住まいのコラム

賃貸保証会社とは?
何を審査する?落ちる理由は何?

最終更新日:

監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
賃貸保証会社とは?
賃貸保証会社は、入居者が何らかの理由で賃料を支払えない場合、代わってその支払いを立て替えるという役割を持ちます。あくまで「立て替え」のため、賃貸保証会社が家主に支払った費用は、入居者に請求されます。多くの場合、入居者は1年ごとに保証会社に対し、更新料を支払わなければなりません。

賃貸物件を借りるには「保証人」が必要だと思っている人も少なくないでしょう。しかし、近年では保証人を立てるのではなく「保証会社」を利用するケースが増えています。
今回は、賃貸保証会社の役割やメリット・デメリットとともに、保証会社の審査に落ちてしまった際の理由や対策を解説します。

保証会社利用以外での保証人がいない場合の対処法についてはこちらをご覧ください。

保証人なしでも賃貸物件は契約できる?保証人がいない場合の対処法

賃貸保証会社とは?

賃貸保証会社は、賃貸物件の入居者と家主の間に立ち、賃料滞納リスクを軽減するための役割を果たします。

賃貸保証会社の役割

賃貸保証会社は、入居者が何らかの理由で賃料を支払えない場合、代わってその支払いを立て替えるという役割を持ちます。これにより、家主は賃料の滞納リスクを回避でき、入居者も保証人を立てる必要がなくなります。

保証の仕組み

入居者が保証会社からの保証を受けるには、家主だけでなく保証会社とも別途、契約を締結しなければなりません。このときに、保証料を支払います。万一、入居者の家賃の支払いが滞ってしまったら、保証会社は家主に対し保証金を支払います。

とはいえ、家主に対して家賃を支払うのは、あくまで入居者の支払いの「立て替え」です。保証会社は、入居者に対し未払いの賃料を請求します。

保証料の相場

出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」

国土交通省の令和4年度の調査によれば、賃貸住宅入居時に保証料を支払った人の64.9%が保証料について「家賃1ヵ月分ちょうど」と回答しています。「家賃2ヵ月ちょうど」も25%と少なくありませんので、保証料は月額賃料の1〜2ヵ月分と考えておくとよいでしょう。

また、保証には更新が必要です。保証会社との契約更新は1年に1度となるケースが多く、このときに5000円〜1万円程度の更新料を請求されます。

賃貸保証会社を利用するメリット

保証会社を利用することで得られる利点は、多岐にわたります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。

家主の審査に通りやすくなる

賃貸住宅は、誰でも初期費用や賃料さえ支払えば住めるというわけではありません。家主が誰と賃貸借契約を締結するかは自由です。入居前には、収入や勤続年数、人柄や印象などを基に審査されます。

審査項目は貸物件によって異なりますが、多くの場合、保証会社を利用することが組み込まれています。保証会社を利用する目的のひとつは、家主が家賃を支払ってもらえなくなるリスクを減らすためです。従って、保証会社を利用することで、家主に受け入れてもらいやすくなるものと考えられます。

保証人が不要になる

保証会社を利用することとともに、家賃滞納リスクを減らすための手段として保証人を付けることが挙げられます。保証会社を利用しない場合は、保証人を付けるのが一般的であるため、保証会社を利用することで家族などに証人になってくれることを頼む必要がなくなります。

リスクが回避できる

保証会社を利用する目的は、先のとおり家主が家賃を支払ってもらえなくなるリスクを減らすためですが、これは同時に入居者にとってのリスク軽減にもなります。

入居者が賃料を支払うことができなくなっても、保証会社を通じての対応となるため、家主とのトラブルを避けることができます。

賃貸保証会社を利用すれば、必ず保証人が不要になるというわけではありません。家主によっては賃貸保証会社の利用と保証人の両方を必要とするケースもあります。契約前にどのような契約形態なのか確認しておきましょう。

賃貸保証会社を利用するデメリット

保証会社を利用することで、入居時の負担が増すなどの注意点もあります。メリットのみならず、次のようなデメリットも把握しておきましょう。

保証料が必要

先のとおり、保証料の相場は月額賃料の1〜2ヵ月分と決して安い金額ではありません。保証会社を利用することで、入居時の費用負担が増えることは否めません。

また、礼金のように将来戻ってくる費用ではないため、万一の備えになる一方で、掛け捨てになってしまう可能性もあります。

家主に加え保証会社の審査も加わる

保証会社を利用することで家主の審査は通りやすくなると考えられるものの、保証会社の審査も加わるため、逆に審査が厳しくなるとの見方もあります。

保証会社は、独自に審査基準を持っているものです。家主が保証会社の利用を審査の条件のひとつとしている場合、保証会社の審査に落ちたことが原因で家主の審査にも落ちてしまうでしょう。

