住まいのコラム

引越しでパスポートの住所変更は必要?
届け出なければならないケースと不要のケースの違い

最終更新日:

監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
パスポートの変更をしなければならないのはどんなケース?
パスポートに記載されている氏名・本籍・性別・生年月日に変更があった場合、変更手続きが必要です。住所についてはパスポートへの記載が任意のため、変更があっても手続きする必要はありません。記載欄がある場合は、二重線で消して新たな住所を書き込んでおきましょう。

引越しで住所が変わると、転出届や転入届を出したり免許証の住所変更をしたりと、しばらく必要な手続きに追われることになります。パスポートにも住所記載欄がありますが、変更が必要なのでしょうか。実は、パスポートの記載事項に変更があった場合は、変更手続きが必要なケースと不要なケースに分かれます。

ここでは、引越ししたらパスポートの住所変更が必要なのかどうか解説します。

引越しでパスポートの住所変更手続きは必要?

免許証やマイナンバーカード・国民健康保険・国民年金など、引越しで住所変更が求められるものは多岐にわたります。パスポートもまた、住所変更が必要なのでしょうか。

住所変更だけの場合は手続き不要

引越しで住所が変わっただけの場合は、特別な手続きを経てパスポートの住所変更をする必要はありません。パスポートには住所記載欄がありますが、氏名や性別などが記載されているページではなく、末尾のページに手書きで記載できる欄が設けられています。この欄の記入は任意のため、住所に変更があっても届け出る必要はありません。

自身で記入欄の訂正を

住所欄への記入は任意ですが、外務省では以下のようにアナウンスしています。

「住所が変更になった際に以前の住所を二重線で消した上で、欄内に新たな住所を書くことができます。」

出典:外務省「こんな時、パスポートQ&A」

自身で記入欄を訂正するときの注意点は、度々住所が変わっていて欄内に新たな住所を記載できなかったとしても、欄外に新たな住所を書かないこと。住所欄以外に住所の記載があることで、ビザ申請時や入国審査時にトラブルになってしまう恐れがあります。そもそも住所の記載は任意ですので、欄内に新たな住所が記載できない場合はそのままにしておきましょう。

修正する際に修正テープや修正液を使用してはいけません。パスポートは公的な身分証明書となるため、修正テープや修正液で隠している部分がある場合は認められない可能性があるので注意してください。

パスポートの住所欄がない⁈ 廃止はいつから?

2020年2月4日以降に発行されたパスポートには、そもそも住所記載欄がありません。先のとおり、もともとパスポートの住所記載欄への記入は任意でしたが、記載があれば、パスポートを本人確認書類として利用できる場面は少なからずありました。しかし、住所欄が廃止になって以降、郵便局や一部金融機関などでは、住所欄のないパスポートは本人確認書類として認めていません。

パスポートの変更手続きをする必要があるケース

引越しで住所が変わっても、パスポートの住所変更は自身で可能であり、一部には住所欄がないパスポートもあります。一方、次のようにパスポートに記載されている事項に変更があれば、変更手続きが必要です。

戸籍上の名前が変わったとき

結婚や離婚、養子縁組などにより、戸籍上の名前が変わったときには、変更後の名前でパスポートを作成する必要があります。ただし、名前が変わっても、アルファベット表記に変更がない場合は変更手続きは不要です。たとえば「大野(ONO)さん」が「小野(ONO)さん」になった場合、「斉藤(SAITO)さん」が「斎藤(SAITO)さん」になった場合などがこれに該当します。

本籍の都道府県を変更したとき

本籍もパスポートに記載されている事項のひとつです。ただし、パスポートに記載されている本籍地は、都道府県のみ。従って、同じ都道府県内で本籍地が変わった場合は、パスポートの変更手続きをする必要はありません。たとえば、東京都足立区から東京都港区に引越したような場合は、変更手続き不要です。

性別が変わったとき

戸籍上の性別が変わったときも、パスポートの変更手続きが必要です。米国は2021年、性別欄に「M(男性)」と「F(女性)」ではなく「X(不特定)」と記載したパスポートを発行したと発表しましたが、日本では2023年現在、「M」か「F」しか記載できません。

生年月日が変わったとき

多くはないでしょうが、生年月日が変わったときもパスポートの変更手続きが必要です。

家庭裁判所の許可を得て戸籍上の姓または名を変更する場合や国際結婚によって配偶者の姓を別名として追記する場合も変更手続きが必要です。

パスポートの記載内容を変更するときの手続き方法

氏名・本籍・性別・生年月日に変更があった場合に必要な手続きは、次の2つのいずれかです。

・新たに有効期間10年あるいは5年のパスポートを申請する
・現在の有効パスポートと残存有効期間が同一の新たなパスポートを申請する

両者の手数料は次のように異なりますので、残存期間や使用頻度などを踏まえていずれかを選択しましょう。

申請内容 新規申請(10年有効) 新規申請(5年有効) 残存有効期間同一旅行券(記載内容の変更のみ)
手数料額 16000円 11000円
(12歳未満は6000円)
6000円

新規申請の方法と必要書類

新たにパスポートを申請する場合は、次の書類が必要です。

・一般旅券発給申請書
・戸籍謄本
・住民票の写し
・写真
・マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類

上記の書類をすべて集めて、住民登録をしている都道府県のパスポート窓口に申請します。代理人による申請も可能ですが、申請書には本人が記入しなければならない事項があるためご注意ください。また、代理で申請する人にも、本人確認書類の提出が求められます。

申請から受領までは、通常、1週間程度です。申請時に渡された受領票と手数料を持って、申請窓口で受領しましょう。なお、申請後に交付されるパスポートは、必ず本人が受領しなければなりません。

記載事項の変更をする方法と必要書類

一方、有効なパスポートの残存期間のまま、記載事項のみを変更する場合も新規申請と手続き方法はほとんど同じです。

変更手続きに必要なものは、次のとおりです。

・一般旅券発給申請書
・戸籍謄本
・写真
・マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類
・有効なパスポート

申請から受領までの流れは、新規申請と同様です。

まとめ

住所が変わっただけであれば、パスポートの変更手続きをする必要はありません。自身で住所記載欄を変更しましょう。2020年2月4日以降に発行されたパスポートには、そもそも住所記載欄がありません。

パスポートの変更手続きが必要なのは、氏名・本籍・性別・生年月日に変更があったときに限られます。住所とともにこれらに変更があれば、新規申請か残存有効期間のまま変更するか選択したうえで申請しましょう。

監修者プロフィール

監修者
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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