住まいのコラム

バルコニーとベランダの違いは?
バルコニー付き物件の選び方

最終更新日:

監修者
三輪 歩己
不動産鑑定士/宅地建物取引士/日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)/相続診断士/J-REC公認不動産コンサルタント
バルコニーとは?ベランダ・テラスと何が違う?
バルコニーとは、家やマンションの2階以上にある住居からせり出した屋根のない屋外スペースのことです。同じく住居からせり出したスペースでも、屋根や軒、ひさしがあるとベランダと呼ばれます。テラスは1階に造られた屋根のない屋外スペースのことで、バルコニーとは設置される階数が異なります。

バルコニーは洗濯物を干せたり、庭のように使えたりと汎用性が高く、「バルコニー付き」は物件探しの条件としても人気です。一方で、バルコニーとは何か、ベランダとどう違うのかなど、わかりにくい部分もあります。
この記事では、バルコニーとベランダ、テラスの違いや、バルコニーの特徴や種類を解説します。バルコニー付き物件のメリットや、物件の選び方についても詳しく見ていきましょう。

バルコニーとは2階以上にある屋根のない屋外スペース

バルコニーとは、家やマンションの2階以上にある、住居からせり出した屋根のない屋外スペースのことです。建築基準法施行令によると、バルコニーには1.1m以上の柵、または手すりなどの設置が必要です。

室外機を置くだけなどの小さなスペースで、奥行きが1mない場合でも「サービスバルコニー」と呼ぶことがありますが、基本的にバルコニー付き物件という場合は、屋根のない一定の広さの屋外スペースがある、2階以上の物件のことを指します。

バルコニーとベランダの違い

同じく住居からせり出した屋外スペースでも、屋根や軒、ひさしがある場合は、バルコニーではなくベランダになります。

また、バルコニーは2階以上に設置されるスペースですが、ベランダは階数の定義がありません。屋根さえあれば1階であってもベランダに該当します。

バルコニーとテラスの違い

テラスとは、建物の1階に作られた屋外スペースです。バルコニーと同じくテラスにも屋根がありませんが、2階以上に設置されるのがバルコニー、1階に設置されるのがテラスという点で異なります。

バルコニーの種類

バルコニーは、ルーフバルコニー、スカイバルコニー、インナーバルコニーなどの種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

ルーフバルコニー

ルーフバルコニーは、下階の屋根部分を利用して作られた広いバルコニーです。マンションやアパートなどの集合住宅は、面している道路の採光や風通しを良くするための建築制限があることよって、上層階の屋内面積が狭くなることがあります。その分、直下階の屋根部分を活かしてルーフバルコニーにすることがあるのです。

ルーフバルコニーは一般的にベランダよりも広々としているため、テーブルやチェアを置いてリラックススペースにしたり、屋根のない日当たりの良さを活かして、ガーデニングや家庭菜園用のスペースにしたりすることができます。

スカイバルコニー

スカイバルコニーとは、屋上にあるバルコニーのことです。ルーフバルコニーと同様に、リラックススペースやガーデニングなどに有効活用できます。面積が広いため、庭として活用したり、自宅キャンプを楽しんだりすることも可能です。屋上に設置されているため、ルーフバルコニーよりも開放的な雰囲気を味わえます。

インナーバルコニー

インナーバルコニーとは、建物の一部が屋外になっているスペースで、屋根のあるバルコニーです。

ベランダとの違いは建物からせり出したスペースではないことで、インナーバルコニーは建物の内側に収まる形で造られており、上の階の床部分が屋根が院バーバルコニーの天井になります。

バルコニーがある物件のメリット

バルコニー付き物件には、具体的にどのような魅力があるのでしょうか。バルコニー付き物件の主なメリットについて見ていきましょう。

日当たりが良く洗濯物や布団が干しやすい

バルコニーは屋根がない分、日当たりが良く、洗濯物が早く乾く点がメリットです。バルコニーが広ければ、一度に多くの洗濯物や布団などの寝具を干すこともできます。

ガーデニングができるなど庭のように使える

バルコニーは庭のような感覚で活用できるため、鉢上やプランターを使ったガーデニングや家庭菜園にも適しています。バルコニーはリビングとつながっているケースが多く、準備や片付けもスムーズに行えます。

屋根がなく開放感があり、空を広く見渡せるので、星空観察にもぴったりです。

野外で朝食やティータイムなどが楽しめる

テーブルやソファ、チェア、ベンチなどの家具を設置すれば、バルコニーをリラックススペースにすることができます。野外で食事やお茶をしたり、読書に集中したりと、家の中とは一味違った時間が楽しめます。

窓からの採光量が多く部屋が明るくなる

バルコニーには屋根やひさしなどの日光を遮るものがないため、窓から室内に光を多く取り込むことができます。季節を問わず、リビングが明るく暖かい空間になりやすい点もメリットです。

バルコニー付きの物件を選ぶか迷っている場合には、バルコニーがあることで生活がどのように豊かになるかを考えるとよいでしょう。バルコニーに面した明るく暖かいリビングでゆったり過ごしたい、バルコニーで食事やお茶を楽しみたいなど、付加価値を考えてみます。

バルコニーがある物件のデメリット

バルコニー付き物件には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。物件の検討前に確認しておきましょう。

雨が降りそうな日の洗濯物に注意

ベランダと違いバルコニーには屋根がないため、雨が降るとすぐに洗濯物が濡れてしまいます。雨が降りそうな日は室内干しにしたほうが無難です。

夏場は部屋が暑くなりやすい

バルコニーは採光量が多いため、室内が明るく暖かくなる点がメリットですが、日差しが強い夏場には暑さやまぶしさを感じるかもしれません。カーテンやすだれなどを使った遮光・遮熱対策が必要となります。

