしを始めるには、生活費だけでなく、賃貸物件を借りるための初期費用として家賃の5~6ヵ月分、さらに別途家具・家電を揃えるための費用も必要です。

春から始まる大学での新生活を控え、学生本人だけでなく親御さんも不安な気持ちを抱えているのではないでしょうか。初めての一人暮らしには、住居費や生活費など予想以上にお金がかかるもの。うっかりお金を使いすぎてしまわないよう、お金の使い道と金額をコントロールできるように管理に気を配りましょう。

今回は大学生の一人暮らしに必要な費用の目安と、賃貸物件を借りるのに必要な予算についてご紹介します。

大学生の一人暮らしの生活費の平均は「約9.9万円/月」

大学生が一人暮らしで学生生活を送るには、学費のほかにも家賃や飲食費などの生活費がかかります。独立行政法人日本学生支援機構がまとめた「令和2年度 学生生活調査」によれば、大学の昼間部に通うアパート等に住む学生の生活費は、国立・公立・私立の全学生平均で1ヵ月におよそ9.9万円が必要とされています。

出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」

生活費の内訳

生活費9.9万円の内訳は、平均すると以下のような割合になります。

項目 金額 割合
修学費 7008円 7.1%
食費 22783円 22.9%
住居・光熱費 41475円 41.7%
保健衛生費 3525円 3.5%
娯楽・し好費 11350円 11.4%
その他の日常費 13233円 13.3%
合計 99374円

出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」をもとに作成

住居・光熱費が最も高く、以降は食費、娯楽・嗜好品と続きます。大学への交通費を含む修学費の割合は低めですが、これは大学の近くにアパートを借りるため、移動の費用がかからないことが影響していると考えられます。

エリア別

次に、エリア別の生活費を国立・公立・私立別に見てみましょう。

東京圏 京阪神 その他
国立 109442円 101558円 93592円
公立 119717円 99225円 90092円
私立 98467円 91950円 84408円

出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」をもとに作成

国公私のいずれにおいても東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)が高く、後に京阪神(京都府・大阪府・兵庫県)が続きます。京阪神とその他の地域はいずれも国立・公立・私立の順に生活費が高い傾向がありますが、東京圏のみ公立が最も高く、国立・私立と続く結果になりました。

男女別

最後に、男女別の生活費を国立・私立で比較してみましょう。

男性 女性
国立 92675円 98925円
私立 86517円 95600円

出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」をもとに作成

1ヵ月間に必要な生活費は、国立・私立ともに男性よりも女性が高額になる傾向が見られます。また、男女ともに私立よりも国立の生活費が高い点が共通しています。

「仕送りなし」も7%前後!大学生の経済状況

大学生の一人暮らしには、毎月9.9万円ほどの生活費が必要であることがわかりました。では一人暮らし中の学生は、その生活費をどのように確保しているのでしょうか。

同じく日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」の調査によれば、昼間部の大学に通う大学生のうち、80.7%が何らかのアルバイトに従事しています。このうち49.1%は家庭からの給付、いわゆる仕送りだけで生活日を賄うことができますが、31.5%の学生はアルバイトなしでは修学に不自由が生じる状態にあります。

また、上記の31.5%の学生のうち、7.2%は家庭からの給付を受け取っていません。男女別で見ると、男性7.9%、女性6.7%は家庭からの給付がなく、アルバイトだけで一人暮らしに必要な生活費を確保していることがわかりました。

学費+生活費の約4割を自己負担

昼間部の大学に通う学生が受け取る実家からの仕送りの平均は年額で1144700円、月額では95391円です。この金額は、実家暮らしを含む昼間部に通う全大学生の学費+生活費のうち、63.1%を占めています。

この割合は過去5年間でほぼ変動しておらず、自宅や学生寮暮らしの学生を含めれば、修学に必要な費用の4割弱を学生自身がカバーしていることがうかがえます。

アルバイトの収入は平均約3万円/月

では、学費や生活費の一部にアルバイト代でカバーしている大学生は、毎月どの程度のアルバイト収入を得ているのでしょうか。

アルバイトによる平均月額報酬
国立 27400円
公立 29942円
私立 31283円
男性 29767円
女性 31250円
平均 30542円

出典:独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」をもとに作成

昼間部の大学に通う学生が得るアルバイト報酬は、全学生平均でおよそ月額3万円前後です。国立・公立・私立の学生を比較すると、私立・公立・国立の順で高い傾向があり、男女比較では女性の収入が多い傾向が見られます。

ただし、どちらの比較においても数倍にも及ぶような明確な差はないことから、大学生の生活様式には大学の属性や性別による違いが少ないことがうかがえます。

大学生の一人暮らしの住居費・初期費用はどれくらい?

一人暮らしをスタートさせるためには、住まいとなる賃貸物件を借りるための手続きが必要です。手続きには物件を借りるための初期費用が必要ですが、大学生が借りる部屋にはどの程度の費用を見込んでおけばいいのでしょうか。

住居費の平均は約5.3万円

全国大学生活協同組合連合会がまとめた「第58回学生生活実態調査」によれば、大学生が2022年に借りた賃貸住宅の家賃の平均は、約5.3万円でした。

この家賃の額は2013年以降大きな変動はなく、学生の生活水準は直近10年近くの間に大きく変化していないことがうかがえます。

一人暮らしを始めるのにどれくらいかかる?

