住まいのコラム
固定電話の解約方法は?
メリット・デメリットをわかりやすく解説
最終更新日:
- 高野 友樹
- 公認不動産コンサルティングマスター/相続対策専門士/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
- 引越しなどで固定電話を解約するとどうなる?デメリットはある?
- 固定電話の解約は、電話加入権を手放すことであり、一度解約すると同じ電話番号で契約を再開することはできません。固定費用を抑えられる、営業や詐欺の電話をブロックできるといったメリットがありますが、電話番号の変更が必要になる、FAXが利用できなくなる、災害時の通信手段が減るといったデメリットもあります。
引越しの際に固定電話の移転手続きをしておけば、引越し先でも固定電話を利用できます。ただ、引越しを機に固定電話の解約を考えている方もいるのではないでしょうか。一時的に利用しない、必要かどうか様子を見たいといった場合は、解約ではなく、利用休止や一時中断といった方法を選ぶことも可能です。
この記事では、固定電話の解約方法や、解約するメリット・デメリットのほか、解約以外の方法について解説します。
目次
固定電話の解約とは電話加入権を手放すこと
固定電話の解約は、電話加入権を手放すことを意味します。一度解約すると同じ電話番号で再開はできず、もしまた固定電話が必要になった場合は、新規の契約が必要になります。なお、固定電話は、新規契約の際に施設設置負担金として3万9600円を支払う場合がありますが、解約しても返金はありません。
インターネットを契約している場合
NTTのインターネット回線「フレッツ光」を契約している場合、固定電話を解約するとインターネット回線はどうなるのかが気になるところですが、固定電話を解約してもインターネット契約は継続できます。光回線は電話回線とは別の回線なので、お互いに影響はありません。
固定電話の解約方法
固定電話の解約は、電話またはインターネットで手続きを行います。解約する際の手順は下記のとおりです。
(1)NTTの対象エリアの確認
固定電話サービスを提供しているNTTにはNTT東日本とNTT西日本があり、解約の申込みは、回線の使用場所にサービスを提供しているNTTに行う必要があります。まずは、現住所がどちらのNTTのサービス対象エリアなのかを確認しましょう。
それぞれのサービス対象エリアは下記のとおりです。行政の区割りとは異なることに注意してください。
■NTTのサービス対象エリア
NTT西日本 | NTT東日本 |
---|---|
富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県、および長野県のごく一部 | 北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京県、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県 |
(2)公式サイトまたは電話で解約の意思を伝える
固定電話の解約手続きは、NTT東日本・NTT西日本の公式サイトまたは電話から行えます。公式サイト上の専用フォームに必要事項を入力して申し込むか、局番なしの「116」に電話して解約の意思を伝えれば、申込みは完了です。
携帯電話からかける場合は、NTT東日本は0120-116-000、NTT西日本は0800-2000116で、受付時間はどちらも土日祝日を含む9~17時です。
(3)必要書類の提出
契約者本人による手続きであることを確認するため、本人確認書類などを提出する場合があります。必要と言われた場合は提出します。
実際のところ、固定電話を解約する人はどれくらい?
携帯電話が普及した昨今。引越しを機に固定電話を解約する人は多そうですが、実際のところ、固定電話を解約する人はどれくらいいるのでしょうか。アンケートで調査しました。
※対象者:全国の20代~60代男女1776人 調査時期:2024年1月
アンケートで聞いた 現在の固定電話の契約・解約状況は?
