住まいのコラム
賃貸でよくある隣人の迷惑行為事例と適切な対策・回避方法を解説
最終更新日:

- 亀梨 奈美
- 不動産ジャーナリスト/株式会社real wave代表取締役
- 隣人の迷惑行為に対する対策は?
- 隣人から迷惑行為を受けるようなら、まずは家主や管理会社に相談してください。その後も迷惑行為がエスカレートするようなら、警察への相談も視野に入れましょう。ただし当の住民との対峙には労力と時間がかかるので、早々に転居したほうが被害が少ない場合もあります。
せっかく築浅のきれいなマンションに引越したのに、隣家の騒音がうるさくて眠れない……。引越してみて初めて直面した隣人の迷惑行為に頭を悩ませる人は少なくありません。
今回は、「隣の部屋がうるさい」「身に覚えのない苦情を言われる」など、賃貸でよくある隣人トラブル事例と、適切な対策についてご紹介します。
賃貸でよくある隣人の迷惑行為事例5選

アパートやマンションといった賃貸物件では隣人同士の部屋が近く、ときに隣人の生活が自分の生活に影響を及ぼすことがあります。中には、隣人の迷惑行為に悩まされることも……。
隣人による迷惑行為事例として、以下のようなものが挙げられます。
夜間に行われるパーティ、宴会
夜は周囲が静かになり音が響きやすいため、日中なら問題ない音でもトラブルの原因になりやすくなります。
ただでさえお互いに気をつかわなければならない夜間。わざわざ夜に人を集めて大声での会話や歌を響かせる行為は、たとえ悪気がないとしても重大な迷惑行為だといえるでしょう。
昼夜逆転の生活をしている
夜勤がある仕事に就いている人は、生活のリズムが昼夜逆転しがち。一般的な就寝時間帯が活動時間になるため、周囲の住民と騒音トラブルを引き起こしやすくなります。
夜は音が響きやすいことを理解し、なるべく音を立てないように配慮できる人も多くいます。しかし隣人が気を遣うような人でない場合、夜中に遠慮なく音を出すばかりか、近隣住民が日中に出す生活音にクレームを入れてくる場合もあります。
騒音を出しているつもりはないのに苦情を言われる
騒音トラブルには、こちらが騒音に悩まされるケースだけでなく、身に覚えのない騒音で苦情を言われるケースもあります。
実際にこちらがうるさい音を出していたのであれば以後気をつけることで解決できるものですが、身に覚えがなければ対処することもできず、解決しないまま。騒音を疑われる中で生活しなければならないという非常に大きなストレスを強いられることになります。
頻繁に訪ねてくる
住民同士のコミュニケーションは、交流や防犯の観点からも歓迎できるケースが大半です。しかし度を超えた頻度のコミュニケーションは生活の負担に繋がるため、節度を持った頻度での交流が望まれます。
相手の都合を考えずにやたらと交流を求める隣人に悩んでいる人は少なくありません。良好な関係であったとしても、自分の都合でのみコミュニケーションを求められれば、普段の生活が息苦しくストレスが溜まってしまうでしょう。
部屋から漂う悪臭
部屋から漂う悪臭は、広範囲の近隣から苦情が入る迷惑行為になりがちです。住民が喫煙者である場合には、煙がベランダや換気扇から流れるため、屋外に洗濯物を干せなくなるというクレームを受けやすくなります。
悪臭の原因はタバコだけではありません。何ヶ月分ものゴミが溜まったゴミ屋敷化した部屋からは、生ゴミや食べ残し、洗濯されていない衣服などからあらゆる悪臭が漂います。さらには室内に溜め込まれたゴミから害虫を発生させることもありえます。
ゴミ屋敷化した部屋が与える影響は広範囲に及ぶため、場合によっては建物全体が迷惑を受け続けることになります。
隣人の迷惑行為に対する適切な対策

