住まいのコラム

ガレージハウスに賃貸で住むには?
メリットや物件選びのコツを解説

最終更新日:

監修者
三輪 歩己
不動産鑑定士/宅地建物取引士/日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)/相続診断士/J-REC公認不動産コンサルタント
ガレージハウスとはどんな物件?賃貸で住める?
ガレージハウスとは、車やバイクのガレージと住まいが一体になった住宅です。ガレージハウスには賃貸物件もあり、手軽にガレージのある暮らしを始められます。ただし、物件数はそれほど多くないため、ガレージハウスであることを優先する場合は、それ以外の条件について妥協する必要があるかもしれません。

ガレージハウスは、車好きやバイク好きの人にぴったりの住まいです。「いつかガレージハウスに住みたい」と憧れている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、ガレージハウスの特徴や家賃相場、メリット・デメリットを解説します。併せて、ガレージハウスの賃貸を選ぶ際のポイントについても見ていきましょう。

ガレージハウスとはガレージと住居が一体となった物件のこと

ガレージハウスとは、ガレージと住居がひとつになった物件を指す言葉です。一旦外に出ることなく、家の中からガレージに移動することができます。
ガレージとは、車庫の中でも3つ以上の壁で覆われたタイプのことです。三方が覆われていればガレージに該当しますが、一般的なガレージは三方の壁に加えて出入口にもシャッターがついていて、完全に外部から遮断できます。

ガレージハウスは、大切な車やバイクを雨風から守れることに加えて、いつでも好きなときにガレージに移動して、屋根のある場所でメンテナンスができることから、車好きやバイク好きの人に人気の住まいです。また、ガレージハウスの造りによっては、生活空間から車を眺めることもできます。

特殊な形状の住宅になるため、注文住宅として作られることも多いガレージハウスですが、賃貸物件としても存在しています。家を建てるとなるとかなりの費用が必要になりますが、賃貸なら気軽に住めるでしょう。
また、将来ガレージハウスを建てたい人は、一度賃貸のガレージハウスに住んでみると、思わぬメリットやデメリットに気づくことがあるかもしれません。

ガレージハウスのガレージ構造

ガレージハウスのガレージは、ビルトインガレージと呼ばれます。ビルトインガレージとは、建物の一部としてガレージを組み込んだ構造です。

ビルトインガレージは、インナーガレージと呼ばれることもあります。インナーガレージは、住宅部分からガレージが見えるなど、より居住スペースとガレージが密接な場合に使われることが多いものの、明確な違いはありません。

たとえば、リビングとガレージをガラスで隔てて、くつろぎながら車を眺められるといった物件では、インナーガレージという言葉を使う場合が多くなります。とはいえ、賃貸では居住スペースと区切られた形で、1階にガレージを作っている物件がほとんどです。

賃貸のガレージハウスの特徴

賃貸のガレージハウスは、1階部分が車庫、2階部分が住居になったメゾネットタイプの物件が多くなっています。メゾネットとは、2階建ての物件をつなげた形の集合住宅です。
一般的なメゾネットは、2階建ての住宅が連なる形で1つの建物になりますが、ガレージハウスの場合、1階に車庫、2階に住居のある間取りが連なる形状になります。

メゾネットタイプのガレージハウスでは、通常居住エリアにあてられる1階部分をガレージにしているため、居住スペースはそれほど広くない場合が多いでしょう。中には3階建てなどにして2LDKや3LDKといった広さを確保する物件もありますが、多くは1人暮らし用のワンルームや1K、1DK、1LDKです。

そのほか、物件数は多くないものの、全戸のガレージを1階にまとめたタイプのマンションや、ガレージ付きの賃貸戸建てなどもあります。

ガレージハウスの家賃相場

ガレージハウスを賃貸で借りる場合の家賃相場は、地域や物件の広さなどによって変わります。ここでは、比較的コンパクトな一人暮らし用の賃貸物件(ワンルーム、1K、1DK、1LDK(+S)、メゾネットタイプ)について、地域別の家賃相場を紹介します。

