住まいのコラム
インターネット無料の賃貸の速度は十分?
使い方やメリット・デメリットを解説
最終更新日:
- 矢野 翔一
- 2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
- インターネット無料の賃貸物件のメリット・デメリットは?
- インターネット無料の賃貸物件は、通常は入居後数日~数週間かかる回線開通期間がなく、入居後すぐにインターネットの使用が可能。また、月々の利用料もかからないのがメリットです。ただし、ネット料金分が家賃に上乗せされていて割安とはいえない物件も。また、プロバイダの選択はできず、通信速度も一般的な回線に比べ遅いことがあります。
物件探しの中で目にすることも多い、「インターネット無料」の表記。在宅勤務をする人が増えた昨今、インターネット無料の賃貸住宅は増加傾向にあります。
インターネット無料の賃貸物件は経済的に助かる一方、通信の速度や安定性に不安を感じている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、インターネット無料の賃貸住宅のメリット・デメリットとともに注意点について解説します。
目次
インターネット無料の賃貸物件とは?
インターネット無料の賃貸住宅とは、無料でインターネット回線を利用できる部屋を指します。家主がプロバイダと契約をしているため、入居者は費用負担とともに契約の必要もありません。
「インターネット完備」という表記がある物件も、インターネット無料の賃貸住宅を指すケースが多いようです。とはいえ決まった表記があるわけではないので、判断に悩む時は「無料」なのか「インターネットが使用可能」なのか、不動産仲介会社に確認してみましょう。
インターネット無料の賃貸物件のメリット
インターネット無料の賃貸住宅には、次のようなメリットがあります。
月額数千円の使用料がかからない
住宅でインターネットを利用するには、一定の料金がかかります。金額はプロバイダやプラン次第ですが、月々3000〜5000円ほどであることが多いようです。家賃と別にインターネット使用料を負担しなくてもよいことは、インターネット無料の賃貸住宅の大きなメリットだといえるでしょう。
引越し後すぐにインターネットを利用できる
インターネット無料の賃貸住宅は、入居と同時にインターネットを使えるケースが多いものです。従って、引越し直後からインターネットを利用でき、回線の開通を待つ不便がありません。
近年では在宅勤務も一般的になっており、引越し直後は地域の情報を検索する局面も多いことから、引越し直後からインターネットを利用できることは入居者にとって大きなメリットとなります。
工事不要
インターネット回線が入っていない部屋に入居すると、まずプロバイダを選び、業者に連絡し、開通工事を待たなければインターネットは利用できません。引越し直後からインターネットが利用できない、手続きに労力を要する点もデメリットといえるでしょう。工事は人が来て実施するため、スケジュールが合わなければ、インターネットの利用を開始できる時期はどんどん先送りになります。
このような面倒な手続きがいらないのも、インターネット無料の物件だからこそです。
インターネット無料の賃貸物件のデメリット
一見すると、インターネット無料の賃貸住宅はメリットばかりのようにも見えますが、次のようなデメリットもあります。
通信速度が遅いことがある
無料でインターネットが使えることはメリットにほかなりませんが、通信速度が遅い可能性があります。パソコンやスマートフォンをインターネットに繋ぐことはできても、通信速度が遅いと、動画視聴やWeb会議、オンラインゲームプレイなどに支障をきたすでしょう。
インターネット無料の賃貸住宅は、インターネット回線を複数の居室で共有していることも少なくありません。この場合、アクセスが集中する休日や夜間帯は、回線速度が落ちる傾向にあります。
プロバイダを選べない
インターネット無料の賃貸住宅は、無料で使えるプロバイダや回線の種類が決まっているケースがほとんどです。速度や安定性、通信量などにこだわる場合は、指定のものでは物足りないこともあるでしょう。
家賃が割高なことも
「インターネット無料」とはいえ、実質的にはインターネットの回線料金が家賃に上乗せされているケースもあります。
インターネットが無料であることから相場より数千円高い賃料設定になっているとすれば、有料であっても、自分の好きなプロバイダや回線の種類を選んだほうが総合的に満足度できる可能性があります。
テレワークの普及によって家庭におけるインターネット環境が必須となりました。テレワークでは速度や安定性が求められるため、契約前にどのようなインターネット環境なのかを必ず確認しておきましょう。
ネット無料の賃貸物件のインターネットの使い方
インターネット無料の賃貸住宅のネットへの接続方式は、次の2つに大別されます。
有線方式
有線方式とは、LANケーブルでモデムやルーターとパソコンなどの端末を繋いでインターネットに接続する方法を指します。有線であることから端末を使う場所が限られ、配線が見えてしまうことがデメリットとなりますが、無線方式と比べて速度が出やすく、安定性も高い傾向にあります。
無線方式
無線方式とは、LANケーブルではなく電波を使い、無線でインターネットに接続する方法を指します。配線が不要のため端末の使用場所を選ばず、同時に複数の端末を使用することも可能です。ただし、場所によっては速度が出ず、接続が安定しないこともあります。
インターネット無料の賃貸物件を検討する時の注意点
インターネット無料の賃貸住宅は、引越し直後からインターネットが使えるなどメリットがある一方で、速度や安定性が物足りないと感じる人も一定数いるものと考えられます。快適なネット環境で生活できる物件を見つけるためにも、次の点に注意しましょう。
「ネット無料」と「ネット対応」は異なる
「インターネット無料」という表記と似たものに「インターネット対応」があります。インターネット対応の賃貸住宅は、プロバイダと契約ができる物件を指します。この場合、入居者は独自にプロバイダと契約し、費用を負担しなければならないためご注意ください。
内見時にプロバイダや回線の種類を確認しておく
入居を決める前には、無料で使えるプロバイダや回線の種類を確認しておきましょう。これらの点を確認しておくことで、あらかじめ回線の速度や安定性を把握しておくことができます。
また、併せて、無線か有線かの接続方法も確認しておくことをおすすめします。無線でインターネットを利用する場合は、自身でルーターを用意しなければならないケースもあるので注意しましょう。
別のプロバイダと契約可能かも確認しておく
速度が出ない、あるいは接続が安定しない場合には、自身でプロバイダと契約する必要性も出てきますが、構造やオーナーの都合上、契約可能なプロバイダが限られているケースもあります。もしもの場合に備え、あらかじめ別のプロバイダと契約可能か確認しておくことも大切です。
無線方式が採用されている賃貸物件の場合、部屋によっては無線が十分に届かない可能性があります。内見時に通信速度や電波の強さなどを確認しておけば、契約後のトラブルを回避できるでしょう。
まとめ
インターネット無料の賃貸住宅は、無料かつ引越し直後からネット回線が利用できる点がメリットです。しかし、速度や安定性が十分であるとは限らないため、あらかじめプロバイダや回線の種類とともに、別のプロバイダと契約可能か確認しておくようにしましょう。
また、物件情報には「インターネット無料」ではなく「インターネット完備」と表記されているケースもあります。ほかにも「インターネット対応」「インターネット利用可能」といった表記が見られることもありますが、これらは「無料で利用できる」わけではない可能性が高いため、事前の確認が必要です。
監修者プロフィール
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。