住まいのコラム
単身パックは本当に安い?
引越し7社の料金を徹底比較!
最終更新日:
- 矢野 翔一
- 2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
- 単身パックのメリット・デメリットは?
- 単身パックとは、コンテナ単位で荷物を運ぶ単身者向けの引越しプランです。専用のコンテナ単位で明確に料金が設定されており、通常の引越しプランよりも価格が安めに抑えられている点はメリットです。一方で梱包材は自分で用意する必要がある上、当日配送に対応できないケースがあるなど、自由度は高くありません。家具の大きさによっては利用できないデメリットもあります。
引越しの際に気になるのが引越し会社に支払う料金。できるだけ安く運んでくれる会社を知りたいという人も多いでしょう。
荷物が少ない単身者におすすめしたいのが、各社が用意している「単身パック」です。通常の引越しプランよりも格安で利用できる単身プランとはどのような仕組みのプランなのでしょうか。今回は引越し会社7社の単身パックのプランと、単身パックのメリット・デメリットをご紹介します。
単身パックとは?
単身パックとは、決められたコンテナに荷物を積み込みパッキングする単身者向けの引越しプランを指します。コンテナの大きさや段ボールの数は引越し業者によって異なりますが、縦横1m程度、高さ170cm前後のコンテナが一般的です。
一般的な引越し料金と比較して価格が安い傾向にありますが、コンテナに乗り切らない場合はほかの運送方法を検討する必要があります。
引越し7社の単身パックの料金やコンテナのサイズを比較
引越し会社各社にはそれぞれ単身パックプランが用意されています。料金や対応エリア、コンテナのサイズなどに個性があるため、自分の荷物の量にあったプランを選択しましょう。
以下が引越し会社主要7社の単身パックのプラン比較です。
引越し会社 | プラン | 奥行き×幅×高さ(cm) | 料金(税込) | 備考 |
---|---|---|---|---|
ヤマトホームコンビニエンス | わたしの引越し | 100×100×170 | 23100円~ | 専用ボックスは2本まで一部エリアのみ対応 |
日本通運 | 単身パックL | 104×108×175 | 30800円~ | |
サカイ引越センター | 小口便引越プラン | 75×105×144 | 要見積もり | 長距離引越しに限る |
SGムービング | カーゴプラン | 不明 | 要見積もり | |
西濃運輸 | カンガルー単身MAX+1 | 128×115×170 | 要見積もり | 自転車1台はBOX料金に含む |
ハトのマークの引越センター | 小鳩パック | 80×110×170 | 23100円~ | 片道200km以上に限る |
プロスタッフ | 単身引越しパック | 大物家具4点+小物20点程度 | 16500円~ |
※2023年8月現在
※各サイトで確認可能な最低料金を掲載
ヤマトホームコンビニエンスの「わたしの引越し」は、コンテナのサイズが100×100×170と標準的。最低料金も明示されているので安心です。ただし対応エリアが限定されているため、公式サイト上のシミュレーションでの確認は必須です。
コンテナのサイズが大きいのは西濃運輸の「カンガルー単身MAX+1」です。他社よりも多くの荷物を詰める上、コンテナに乗り切らない自転車1台分は追加料金がかからないため、自転車を含めて荷物が多めの人にはぴったりでしょう。
大型の家具が多い人におすすめなのがプロスタッフの「単身引越しパック」です。コンテナサイズは明記されていませんが、大型家具4点+小物20点程度まで対応できます。最低料金も安く設定されているのもうれしいポイント。他社のコンテナに乗りきらないサイズの家具が多い場合には魅力的なプランでしょう。
なお、近年の燃料価格高騰や人材不足の影響を受け、各社とも単身パックプランの料金見直しを行っています。公式サイト上に料金を明記しない会社も増えているため、単身プランの利用を検討する際には、複数社から相見積もりを取って比較するとよいでしょう。
単身パックのメリット
コンテナ単位で荷物を運ぶ単身パックは、荷物が少ない単身者に人気の引越しプランです。一般的な引越しに比べ、どのような点がメリットとして高く評価されているのでしょうか。
引越し費用が抑えられる
単身パックは、通常の引越しプランに比べ引越し料金が安く抑えられる傾向があります。通常の引越しプランは一度の引越しに1台のトラックを手配するためコストが高くなりますが、単身パックは1台のトラックで複数人分のコンテナを運べます。
また作業員も少人数で済むため、コンテナ1本あたりの運搬コストを安く抑えられるのが大きなメリットです。
料金プランが明確
単身パックはコンテナに乗り切れる荷物だけ運ぶサービス設定になっているため、料金の設定が明確です。コンテナ1台あたりの単価×本数で計算する引越し会社が多く、依頼する側も料金の計算がしやすくなります。
また、オプションサービスの種類も限定されているため、依頼できることとできないことがはっきりしています。なんでもお願いしているうちにオプションが増えて料金が上がっていたというようなことがなく、安心して依頼しやすいサービスであるといえるでしょう。
