住まいのコラム

一人暮らしの生活費をシミュレーション
家賃設定や節約のコツを解説

最終更新日:

監修者
和田 由貴
消費生活アドバイザー/環境カウンセラー/省エネ・脱炭素エキスパート/エコピープル/食生活アドバイザー/家電製品アドバイザー
一人暮らしの月々の生活費はどれくらい?
一人暮らしの生活費の平均は、年収によっても異なりますが、家賃を除き1ヵ月11万5264~14万9146円です。これに手取り収入の3分の1程度の家賃を加えた金額が、1ヵ月の生活費の総額となります。項目ごとの支出額は人によって異なるため、ライフスタイルに合わせてシミュレーションすることが大切です。

一人暮らしの生活にかかる費用を計画的にやりくりするには、1ヵ月の生活費がいくらかかるのかを具体的に把握することが大切です。

この記事では、年収別の一人暮らしの生活費の平均をもとに、一人暮らしに必要な生活費を支出項目別にシミュレーションします。併せて、生活費を節約するコツについても解説します。

一人暮らしに向けてやること・必要なものについてはこちらをご覧ください。

初めての一人暮らしで失敗しないコツは?まずやること・必要なものリスト

一人暮らしの生活費の全国平均

一口に生活費といっても、その内訳は食費や水道光熱費、日用品、通信費など、さまざまな費用に分けられます。何にどれだけお金をかけるかは、収入によっても変わってきます。
まずは、2022年の家計調査から、一人暮らしの生活費の全国平均を年収別に見てみましょう。年収が高くなるほど、食費や被服費、教養・娯楽費、交際費の費用が高くなることがわかります。

■年収別・一人暮らしの1ヵ月の平均生活費

項目 年収200万~300万円未満 年収300万~400万円未満 年収400万~500万円未満
食費 3万2394円 3万7132円 4万109円
水道光熱費 1万1044円 1万1156円 1万995円
生活用品費 4561円 4644円 4512円
被服費 3716円 5352円 7525円
保険医療費 4731円 6961円 5011円
通信費 7594円 7625円 7680円
教養・娯楽費 1万4732円 1万7843円 2万976円
交際費 8241円 7858円 1万1576円
美容費 4960円 5240円 6351円
その他 2万3291円 2万947円 3万4411円
合計 11万5264円 12万4758円 14万9146円

出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯(2022年)」をもとに作成

一人暮らしの生活費シミュレーション

収入別に紹介した一人暮らしの生活費の平均額は、あくまでも目安です。さまざまな支出項目のうち、何にどれだけお金をかけるのかは、人それぞれで異なります。大切なのは、一つひとつの項目にかかるお金を自分のライフスタイルに合わせて想定し、シミュレーションしてみることです。

続いては、項目ごとの支出の内訳を具体的にイメージしてみましょう。

家賃(管理費など含む)

一人暮らしの生活費の中で、大きな割合を占めるのが家賃です。家賃は、エリアや物件の設備、築年数などによって金額に大きな差が生じます。たとえば、東京23区内でワンルームや1K、1DKの部屋を借りようと思うと、家賃は6万~7万円程度です。一方、同じ東京都でも、23区外なら家賃3万~4万円台でワンルームを借りられる場合もあります。

家賃の金額は、管理費なども含めて、月々の手取り収入の3分の1以内に収めるとよいといわれています。ただし、一人暮らしをするエリアや年収によっては、手取りの3分の1以内の家賃で賃貸物件を探すのが難しいケースもあるかもしれません。
そのような場合は、手取り額から家賃以外の生活費と貯金したい金額を引き、残りの金額を家賃の上限と考えるとよいでしょう。

水道・光熱費

水道光熱費の平均的な支出額は、年収にかかわらず1万1000円前後です。たとえば、年収300万~400万円の場合の水道光熱費の内訳を見ると、電気代が5766円、ガス代が3130円、水道代が1670円、そのほかの光熱費(灯油代など)が590円となっています。

生活スタイルを自分でコントロールできる一人暮らしは、工夫次第で水道光熱費を節約することも可能です。たとえば、ジムに通っているなら、シャワーはジムですませて水道代を節約することなども可能です。まずは、今の電気代・ガス代・水道代の合計が、平均の1万円程度に収まっているかを確認し、地域性などの理由がなく超えている場合には、節約を検討してもいいかもしれません。

食費

食費の平均支出額は、年収300万~400万円の場合で3万7132円です。1ヵ月を31日と考えると、単純計算で1日あたりの食費は約1200円ということになります。現実的には、食事のほとんどを自炊しないと難しい金額かもしれません。

食費を具体的にシミュレーションするには、朝、昼、夜の3食それぞれにかかる費用を試算してみるのがおすすめです。たとえば、朝はトーストとコーヒーで100円、昼はコンビニ弁当で500円、夜は外食で1000円とすると、1日1600円×31日で、1ヵ月約5万円の食費がかかる計算になります。一方、朝と昼はそのままでも夕食を自炊にして500円で収めれば、1ヵ月の食費は3万4000円程度になります。

