住まいのコラム
家にアリを寄せ付けない方法は?
室内で見かけた場合の対処法と安全な対策方法
最終更新日:
- 亀梨 奈美
- 不動産ジャーナリスト/株式会社real wave代表取締役
- アリを部屋に寄せ付けないための方法は?
- アリは食材を求めてわずかな隙間から室内に侵入するので、マスキングテープなどを使って隙間を埋めましょう。また、アリがたかれるような場所に食材をおかないように整理整頓するのが大切です。室内に侵入したアリの駆除には、お酢やクエン酸、重曹といった普段料理や掃除に使う物が利用できます。
家の中には意外と害虫が入り込んでくるもの。中でもアリは小型の虫でありながら、1匹だけでなく何十匹も同時に侵入して食べ物に群がってくる困った存在です。
家の中でアリを見つけた場合、被害を食い止めるためにどのような対処をすればよいのでしょうか。今回は家の中でアリを見つけたときの対処法と、アリの侵入を食い止めるための対策についてご紹介します。
そもそもアリはどこから侵入してくるのか
アリは人が生活する範囲で遭遇しやすい虫の一種であり、小さなものでは体長1mm程度しかありません。砂糖や蜜などをエサにする吸蜜性と、虫や小型生物の死骸もエサにする雑食性がおり、家の中にはエサを運ぶ習性がある雑食性が発生しやすいといわれています。
アリはあらゆる経路から屋内に侵入します。ドアの隙間や換気扇の隙間、玄関ポストのわずかな隙間など、少しの隙間があればどこからでも侵入できてしまいます。またマンションの高層階であっても、壁や排水口をつたって侵入することも珍しくありません。
気密性の高い家ならある程度侵入経路を絞れますが、古い木造家屋のように隙間が多い建物では、経路を限定するのは不可能といってよいでしょう。
室内でアリを見つけたときの安全な対処法
どこからでも入ってくるアリは厄介な存在ですが、効果的に退治するための方法はいくつか存在します。次に紹介する方法の中から自宅の環境に適したものを選んでみましょう。
酢やレモンで撃退する
昔からアリ退治に活用されているのが、料理に使われるお酢です。アリはクエン酸に弱い性質を持っています。お酢に含まれる酢酸は体内に入るとクエン酸に変化する性質があるため、お酢をかけるだけでアリは弱くなります。
クエン酸を豊富に含むレモンもアリ退治には効果的です。スプレーで吹きかけられるように絞り汁を水で薄めたものは、アリ専用の殺虫剤になります。しかし、レモンは普段の料理で使う機会が少なく日持ちもしないため、常備するならお酢のほうが便利でしょう。
重曹も効果的
アリ退治には、掃除などで活躍する重曹も効果を発揮します。重曹がアリの体内にあるギ酸と結びつくと、二酸化炭素を発生させる化学反応がアリを退治する強力な効果になります。
重曹は非常に強力な殺虫効果を発揮しますが、アリは重曹を危険な食べ物と判断するため、重曹単体では口にしません。そのため重曹と粉砂糖を混ぜ合わせ、重曹であるとわかりにくくするといったひと手間が必要です。
食器用洗剤を使った駆除方法も安全性が高い
アリ退治には食器用洗剤も効果的です。アリの体の表面は水を弾く性質があるため、少量の水をかけても窒息しません。しかし洗剤に含まれる界面活性剤をアリは弾くことができないため、体の中央にある呼吸口が塞がれ、窒息死させることができます。
使い方は、食器用洗剤1を水2で薄めたものをスプレーで吹きかけるだけです。食器用洗剤はスーパーやコンビニでも入手しやすく、アリ退治のあとの掃除も簡単。また人間が口にするものではないため、誤食・誤飲の危険性がなくお手軽に使える駆除方法としておすすめです。
簡単にアリを撃退する方法として「殺虫剤」が挙げられます。使い方を誤らなければ危険性はないはずですが、小さいお子さんやペットを飼育している場合はなにかと不安もあるはずです。ここで挙げた方法は比較的、安全性が高く、建物を傷めるリスクも低いといえるでしょう。
アリを寄せ付けない対策
アリの駆除は普段日常的に使っている道具を使って行えるため、難易度はそれほど高くありません。しかしアリを家の中に侵入させること自体が望ましくないので、駆除後には再侵入を防ぐための対策も行いましょう。
隙間を塞ぐ
アリが室内に侵入する経路の多くは窓やドアなどにあるわずかな隙間です。見るからにアリが入りやすそうな目立つ隙間があるなら、隙間をパッキンで埋めるスキマテープやマスキングテープで塞いでしまいましょう。
ほかの経路になりそうな隙間も埋めて置きたいところ。壁に穴やヒビ割れがあるようなら、パテでしっかりと埋めておきましょう。換気扇には不織布フィルターを貼っておけば、空気だけを通してアリの侵入を防げるようになります。
アリの餌となるような食材を放置しない
アリは室内にある食材を目当てに侵入してきます。雑食性のアリはなんでも食べる性質があり、甘い砂糖やお菓子類だけでなく、ご飯やパン・果物・小麦粉などあらゆる食材が狙われます。
アリを寄せ付けないためには、食材の存在をアリに気づかせないことが大切です。食べかけの料理はテーブルの上や台所に出しっぱなしにせず、小まめに冷蔵庫にしまいましょう。また、生ごみにも注意が必要。生ゴミを捨てたゴミ袋の口は密封し、アリににおいで感づかれないようにしましょう。