訪問見積もりが不要なことも
一般的な引越しでは運搬する荷物の量がわからないため、訪問員の見積もりを経て最終的な価格が決定します。その点単身パックはコンテナに乗る量しか運搬できないことから、詳細な見積もりが不要になるケースが多くあります。
電話やネットでの申し込みだけで見積もりが終わるため、訪問見積もりのためのスケジュールを確保する必要なくスムーズに引越しの準備を進められるでしょう。
引越し費用を抑えたい場合は、繁忙期を避けることもポイントです。特に3~4月は引越しが集中することで予約を取りにくいだけでなく、費用が割高になります。時期をずらせるのであれば、なるべくずらすことをおすすめします。
単身パックのデメリット
荷物が少ない単身者にとって魅力的な単身パックですが、人によってはデメリットが多いサービスになる場合があります。「引越し作業はすべて業者に任せたい」という人にとっては面倒な点が多いため、サービスの特徴を理解した上で利用を判断しましょう。
基本的に梱包材は自分で用意しなければならない
単身パックは基本的に無料の梱包材サービスは付帯しておらず、段ボールやガムテープなどは自分で用意しなければなりません。
必要な梱包材はコンテナに乗る量だけなので、大量に用意する必要はないでしょう。近所の量販店で無料の段ボールを分けてもらったり、通販などで購入した商品が梱包されていた段ボールを保管しておいたりするなど、普段の生活から意識して梱包材を確保しておくのがおすすめです。
当日配送できないケースが多い
単身パックの料金が安く抑えられている理由に、運搬コストを切り詰めている点が挙げられます。できるだけ一度に同じ地方の荷物を運ぶことでコストを下げているため、当日配送の依頼に対応できないケースが多く、希望通りの日時を指定できないこともあります。
単身パックを利用する際には、数日荷物が届かなくても生活に支障をきたさない準備をしておくとよいでしょう。どうしても当日配送や日時指定の必要があるなら、通常プランの利用も検討する必要があります。
大型の家具がある場合はコンテナに収まり切らない可能性も
単身パック用のコンテナのサイズは、1.7立方メートル程度の大きさが一般的です。引越し会社によってはコンテナの高さが1.5m程度しかない場合があり、少し大きめの家具になると乗せられません。
家具がコンテナのサイズを超えることが判明し、単身パックを利用できなくなるというケースは決して珍しくありません。引越し当日に急遽プランを変更するようなことにならないよう、あらかじめ家具のサイズにあったプランを用意している引越し業者に相談しましょう。
単身パックに向いているのはこんな人
単身パックは一般的な引越しプランにはないメリット・デメリットがあります。すべての人におすすめできるサービスではない反面、単身パックがぴったりというケースもあります。いったいどのような人に向いているのでしょうか。
初めて一人暮らしする人
単身パックは、初めて一人暮らしをする人におすすめです。
一人暮らしの期間が長くなるほど、家具家電が充実し趣味の道具も揃っていきます。だんだんと荷物が増えていくため、単身パック用のコンテナには荷物が収まり切らなくなっていくことも考えられるでしょう。
その点、初めて一人暮らしをする人の多くは、大きめの家具家電は引越し先で揃える傾向があります。実家から運ぶ荷物はコンテナひとつに十分収まる量に抑えやすいため、単身パックで安く費用を抑えられます。
単身赴任する人
単身赴任は期間が限定されていることが多く、数年程度で元の家に戻る可能性があります。単身赴任先に多くの荷物を持っていくと戻るときに邪魔になってしまうため、できるだけ少ない量に抑えておくのが理想です。
必要な家具家電は単身赴任先で買いそろえるつもりなら、自宅から運び出す荷物は単身パックのコンテナに十分収まるでしょう。
シェアハウスや家具・家電付きの物件に引っ越す人
シェアハウスには家具家電が備え付けられていることが多いため、運び込む荷物は少量で済む傾向があります。部屋自体もあまり広くないことが多く、単身パックで運べる荷物程度にまとめておくほうが、後々片付けで面倒な思いをせずに済むでしょう。
家具家電付きの物件に引越す際も同様です。テレビや冷蔵庫を運び込んでも重複してしまうため、かえって邪魔になってしまうだけです。荷物が衣服や小型の家電程度で済むようなら、コストを抑えるためにも単身パックの利用が便利です。
荷物が少なく済む方は、引越し会社に依頼するのではなく、運送会社に依頼したほうが安く抑えられる可能性があります。全部でどのくらいの荷物になるか整理してから引越し会社に依頼するかどうかを決めましょう。
まとめ
引越し業者各社が用意している単身パックは、指定のコンテナに乗り切る分だけの荷物を運び込むプランです。コンテナ単位で料金が明確に設定されていることが多く、一般的な引越し料金よりも安めの価格に設定されています。
特に荷物の少ない初めての引越しや単身赴任、シェアハウスへの引越しには適しているプランです。自分の荷物の量と相談しながら上手に活用してみましょう。
監修者プロフィール
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。