賃料滞納時は追加費用がかかることも

保証会社は、万一のときに家賃を「立て替えて支払ってくれる」役割を持っています。決して「負担」してくれるのではないので、その点はご注意ください。場合によっては、未払いの家賃だけでなく、遅延損害金や手数料も併せて請求される可能性があります。

賃貸保証会社が立て替えてくれるからといって家賃を滞納してはいけません。家賃を滞納すると信用情報に傷が付いてローンを契約できなくなるほか、最終的に訴訟に発展する可能性があるため、滞納しないように注意しましょう。

賃貸保証会社の審査項目

賃貸保証会社は、必ず契約してくれるわけではありません。保証会社としても、できる限り、家賃の支払いを代行することは避けたいものです。そのため、入居者は、契約して問題がないか必ず審査されます。主な審査項目は、次のとおりです。

安定した収入があるか

賃貸保証会社は、入居者の収入の安定性を最も重視します。
収入が安定しているかを確認するためには、直近の給与明細や源泉徴収票など収入を証明する書類や雇用契約書、在職証明書などを参照するのが一般的です。審査前には、身分証明書に加え、これらの書類の提出を求められます。

年齢

年齢もまた、審査項目のひとつとなることが多いものです。
年齢が若すぎると、収入の安定性やライフスタイルに懸念があると判断される可能性があります。逆に、高齢者は健康面などの懸念があると判断され審査に落とされることがあります。

信用情報

信用情報とは、個人や法人がこれまでに行った金融取引や契約の履歴や延滞の状況などを示す情報です。具体的には、クレジットカードやローンなどの利用履歴、延滞情報、貸し倒れ情報などが含まれます。
保証会社は、この情報を基に入居者の信用度を評価しているといわれています。

審査に落ちた!理由や対策は?

審査に落ちてしまった入居希望者は、多かれ少なかれショックを受けてしまうことでしょう。しかし、審査に落ちたからといって、すべての賃貸住宅に入居できないというわけではありません。

審査に落ちる理由

保証会社や賃貸仲介会社から、審査に落ちた理由を教えてもらうことはできません。しかし、審査に落ちてしまう理由として、次のようなことが推測できます。

・収入に対して賃料が高かった
・借金やカード払いの滞納があるなど信用情報に問題があった
・収入が安定していないことから家賃を支払い続けてもらうことに不安を抱かれた

ほかにも、身なりや言動などの態度が原因で審査に落ちることもあるようです。

落ちたときの対策(1)ほかの物件に申し込む

保証会社の審査は独自のものであり、ひとつの物件の審査に落ちたからといって、必ずしもほかの物件の審査に通らないというわけではありません。従って、審査に落ちてしまったことを受け入れながらも、ほかの物件にも申し込んでみましょう。審査に落ちた要因に思い当たることがあれば、収入にあった賃料の物件を選んだり、借金を返済したりすることも効果的です。

落ちたときの対策(2)保証人を付ける

保証会社を利用せずに、保証人を立てるというのも選択肢のひとつです。
とはいえ、保証会社の利用が入居の絶対要件となっていることもあるため、保証人を立てさえすれば入居できるとは限りません。ただ、家主も、できれば早く、安心できる入居者に入ってもらいたいと考えているものです。家主への交渉次第で、保証人を立てることを認めてもらえる可能性もあります。

入居審査に落ちたときの対処法についてはこちらでも詳しく解説しています。

賃貸物件の入居審査にかかる日数・期間はどれくらい?落ちてしまったときの対処法

まとめ

賃貸保証会社を利用することで、家主、入居者、双方の安心につながるというメリットがある一方、入居時の費用負担が増すことなどは入居者のデメリットと考えられます。とはいえ、保証会社の利用を必須要件としている賃貸物件は多いため、入居者は保証会社の審査に通るような生活を送ることが求められるでしょう。

保証会社を利用していても、家賃の滞納は厳禁です。保証会社の役割は、入居者の代わりに家賃を負担してくれるのではなく、万一のときに家賃を立て替えてくれるにすぎないということは、あらかじめ認識しておきましょう。

監修者プロフィール 矢野 翔一 関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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