<地域別・ガレージハウスの家賃相場>
・東京都:12万~20万円
・大阪府:7万~18万円
・愛知県:5.7万~13万円
※2023年7月末時点の「goo住宅・不動産」掲載物件より

ガレージハウスの賃料は、通常の賃貸物件よりも高額になる傾向で、特に東京では10万円以下でガレージハウスを借りるのは困難です。さらに、間取りが広く設備が充実している物件では、上記以上の高額な賃料が発生します。

ガレージハウスは物件数自体が少ないことから、条件と賃料の希望に合う物件を見つけるのが困難なこともあるでしょう。地域を変える、不動産情報をこまめにチェックして長い目で探すといった工夫をしてみてください。

車好き、バイク好きの人から人気が高いガレージハウスですが、比較的専有面積が広く、設備が充実している物件が多いため、家賃相場としては、通常の物件より高額になります。検討の際には一度似たような間取り・設備の物件の家賃相場と比較してみるなどして、相場感がどのくらい違うのか確かめてみてもよいかもしれません。

賃貸のガレージハウスのメリット

賃貸のガレージハウスには、車好きやバイク好きにぴったりのさまざまなメリットがあります。ガレージハウスを借りることで、どのような暮らしができるのかイメージしてみましょう。

車が雨風や日差しにさらされない

通常の賃貸物件は屋外駐車場しかない場合も多く、車やバイクが風雨や紫外線、黄砂などによるダメージを受ける可能性がありますが、ガレージハウスでは屋内の車庫に停められるため、そのような心配はありません。

雨の日に荷物を積み下ろしたり外出したりする際も、濡れることなく車と居住スペースを移動でき、快適に暮らせます。

いつでも趣味の時間を楽しめる

ガレージハウスは、居住スペースとガレージが近く、移動しやすいため、いつでも思い立ったときに車やバイクの趣味の時間を楽しめます。ガレージの面積が広ければ、整備用品などを合わせて置いておくことも可能です。

ガレージハウス以外の物件では、駐車場がそもそもなくて近隣の月極駐車場を利用なければならない、機械式駐車場で出し入れが面倒、その場でのメンテナンスができないといった物件も少なくありません。車やバイクのメンテンナンスに多くの時間を割きたい人にとって、ガレージハウスは魅力的な住まいといえるでしょう。

防犯面で安心できる

ガレージハウスのガレージには、通常シャッターがついているため、防犯面でも安心です。
高級車や市場価値の高い車は、盗難などの被害に遭うおそれがあります。また、人の出入りがある駐車場に停めていると、車上荒らしや車へのイタズラといったトラブルが発生することもあるかもしれません。

シャッター付きのガレージなら、中に侵入することはできないので、大切な車やバイクを犯罪から守れます。

倉庫や物置としても使える

ガレージが広い物件では、ガレージの中にアウトドア用品など、車やバイク以外のアイテムを保管することもできます。ガレージ全体を趣味のスペースとして活用できるのも魅力です。広さによっては、車とバイクを両方置ける可能性もあります。

車好きの集まる物件に住める

ガレージハウスには、基本的に集合住宅の全戸にガレージが用意されています。住人はほぼ全員が「ガレージ付きの物件に住みたい」と考える、車好きやバイク好きの人たちなので、同じ趣味を持つ者同士、円満なご近所付き合いができそうです。住人同士が仲良くなり、趣味の友だちができる可能性もあります。

ガレージハウスの一番のメリットは、屋外駐車場と違い、車やバイクを風雨、紫外線、黄砂、動物などから守れることです。大切な車やバイクのダメージや汚れを防ぐことができ、長くきれいに愛用できるのは大きな魅力です。ガレージハウスに住むことで、趣味の時間をより充実させることができるでしょう。

賃貸のガレージハウスのデメリット

賃貸のガレージハウスは、車好き、バイク好きの人にメリットの大きい物件ですが、デメリットもあります。賃貸でガレージハウスを借りるときに気をつけたいデメリットは、下記のとおりです。

