住まいのコラム
コーポ・アパート・ハイツ・メゾンの意味とは?
共同住宅の名称の違いについて解説
最終更新日:

- 矢野 翔一
- 2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
- 集合住宅の名称にある「コーポ」や「ハイツ」「メゾン」の意味は?
- いずれも「家」や「立地」などを表す外国語が語源になっています。ただ、あくまで語源なので集合住宅の名称として付けることに深い意味はなく、家主の好みやブランディングといった目的で命名されていることがほとんどです。
一方、「リバーサイド」や「パークフロント」「シーサイド」など、立地を表すためにこのような名称を取り入れている集合住宅もあります。
共同住宅の名称には「コーポ」や「ハイツ」「メゾン」などさまざまなものがあります。実はこれらの名称に、定義はありません。共同住宅の名称は基本的に家主が決めるため、多種多様な名前が見られるのです。
昭和の時代には「〇〇アパート」「〇〇マンション」という名称もよく見られましたが、アパートやマンションは現在、集合住宅の構造や規模を表す言葉として使われています。
本記事では、日常的に耳にするこれらの共同住宅の呼称の背景や違いについて詳しく解説します。
コーポ・ハイツ・メゾン……共同住宅の名称の意味は?

共同住宅の名称には、決まった規定がありません。家主や施工会社のイメージやブランド戦略に基づいて命名されています。
とはいえ、よく目にする「コーポ」や「ハイツ」、「メゾン」にはどのような意味があるのか気になりますよね。以下で、それぞれの語源を紹介します。
コーポの語源
コーポの語源は「共同住宅」を表す英語の「cooperative house」といわれています。英語の頭文字を取ったいわゆる和製英語です。
ハイツの語源
ハイツは「高地」や「高台」を表す英語「heights」が語源です。ただ、語源はあくまで語源のため、ハイツと付く名称だからといって必ずしも高台に位置するわけではありません。
メゾンの語源
メゾンは、フランス語で「家」を表す「maison」が語源です。近年、メゾンと付く集合住宅は増えており、流行りの名称ともいえるでしょう。とくに、上質で洗練された住宅の名称として使用されることが多い傾向にあります。
その他、共同住宅でよく見られる名称
「ヴィラ」や「レジデンス」もまた、共同住宅の名称に多い傾向にありますが、これらも外国語で「家」や「別荘」を表す言葉です。
また、場所の特徴を示す「シーサイド」や「パークフロント」「リバーサイド」などといった単語の付く名称もよく目にします。
アパートとマンションの違いは?

集合住宅の名称には、前述した「コーポ」や「ハイツ」のほか、「〇〇アパート」「〇〇マンション」といったものも見られます。 この「アパート」と「マンション」にはどのような違いがあるのでしょうか。
結論からいえば、アパートやマンションに定義はなく、明確な違いはありません。とはいえ、次のように使い分けられるのが一般的です。
アパートとは
アパートは、比較的、規模が小さい共同住宅を指すときに使われます。一概にはいえませんが、2〜3階建てで、木造や軽量鉄骨造の集合住宅は「アパート」と呼ぶのが一般的です。階数が少ないことから、アパートはエレベーターがない物件も少なくありません。区分所有者はおらず、ワンオーナーとなっているのが一般的です。マンションと比べて、賃料は低い傾向にあります。
マンションとは
マンションは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造で、3階以上の集合住宅を指すケースが多いようです。1棟を1人のオーナーが所有していることもあれば、各区分を別々の所有者が所有していることもあります。アパートと比べると賃料は高いですが、その分、遮音性や防犯性能、断熱性能などは総じて高い傾向にあります。

エレベーターは高さが31mを超える物件には設置義務があるものの、それ以下の物件には設置義務がありません。「マンション=エレベーターが設置された物件」ではないため、設置されているのか事前に確認しておきましょう。
建物の名称が施工会社を表していることも

共同住宅の名称に「ブランド名」が付いていることも少なくありません。次の3つは、大手ハウスメーカー施工による賃貸住宅に付けられる名称です。
シャーメゾン
シャーメゾンは、積水ハウスが施工した賃貸マンションや賃貸アパートに付けられる名称です。
同社によれば、シャーメゾンには次のような特徴があるといいます。
・高い断熱性・遮音性による快適性の高い住まい
・地震や火事、台風などに強い安全性の高い住まい
ヘーベルメゾン
ヘーベルメゾンは、旭化成ホームズが施工した賃貸住宅のブランド名の1つです。ほかにも同社は、高級賃貸マンション「アトラス リベルタ」も提供しています。
同社によれば、ヘーベルメゾンには次のような特徴があるといいます。
・ALCコンクリート「ヘーベル」による高い耐久性と耐火性
・制震フレーム「ハイパワードクロス」による高い耐震性
・「ANRフロア」による高い遮音性
・ハイグレードな設備・仕様
フォレストメゾン
フォレストメゾンは、住友林業が施工した賃貸住宅の名称です。
同社によれば、フォレストメゾンには次のような特徴があるといいます。
・木の魅力を活かし、戸建住宅で培った設計力で快適な居心地の良い空間をカタチに
・省CO2賃貸住宅

大手ハウスメーカーの賃貸住宅は施工数が多いため、口コミが見つかりやすいです。実際に現地を確認するだけでなく、遮音性や断熱性などの口コミを確認することで契約後のトラブルを回避できるでしょう。
まとめ
共同住宅の名称には、家主の想いが込められています。近年では「コーポ」や「ハイツ」など、これまでよく目にしてきたものではなく、個性的な名称が付けられた物件も増えてきました。名称が立地や施工会社を表すこともあるため、物件名にもぜひ注目してみてください。
一方で、物件名だけで構造や規模、立地などが判断できないケースも多くあります。物件の名称だけでなく、物件の条件も併せて確認しましょう。
監修者プロフィール

- 矢野 翔一
- 関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。