生活用品

生活用品費は、主にトイレットペーパーやティッシュペーパー、洗剤、シャンプーなどの消耗品の購入費が該当します。また、定期的に発生する支出ではないものの、家具や寝具を新たに買った場合にかかる費用も、この項目に含まれています。
平均支出額は、年収にかかわらず月あたり4500円程度になっていて、高価格帯のシャンプーなどを使っている場合などには、すぐに超えてしまう金額です。

ファッション

洋服や靴などのファッション関連の費用は、被服費にあたります。被服費の平均は年収300万~400万円で5352円ですが、「1ヵ月5000円では全然おしゃれができない」という人もいるでしょう。
また、仕事でスーツが必要な場合も、月5000円程度の被服費では足りない可能性があります。そのような場合は、被服費を増やす代わりに、ほかに削れる費用項目がないかを検討してみてください。

通信費

通信費に該当するのは、スマートフォンや自宅のインターネットの通信料、固定電話代などです。平均支出額は7500円程度ですが、大手キャリアを利用している場合はスマートフォン代だけで7000~8000円程かかっていることもあります。1ヵ月にどの程度の通信費がかかっているのかあらためて見直して、高いと感じた場合は、料金プランの見直しや格安SIMへの乗り換えなどを検討します。

医療費

医療費の平均額は5000~7000円程度です。日常的にコンタクトレンズを利用している人や、持病などで定期的に通院している人などは、もう少し金額が増える可能性があるので、自分の状況に合わせて必要な医療費をシミュレーションしておくことをおすすめします。
なお、「健康で全然病院に行かない」という人でも、万が一に備えて月3000円程度の医療費を確保しておくと安心です。

本購入や娯楽費

被服費と同様に、娯楽費も人によって金額に差が生まれやすい項目です。平均額は年収300万~400万円で1万7843円ですが、「趣味にお金をかけたい」という場合は、支出がもっと多くなります。
一方、「音楽はサブスクで、本は図書館で借りれば十分」というような場合は、娯楽費は月数千円でも問題ないかもしれません。自分の状況に合わせて具体的な金額をシミュレーションすることが大切です。

交際費

交際費には、友人との食事や恋人とのデート、会社の飲み会などの費用が含まれます。平均額は年収300万~400万円の人で7858円ですが、交際費は油断するとつい使いすぎてしまいがちです。交友関係によっても大きく変動する項目だといえます。
1ヵ月あたりの交際費を決めて、変動があったとしても平均してその金額に収められるように調整することをおすすめします。

美容費

美容費には、美容院や化粧品、エステ、ネイルなどの費用が該当し、男性に比べて女性の支出が高くなりやすい項目といえます。美容院に行く頻度や金額、必要な化粧品などを考えて、1ヵ月あたりの金額を具体的にシミュレーションする必要があります。美容費にお金をかけたい場合は、ほかの項目を削ってバランスをとるようにしましょう。

交際費や娯楽費、被服費や美容費などの支出は、制限をしないといくらでもかかってしまう項目です。あらかじめ決めた予算を守るようにして、衝動的に浪費することがないように気を付けたいものです。ただし、これらの支出は生活の中の楽しみのひとつでもあるので、過度に節約しすぎてストレスをためないようにしてください。

一人暮らしの生活費を節約するコツ

一つひとつの項目をシミュレーションした結果、支出が手取り収入をオーバーしてしまったら、生活費の節約を考えなければなりません。一人暮らしの生活費を節約するには、次のようなコツがあります。

自炊で外食費を減らす

3度の食事を外食から自炊にすれば、食費を大幅に節約することができます。たとえば、昼食を毎日外食していたなら、手作り弁当にすればランチ代が半分以下になる可能性もあります。「忙しくて毎食自炊するのは大変」という場合は、時間のあるときにまとめて作り置きするといった工夫をしてみましょう。

ポイントやクーポンを活用する

ポイントやクーポンをうまく活用すれば、食費や日用品費、美容費、交際費など、さまざまな費用の節約につながります。公共料金や普段の買い物をクレジットカード払いにまとめて、クレジットカードのポイントを効率良く貯めるのもおすすめです。

格安SIMでスマートフォンの通信費を削減

スマートフォンを大手キャリアから格安SIMに乗り換えると、通信費を月数千円単位で節約することができます。また、「調べ物などはスマホで十分」という場合は、自宅のインターネット回線の解約を検討するのもひとつの方法です。

電気・ガスをまとめる

電気とガスをまとめて同じ会社と契約すると、お得なセット割引が適用されることがあります。ただし、会社によってはインターネット回線や携帯電話の料金プランとセットにしないと割引が適用されないケースもあるので、割引条件をよく確認して検討します。

急な出費にはほかの支出をおさえて調整

一人暮らしの生活費をしっかりシミュレーションしていても、冠婚葬祭などで急な出費が発生することがあります。想定外の出費に備えて、常に貯金ができれば理想的ですが、そのために日々節約をするのも大変です。
急な出費が発生した月は、ほかの支出を抑えて調整するなど、必要に応じて短期間にピンポイントで節約すると、ストレスなく取り組めます。