メゾネットタイプの間取りが多い

賃貸のガレージハウスは、多くがメゾネットタイプの間取りです。1階がガレージで階段を上った2階が居住スペースですから、外出時や宅配便の受け取りなどの際、毎回階段を上り下りしなければいけません。運動にはなりますが、生活をするうえで不便を感じる可能性もあります。

また、メゾネットタイプの間取りは室内に階段があることから冷暖房の効率が下がり、光熱費が高くなるおそれがあります。さらに、ガレージと居住スペースがつながっているため、虫の侵入にも注意が必要です。

物件数が少ない

賃貸のガレージハウスは、物件数が限られます。希望のエリアや間取り、駅からの距離、広さなど、すべての希望を叶えられる物件はなかなか見つからない可能性が高いでしょう。

特にエリアは、そもそも該当の場所に物件がなければ、待っていても借りることはできません。希望範囲をある程度広げて探すことをおすすめします。

家賃が高い

ガレージハウスの多くは、居住スペースがそれほど広くないにもかかわらず家賃が高めです。通常のワンルームと近隣の駐車場を借りる場合に比べて、家賃が高額になる可能性があります。ガレージの分だけ高くなった家賃が、趣味の費用の一環として許容できるかどうか検討してみてください。

価値観は人それぞれですから、家賃の平均値を参考にするのではなく、自分の暮らしや月の支出をもとに、支払い続けられるか考えるのがおすすめです。

ガレージハウスの賃貸物件を選ぶときのポイント

ガレージハウスの賃貸物件を探す際に、あらかじめチェックしておきたいポイントをまとめました。賃貸物件は住み替えも比較的容易ですが、それでも、まとまった費用と手間がかかります。内見の際には以下のポイントを確認しておきましょう。

ガレージのサイズや設備

ガレージのサイズや設備は、ガレージハウスに住むうえで重要なポイントです。愛車が問題なく入る広さかどうかはもちろん、置きたいものを置けるか、洗い場はあるか、ガレージ内の状態はどうかなど、設備を十分に確かめましょう。

愛車を停めた後の空きスペースがどのくらいになるのか、間取り図に書き込んでみるのもおすすめです。

居住スペースの住みやすさ

ガレージだけでなくしっかりチェックしたいのが、居住スペースの住みやすさです。ガレージハウスは物件数が少ないこともあり、「ガレージは妥協できないから、居住スペースはある程度妥協しよう」と考えてしまうかもしれません。しかし、日々の生活を送るのは居住スペースです。

住みづらい環境では結局ストレスが溜まって、住み続けるのが困難になってしまいます。広さや設備、生活動線のほか、家具や家電が問題なく入るかなど、住みやすさを確認しましょう。

騒音にうるさくないエリアか

ガレージハウスの住人は、基本的に車やバイクが好きな人ばかりです。しかし、周囲の建物に住む人も同じとは限りません。閑静な住宅街にあるガレージハウスでは、夜に車のメンテナンスをしたり、走りに出かけたりすることが多いと、騒音トラブルに発展するおそれもあります。

夜間の出入りやメンテナンスが多い人は、事前に周辺環境や音の響き方などをチェックしておきましょう。

ガレージハウスに住むからには、ガレージ部分が理想的な造りかどうかは重要なポイントです。内見の際には、ガレージのサイズ感や必要な設備が揃っているかなど、ガレージでどう過ごしたいのか具体的にイメージしながら、念入りにチェックしておくとよいでしょう。

まとめ

ガレージハウスは、車好きやバイク好きの人にとって非常に魅力的な住まいです。数は少ないながら、賃貸で気軽に借りられる物件もあるのでチェックしてみましょう。一般的な賃貸住宅よりは家賃は高めですが、その分、大切な愛車を風雨などから守れて、いつでも好きなときにメンテナンスできる点は大きなメリットです。

監修者プロフィール

監修者
三輪 歩己
不動産鑑定士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、相続診断士、J-REC公認不動産コンサルタント。
約20年間の鑑定・宅地建物取引業の経験を活かし、2020年に不動産パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。同社では、不動産鑑定業・宅地建物取引業に加え、不動産専門の相続診断士として活動を行う。

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