掃除や定期的なメンテナンスが必要

バルコニーは屋根がない分、直射日光や雨風に日々さらされることとなります。ゴミや落ち葉などが溜まりやすく、腐食などの老朽化も進みやすい傾向があります。バルコニーを安全に使い続けるためにも、こまめな掃除や定期的なメンテナンスが必要です。

空き巣被害など防犯面のリスクがある

バルコニーは空き巣の侵入経路として使われることがあります。特に、プライバシーを守るために外からバルコニー内が見えにくい形状の手すりにしてあったり、部屋が奥にあり窓が外部から見えにくかったりすると、バルコニー経由で窓から侵入されるリスクが高くなるでしょう。

バルコニーがあることによるデメリットについても考えなければいけません。掃除や水はけなどのメンテナンスが定期的に必要になるでしょうし、セキュリティ面でリスクを感じる場合には、安心して暮らせるように、窓用補助鍵の設置など、防犯性を高める対策を講じる必要がでてくることもあります。

バルコニー付き物件に住むときの注意点

バルコニー付き物件はメリットが多く魅力的ですが、使い方によってはトラブルに発展することもあります。バルコニー付き物件に住むときの注意点を確認しておきましょう。

騒音やにおいによる近隣トラブル

バルコニーでバーベキューや食事会をしたり、喫煙したりすると、騒音やにおいによって近隣住民に迷惑がかかり、トラブルに発展する可能性があります。バルコニーでの音やにおいの発生する行為には注意が必要です。

物が多くなり避難経路をふさいでしまう

バルコニーは、災害時の避難経路も兼ねた設備です。そのため、バルコニーをガーデニングや家庭菜園、物置スペースなどで活用する場合でも、避難経路となる場所に物を置いてふさいでしまうことのないよう注意しましょう。避難はしごがある場合、扉の上に物を載せることはNGです。

共用部分の利用規約違反による賠償金

マンションなどの集合住宅では、バルコニーやベランダは共用部分となります。専有部分の住戸内とは異なり、共用部分は勝手にリフォームなどで仕様を変えることはできません。バーベキューや手持ち花火などを禁止している場合もありますので、物件の管理規約を確認し、禁止事項を破らないよう注意が必要です。
管理規約に違反すると、弁償代や賠償金を請求される可能性があります。

バルコニーは食事をしたり家庭菜園を楽しんだりと、スペースの使い方の自由度が高い分、トラブルに発展しないように注意しなければいけません。騒音やにおいによる近隣住民とのトラブルだけでなく、利用方法の規約違反による貸主とのトラブルもあり得るので、ルールを守った利用がマストです。

バルコニーがある物件選びのコツ

バルコニーは日当たりが良く開放感もあるため、集合住宅でも庭のように活用できます。具体的にどのように使いたいのかをイメージしながら、バルコニー付き物件を選ぶことがポイントです。

ここでは、バルコニー付き物件を選ぶときのコツを見ていきましょう。

手すりの高さや形状

バルコニーの中には、手すりが壁状で高さがあるタイプがあります。手すりは高さがあるほど安全性やプライバシー性も高くなりますが、その分バルコニーならではの開放感は少なくなるため、優先事項を踏まえて検討するとよいでしょう。
また、隙間の広い手すりは、子どもなどが落下する危険性がある点にも注意が必要です。

水が使用できるか、水はけはいいか

バルコニーでガーデニングをしたい場合は、水が使用できるかどうかを最初に確認します。排水溝の水はけの良さもチェックが必要です。床に防水加工がしてあるバルコニーなら、メンテナンスの負担を軽減できます。

鳥のフンなどの被害がないか

内見時には、バルコニーに鳥のフンやゴミなどが落ちていないかどうかもチェックします。特に鳥は、一度気に入った場所には何度もやってくるため、すでに被害がある場合は、管理会社に対策など確認することをおすすめします。

バルコニー付き物件をおしゃれに楽しむには?

せっかくバルコニー付き物件に住むなら、有効活用しながらおしゃれに楽しみたいものです。バルコニーの楽しみ方を3つ紹介します。

チェアやテーブルを置く

バルコニーにチェアやテーブルを置けば、外の景色を眺めながらゆったりと過ごしたり、ティータイムを楽しんだりできます。テーブルを置くスペースがなければ、チェアだけでもよいでしょう。日差しを受けても劣化しにくい、野外用のアウトドアチェアがおすすめです。

野菜や花など植物を育てる

バルコニーにプランターや植木鉢を置いて、野菜や果物、観葉植物などを育てる使い方も人気です。室内からグリーンが見えるため、リラックス効果も期待できます。

マンションによっては「プランターはOKでも花壇の設置はNG」といった規定があるため、事前に確認しましょう。

ウッドデッキを敷いておしゃれに暑さ対策

バルコニーの床面はコンクリートでできているケースが多く、日差しで熱されるとバルコニーの空間が暑くなりがちです。上からウッドデッキパネルを敷くとナチュラルな雰囲気になり、日差しによる暑さ対策にもなります。

まとめ

バルコニーは使い方次第でさまざまな有効活用ができます。物件選びで失敗しないためにも、バルコニーをどのような用途で使いたいのかある程度想定したうえで、広さや日当たり、手すりの高さなどをチェックすることをおすすめします。利用規約などの注意事項も守りつつ、おしゃれで便利な屋外スペースを実現しましょう。

監修者プロフィール 三輪 歩己 不動産鑑定士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、相続診断士、J-REC公認不動産コンサルタント。
約20年間の鑑定・宅地建物取引業の経験を活かし、2020年に不動産パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。同社では、不動産鑑定業・宅地建物取引業に加え、不動産専門の相続診断士として活動を行う。

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