学生なら学割を活用する

スマートフォンの契約プランや旅行、カラオケ・映画館などの娯楽など、学割が使えるケースはさまざまあります。学生なら、学割が対象でないかを調べて、積極的に利用しましょう。
そのほか、自炊派でないなら、ボリュームがあり1食500円程度に収まる学食を利用する、学校での飲み物は買わずに水筒を持っていくなどして、食費を抑えるのも有効です。

光熱費や通信費は、日常的な使い方だけでなく契約会社や料金プランの見直しが大きな節約につながることがあります。プランの比較検討や契約手続きは面倒ですが、毎月かかる固定費なだけに効果的です。また、新プランなどは次々と出てきますので、一度見直したらOKではなく定期的にチェックしてみましょう。

一人暮らしの人に聞く、実施している節約方法

実際に一人暮らしの人はどのような節約方法を取り入れているのでしょうか。
一人暮らし経験者に、実施していた節約方法をアンケートで聞いてみました。
ぜひ参考にしてみてください。
※対象者:全国の一人暮らし経験のある20代~60代男女1360人 調査時期:2024年1月

アンケートで聞いた 一人暮らし生活で実施していた節約方法は?

回答者の声
まず、家賃の安い部屋を探した。固定費を削減するために、格安スマホに変えたり、ポイントが貯まるように意識して生活している。30代/男性
光熱費を節約するために、使用していない家電のコンセントを抜いたり洗濯物を回す際にはお風呂を残り湯を使ったりしていた。30代/男性
基本的には周辺で一番安いお店(ディスカウントショップ)のみで全てを買い揃えるようにしていた。20代/女性
光熱費や水を節約するために、洗濯はまとめてするようにしたり、掃除もコロコロで済ませる50代/女性
部屋の照明をスタンドライトにして電球で生活していた。多少暗いが蛍光灯よりもかなり電気代が節約できた。30代/男性
冬は暖かい毛布を布団の下に引くことで、暖房をつけすぎないようにした。30代/女性
一人暮らしなので食品ロスを減らすために通常より少ないものを選んでいる。20代/女性
暖房にコタツを使うようにしたら、エアコンをつけなくても快適に過ごせた。結果的に結構節約できた。60代/女性

一人暮らしの生活費を抑える物件探し

一人暮らしの生活費は、住まいの条件によっても大きく左右されます。次のようなポイントを意識して、できるだけ生活費のかからない物件を探しましょう。

生活費の大部分を占める家賃を下げる

家賃の目安は手取り収入の3分の1といわれ、生活費の中でも大きな割合です。家賃は、住むエリアや駅からの距離、築年数、部屋の広さ、設備などによって変動します。同じ間取りでも、都市部より郊外、新築より築年数の古い物件を選べば家賃を抑えることができます。毎月決まった金額を支払う家賃を下げれば、確実に生活費を少なくすることが可能です。

冷暖房効率の良い間取りを選ぶ

部屋数が多く面積が広いほど、照明や家電の数も増え、電気代は高くなりがちです。たとえば、エアコン1台ですむワンルームに比べて、1LDKはやや光熱費が上がる傾向があります。
光熱費を節約するなら、冷暖房効率の良い間取りを選ぶのもひとつの方法です。冷暖房効率を上げるため、断熱効果のあるカーテンを取り付けるのもおすすめです。

インターネット回線が使える物件を選ぶ

賃貸物件の中には、インターネット利用料が無料の部屋もあります。そのような物件を選べば、月々のインターネット料金がかかりません。自宅ではWi-Fiを活用することで、スマートフォンの通信費の節約にもつながります。

プロパンガスより都市ガスの物件を選ぶ

ガス代を節約したい場合は、都市ガスを契約している物件を選びます。ガスには都市ガスとプロパンガスの2種類があり、一般的に都市ガスのほうが料金は安いです。都市ガスはプロパンガスに比べて火力が弱いというデメリットはあるものの、一人暮らしであればそれほど不便を感じることはありません。

部屋に西日が当たる、窓が大きいなど、冷暖房が効きにくい部屋は光熱費がかさみます。また、光熱費の中でもウエイトの大きい給湯にかかるコストは、プロパンガスや電気温水器を使用している物件では高額になりやすいので要注意です。物件を選ぶ際には、該当しないかチェックしてみましょう。

まとめ

一人暮らしの生活費で何を優先するかは、人それぞれで異なります。一人暮らしをする際には、自分の生活スタイルに合わせて、必要な費用をシミュレーションしておくことが大切です。
生活費を具体的にシミュレーションする中で、お金をかけたい項目や節約できるポイントなども見えてくるでしょう。

監修者プロフィール 和田 由貴 消費生活アドバイザー、環境カウンセラー、省エネ・脱炭素エキスパート、エコピープル、食生活アドバイザー、家電製品アドバイザー
食費・光熱費・交通費・レジャー費など生活全般の節約、エコライフ、買い物、100円ショップなどを専門分野に、暮らしや家事の専門家としてメディアなど多方面で活動。

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