床やシンクに残された小さな食べカスや料理カスもアリにとっては狙い目です。食事後や料理後には毎回すぐに掃除する習慣を身につければ、いつでも清潔な状態が保てるでしょう。
巣ごと駆除する
室内にアリが侵入する頻度が高い場合、部屋の近くに大きなアリの巣ができている可能性があります。どれだけ室内のアリを駆除しても終わりが見えないようなら、根本的な解決を図るためにもアリの巣ごと駆除しましょう。
アリの巣の代表的な駆除方法が、巣の中に熱湯を注ぐことです。アリの体はほとんどタンパク質で構成されてるため、急激な加熱により固形化させることができます。
ただし、アリの巣は表面からはわからないほど地中に広く深く広がっているため、少々のお湯では巣全体の駆除は困難です。完全に駆除したいなら、巣全体を覆えるほどの量の熱湯を用意しましょう。最低でも5リットル以上を用意できるのが理想的です。
お手軽にアリの巣を駆除するなら、アリの巣専用の駆除スプレーを利用するのがおすすめです。ノズルを巣に突き刺しスプレーすれば、広範囲に殺虫剤が広がり短時間で巣全体を駆除できるでしょう。ただし、稀にアリが殺虫剤を耐えきってしまうため、一度のスプレーでは駆除しきれない場合があります。再び巣が復活するのを防ぐためにも、一度のスプレーで駆除を終わりにせず、定期的にスプレーを繰り返すとよいでしょう。
床下から侵入しているようであれば家主や管理会社に相談を
ここまでは隙間から侵入してくるアリへの対策をご紹介してきましたが、一軒家やマンション・アパートの1階では、床下から侵入してくるケースもあります。
床下に巣があるという状態は、室内への侵入頻度が上がるだけではありません。雑食のアリが家中を歩き回るようになるため、家の床や柱が大きなダメージを受けるリスクも高まります。
もし床下に巣があると疑われるなら、なるべく早いうちに家主や管理会社に相談し、巣の調査を行ってもらいましょう。床下の巣は個人では駆除が難しいため、素人は手を出さずに家主や管理会社が手配した駆除のプロに任せておくのが安心です。
アリが寄り付きにくい賃貸住宅の特徴
アリの駆除は個人でもある程度対処できますが、できれば駆除の必要がない物件に住むのが理想的です。
アリは建物の外で発生するため、どの建物であっても被害を受ける可能性はあります。しかし構造次第ではある程度アリが寄りつきにくくなるため、物件選びの際には次のようなポイントを意識してみるとよいでしょう。
築浅
築浅の物件は気密性が高く、建物全体の隙間が少ないため、アリが室内に侵入しにくくなります。隙間ができやすい木造であっても、築10~20年程度まではあまりアリの心配をしなくてもよい程度の気密性をキープできるでしょう。
鉄筋・鉄骨造
建物の構造の中でも、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、ある程度築年数が増えてもアリが入りにくい状態が続きます。木造に比べて気密性が高い構造であるため、アリが入る隙間ができにくく、入れたとしても侵入経路が限定しやすいため対策も打ちやすいでしょう。
ただし、大きな地震などによって壁がヒビ割れてしまうと、途端にアリの侵入経路が増えてしまう点には注意が必要です。築古のRC造、SRC造の物件を選ぶ際には、外観にヒビ割れがないか、何らかの補修が行われているかといったメンテナンス部分もチェックをしておきましょう。
高層階
同じ建物の中でも、高層階の部屋はアリの被害を受けにくい傾向があります。2階以上なら床下に巣ができるリスクがないのはもちろん、階が上がるほどアリが登りにくくなるため、アリの姿を見る機会そのものが大きく減るでしょう。
しかし、住民の服や靴を経由して高層階に侵入し、ベランダに巣を作ってしまう可能性もあります。100%完全にアリが出る可能性がなくなるわけではないので、高層階であってもアリ対策への意識は怠らないようにしましょう。
アリなどの害虫が発生しやすいかどうかは、周辺環境にもよるところです。飲食店が多いエリアや湿地、公園の近くなどは、どうしても生物が繁殖しやすくなります。かといって、閑散としたエリアでは利便性や居住快適性は下がってしまいます。
まとめ
体の小さなアリは、ほかの虫が入れないようなわずかな隙間から室内に侵入します。食材にたかるだけでなく、室内全体を不潔にされてしまうため、室内への侵入を防ぐ対策と同時に、侵入したアリの早期駆除が望まれます。
アリの駆除や侵入予防は、ある程度個人でも対応が可能です。お酢や重曹といった身近な品物で効果的な対策ができるので、アリが発生したときに備えて駆除方法を覚えておくとよいでしょう。
ただし、巣の場所や被害状況によっては個人での対応が難しくなります。手に余ると感じるようなら早めに家主や管理会社に相談しましょう。
監修者プロフィール
- 亀梨 奈美
- 株式会社real wave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年に株式会社real wave設立。不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに執筆している。