一人暮らしを始めるための賃貸物件の契約に必要な初期費用の相場は、およそ家賃の5~6ヵ月分といわれています。仮に入居を希望する物件の家賃が平均近くの5万円であった場合には、一人暮らしを始めるために25~30万円を用意する必要があるでしょう。

なお、一人暮らしの環境を整えるためには、契約に必要な初期費用のほかにもお金がかかります。以下は初期費用を含む、賃貸物件への引越しをするために必要な費用の一例です。

賃貸住宅の初期費用
費用相場
敷金 賃料の1ヵ月分
礼金 賃料の1ヵ月分
前払い賃料 賃料の1〜2ヵ月分
仲介手数料 賃料の1ヵ月分
火災保険料 5,000円〜1万円程度
保証金 賃料の1ヵ月分
引越し費用(1K〜1DK・100Km程度) 5万円〜6万円
家具・家電購入費(概算) 20万円〜30万円

出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」「関東運輸局」をもとに作成

上記の金額は、あくまで一般的に必要とされる費用の一例です。敷金・礼金や仲介手数料は、選ぶ物件や管理会社によって金額を抑えることができます。また家具や家電の購入費は、実家で使っているものの流用やリサイクルショップの利用などである程度抑えることができるでしょう。

一人暮らしの初期費用について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

一人暮らしの初期費用は50万円?100万円?徹底シミュレーション

敷金礼金について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

敷金・礼金を簡単にわかりやすく解説!いつ払う?返ってくるの?

敷金や礼金が無料または安い物件、仲介手数料が無料または安い不動産会社であれば初期費用を抑えられます。また、引っ越しのタイミングを2~4月の繁忙期を避けるのも費用負担を抑えるポイントと言えるでしょう。

一人暮らしの住居費・初期費用を抑えるコツ

一人暮らしにかかる住居費や初期費用は、高額になりやすい出費項目です。一人暮らしに備えてお金を用意していたとしても、できるだけ安く抑えたいのが本音でしょう。

初期費用はいくつかの条件に気をつければトータルの費用を下げやすくなります。以下を参考にしながら物件を探してみましょう。

閑散期に物件探しをする

毎年2~4月は、進学や就職にともなう転居が多い時期です。ほかの月の何倍もの入居希望者が物件探しに殺到する時期であるため、人気の物件はすぐに入居者が決まってしまいます。
大学合格が決まり物件選びを始められる頃には、すでに繁忙期が始まっているかもしれません。その時期には動きが遅れるほど良い物件を逃しやすくなるので、合格発表後は可能な限り早く物件選びに着手し、少しでも良い条件の物件に入居しましょう。

一方、2~4月の繁忙期以外は客数が非常に少ないため、ゆとりを持った物件選びがしやすいでしょう。特に12~1月からは人が移動し始める時期で、良物件が空きやすい時期だといえます。

人気の高い条件を避ける

大学近くの良物件は入学する学生の多くが狙っており、競争率が非常に高くなります。新築のマンションや築浅アパートに入居できれば大学生活が快適になりますが、ギリギリまで良物件を追い続けてしまうと、結果的に入居のチャンスを逃してしまい不人気物件しか選択肢がないという事態にもなりかねません。

あまり高くない競争率で過ごしやすい物件を確保したいなら、人気が集中しやすい条件を少し外した物件を選ぶのがおすすめです。近年はオートロックや宅配ボックスなどの機能が充実している物件が人気ですが、人気物件ほど競争率が高く、また家賃は高額になりがちです。

もちろんすべての条件を妥協する必要はありません。「バス・トイレは別」「駅から徒歩10分」など絶対に確保したい条件を決めたうえで、人気物件にこだわりすぎない気持ちで物件を探してみましょう。

敷金・礼金なしの物件を選ぶ

賃貸物件の中には敷金・礼金不要で入居可能な物件があります。初期費用の中でも大きな割合を占める敷金・礼金をゼロにできれば、入居時の出費負担を大きく減らすことができるでしょう。

ただし、敷金・礼金不要の物件は、初期費用を抑えなければ入居者が集まらない物件の可能性があります。初期費用の安さに惹かれて入居した結果、その後数年間の生活が快適でなくなるかもしれません。

初期費用の安さだけに惹かれて契約しないよう、内見時には物件の状態を確認し、住み心地の良い物件を選ぶように心がけましょう。

フリーレント物件を選ぶ

フリーレントとは、入居から一定期間の家賃を無料にするサービスです。初期費用の中には入居月と翌月の家賃が含まれていますが、フリーレント物件は入居から数ヵ月分の家賃が無料になるため、初期費用を安く抑えられます。

フリーレント期間は物件ごとに異なります。一般的には初月と翌月分程度の期間が無料に設定されていますが、まれに3ヵ月以上のフリーレント期間を設ける物件もあります。ただし、敷金・礼金不要物件と同様に不人気物件に入居者を集めるためにフリーレント期間を設けている場合もあります。無料にこだわりすぎないようにしながら、物件の状態をチェックしましょう。

フリーレント物件について、詳しくはこちらの記事をご覧ください

フリーレント賃貸物件とは?メリット・デメリットや注意点、探し方を解説

フリーレント物件は無料期間が設けられていてお得に部屋を借りられるのが魅力です。しかし、フリーレント物件は一定期間内の入居を条件としているケースが多いです。期間内に退去する場合は違約金が発生する可能性があるため、規約をしっかり確認しましょう。

まとめ

大学生が一人暮らしをするためには、平均で9.9万円必要です。多くの学生は親からの仕送りで生活費の多くをカバーしており、アルバイト代だけで生活している学生は少数です。

賃貸物件を借りるためには、初期費用として家賃の5~6ヵ月分を用意する必要があります。さらには家具・家電品やインテリアを揃えるための費用もかかるので、初期費用を安く抑えられる物件選びも考慮しながら、住み心地の良い部屋を探しましょう。

監修者プロフィール

監修者
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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