- 固定電話を契約している…50.8%
- もともと固定電話を契約していない…34.2%
- これまで固定電話を契約していたが、解約した…10.8%
- わからない…4.2%
アンケートの結果、もともと固定電話を契約していない人が34.2%。契約していたが解約したという人が10.8%。およそ半数近くが固定電話をもっていないのが現状のようです。
固定電話を解約するデメリット
固定電話は一度解約すると同じ電話番号では再開できないので、解約する前にメリット・デメリットを比較検討して、慎重に判断することが大切です。固定電話を解約するデメリットとしては、下記のようなものがあります。
電話番号の変更が必要になる
各種の保険やクレジットカード、ECサイトのアカウントなどの連絡先として固定電話の番号を登録している場合、解約したのに電話番号を変更していないと重要な連絡が受けられなくなる恐れがあるので、変更手続きが必要になります。電話番号変更の件数が多いと、かなりの手間がかかります。
引越しした場合は、市内での引越しでなければ電話番号が変わるので、変更手続きが必要になるのは同じです。
FAXが利用できなくなる
FAXは電話回線を利用しているので、固定電話を解約するとFAXも使えなくなります。日常的にFAXを使っている場合は、固定電話を利用しないFAXサービス「インターネットFAX」を導入するなどの準備が必要になります。
災害時などの連絡手段が減る
外部電源を必要としないアナログ回線の固定電話の場合は、停電時でも利用できる場合があります。災害時には停電が起きることも十分考えられ、スマートフォンだけだと、充電切れを起こす可能性もあるでしょう。固定電話を解約すると、災害時の連絡手段が1つ減ってしまうことになります。
通話料金が高くなる可能性
固定電話を解約してスマートフォンなどに切り替えた場合、契約プランや使い方にもよりますが、毎月の通話料金が高くなる可能性があります。
実際に、固定電話を解約することにデメリットを感じている人もいます。
上記と同じアンケートで、固定電話を解約しない理由を聞いたところ、以下のような回答がありました。
アンケートで聞いた 固定電話を解約しない理由は?
- 回答者の声
- 自営業をしてるため、FAXコピー機と揃えてます。パソコンなどもコピー機と連動して繋げているので、固定電話だけだとまだ不便。40代/男性
- いろいろな情報登録で固定電話の番号を使用しているので、それを変更していくのが面倒でそのままになっている。50代/男性
- 固定電話を契約していることで社会的信用も高まると思う。40代/男性
- 携帯電話は通話料金が高いため、固定電話のほうが通話料金が安く済む。30代/女性
- 携帯は一時不通になったり、故障するなどの事態があったのでやはり固定も必要。震災に備えてあると安心かなと思う。50代/女性
スマートフォンの通信トラブルは、災害時だけでなく、キャリアの通信障害によって発生することもしばしばあります。特に家族割などを使って家族全員が同じキャリアの場合、固定電話を解約してしまうと、キャリアによる大きな通信障害発生時には、家族全員が通話ができなくなるリスクもあります。
固定電話を解約するメリット
固定電話を解約するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。デメリットと併せて確認し、解約するかどうか検討しましょう。
固定費の節約になる
固定電話は、たとえ使わなくても毎月基本料金がかかります。固定電話を解約すると、基本料金の支払いがなくなるので、固定費の節約につながります。
一般住宅の場合、基本料金は1500~2000円程なので、年間だとおよそ1万8000~2万4000円の節約になる計算です。
営業や詐欺の電話が減る
固定電話は携帯電話に比べて、営業や勧誘、詐欺のターゲットになりやすい傾向があります。解約することで、このような電話をブロックできます。
同じくアンケートで、固定電話を解約した人にその理由を聞いてみました。
アンケートで聞いた 固定電話を解約した理由は?
- 回答者の声
- 引越しの時に外しました。固定費かかるので、使わなくて良かったです。50代/女性
- 固定電話が鳴る時は大抵セールス電話でした。固定電話の必要性を感じなくなり解約しました。20代/女性
- 固定電話プラスインターネット回線を契約していたが、携帯電話を買って固定電話もインターネット回線も不要になった40代/男性
- よく固定電話にいたずら電話がかかってきたりして、周りとの連絡は携帯電話で十分だったので解約した50代/女性
- 基本料金を支払うのが勿体なく解約しました。廃止して電話機の購入も不必要になり、さらに節約になりました。50代/男性
固定電話を解約すると、電話機自体が不要になります。電話機を処分することで部屋がすっきりして、使用できる部屋の棚スペースが増えることもメリットでしょう。固定電話の利用頻度が低い人は、固定支出の削減だけでなく、部屋が片付くこともひとつの要素として検討してみてください。
固定電話の解約と利用休止・一時中断の違い
固定電話の利用をやめる手続きとしては、解約のほかに利用休止や一時中断という方法もあります。これらの方法は解約と違って、必要になったときに再開できるメリットがあります。
固定電話の利用休止
固定電話の利用休止とは、権利を保持したまま最大で10年間、利用を止められる手続きです。利用を再開する際は、電話番号が変わります。なお、利用休止期間は5年ごとの更新です。
電話を止める際と電話を再開する際に、それぞれ工事費用がかかります。費用はNTT局内工事のみですむ場合は2200円、訪問工事が必要な場合は1万1000円程度です。
利用休止のメリットは、電話加入権を最大10年間保持できること。利用休止から10年間は、電話を止める際と再開する際の工事費用以外の料金は発生しません。10年を超えた場合は解約として扱われます。
固定電話の一時中断
固定電話の一時中断とは、権利を保持したまま、無期限に利用を止められる手続きです。再開の際は同じ電話番号を使用できます。
ただし、電話を止める際と再開する際に、利用休止と同様の工事費用がかかるのに加えて、毎月の回線使用料の支払いが発生します。
一時中断のメリットは、再開時に同じ電話番号を使えること。ただし、中断期間中も回線使用料の支払いが発生するので、短期間だけ中断したい場合に向いているといえます。
利用休止の期間は最大10年間と長期のため、休止していること自体を忘れてしまう可能性もあります。利用休止をするなら、あらかじめ様子見の期間を設定しておき、その期間で固定電話を利用するメリットや必要性を感じないようであれば、解約を検討しましょう。
固定電話の代理解約はできる?
固定電話の解約ができるのは、基本的には契約者本人のみです。しかし、契約者が亡くなっている場合や契約者の同意がある場合には、相続人や代理人が手続きすることもできます。
契約者が亡くなっている場合
電話加入権は財産の一種として相続の対象となるので、契約者が亡くなっている場合は、法定相続人または遺言などで指定された受遺者であれば、代理解約の手続きが可能です。
本人による解約の場合と同様に、NTT東日本・西日本の公式サイトもしくは電話で解約の申込みを行います。その際、手続きする人の本人確認書類に加え、戸籍や死亡診断書のコピーなど契約者の死亡が確認できる書類の提出が必要になるので、NTTからの案内に従って提出します。
契約者の同意がある場合
契約者の同意を得て第三者が解約手続きを行う場合は、委任状と契約者、代理人双方の本人確認書類が必要です。たとえば、契約者が介護施設に入所したので自宅の固定電話を解約するなどの場合が考えられます。
本人による解約の場合と同様に、NTT東日本・西日本の公式サイトもしくは電話で解約の申込みを行い、委任状と必要書類を提出して、手続きを進めることになります。
離婚などで契約者と連絡がとれない場合は解約手続きが難しくなってしまうので、使用者と契約者が変わるタイミングで、電話加入権の名義変更や解約を行っておくのがベストです。
固定電話を解約できないケース
固定電話を解約するには、解約する電話番号と契約者の氏名が必要で、これらがわからない場合は解約できないことがあります。
たとえば、使用者以外が契約しており、認知症などの症状により契約者が確認できない場合や、引越しなどで以前の電話番号がわからなくなってしまった場合です。このようなときは、NTT東日本・NTT西日本に相談してみてください。
まとめ
固定電話は、スマートフォンがあれば必要ないようにも思えますが、災害時の連絡手段になるといったメリットもあります。一度解約すると再開できないので、解約は慎重に判断するのがおすすめです。しばらく使わない場合は、利用休止や一時中断といった方法もあるので、メリット・デメリットを確認して検討してみてください。
監修者プロフィール
- 高野 友樹
- 公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
不動産会社にて600件以上の仲介、6000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。現在は株式会社高野不動産コンサルティングを設立し、不動産コンサルティングを行う。