残念ながら、隣人が迷惑行為を行うような人かどうかは、入居してみるまでわからないことがほとんどです。もし入居したマンション・アパートで隣人による迷惑行為があった場合、どのような対策を打てばよいのでしょうか。
家主や管理会社に相談する
隣人から迷惑行為を受けた際、まずとりたい対策は、家主・管理会社への相談です。迷惑行為を行う隣人が長く住んでいるようなら、家主や管理会社はその住人の存在を認識しているでしょう。
すでに何らかの対策を行ってくれているかもしれませんが、新しく入った入居者もすでに迷惑していることを伝えることで、より確実な解決に向けて動いてくれることが期待できます。
度を超えている場合は警察への相談も視野に
迷惑行為が少し住みにくさを感じる程度ではなく、安全な生活が脅かされる域に達している場合は、警察への相談も視野に入れておく必要があります。
家主や管理会社に相談しても問題が解決しない状態が続くようなら、まずは警察相談ダイヤルの「#9110」に相談を。窓ガラスを割られる、面と向かって罵声を浴びせられるなどの直接的な被害が出ているようなら、110番への通報や被害届の提出も検討しましょう。
引越しも選択肢のひとつ
長く住み続けている住民が迷惑行為を行っている場合、すでに家主や管理会社から再三にわたって注意を受けている可能性があります。その上で今も迷惑行為を続けているということは、今後相談や通報をしても改善される見込みはないとも考えられるでしょう。
長きにわたり対峙していると、心身共に大変疲弊してしまいます。安全で健康的な生活を送るためにも、別の物件への引越しを視野にいれてもよいでしょう。
隣人からの迷惑行為に合わないための回避策

実際に入居してみるまで、隣人がどのような人か判断するのは難しいもの。しかし、入居前からできる対策もあります。以下でご紹介する回避策をとることで、隣人からの迷惑行為に悩む可能性を下げることができるでしょう。
物件の遮音性を確認する
隣人トラブルの多くは物音が原因で起きています。裏を返せば、建物の遮音性が高く、隣室からの音が聞こえなければ騒音トラブルも起こりにくいといえます。入居前には物件の遮音性をチェックしておきましょう。
遮音性は一般的に建物の構造に左右されています。鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は遮音性が高く、次いで鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、重量鉄骨造、軽量鉄骨造と続き、木造が最も遮音性が低いとされています。高い遮音性を求めるならRC造やSRC造の物件を優先して選ぶのがおすすめです。
相場より著しく安い家賃の物件は慎重に検討する
周辺の家賃相場よりも著しく安い家賃の物件は、一見お得な物件に見えるかもしれませんが、家賃を極端に下げなければならない理由があるのかもしれません。
家賃を下げる理由はさまざまですが、隣人トラブルが原因である可能性もあります。家賃が相場より安い場合は、なぜ安いのか考え、必要に応じて不動産会社に理由を聞いてみましょう。
共用部分から住む人のモラルを推察する
ゴミや喫煙に無頓着な住民が住んでいる場合、アパートやマンションの共用部にその影響が出ている可能性があります。
エントランスにタバコの吸い殻が投げ捨てられていたり、ゴミの日でないのにゴミ捨て場にゴミが散乱していたりするなら、住民の中に無頓着な人がいるのかもしれません。物件を内見する際は、部屋の中だけでなく、建物の周囲や共用部分もチェックすることをおすすめします。

隣人トラブルは、集合住宅と切っても切り離せない問題です。近年では、賃貸物件のオンライン内見や電子契約などができるようになり、現地を訪れずに契約することも可能になってきています。しかし、隣人の様子も含め、周辺環境や眺望は居住快適性に直結するため、できることなら現地を見て賃貸物件を選ぶことをおすすめします。
まとめ
どの集合住宅であっても、実際に入居してみるまでは近隣にどのような人が住んでいるかわかりません。迷惑行為を行うような隣人がいると、どれほど条件の良い物件であったとしても、快適な生活を送るのは難しいでしょう。
効果的な対策は、入居前に物件を慎重にチェックすることです。不自然なほど家賃が安い物件や、共用部が乱れている物件は、住民に何らかの問題を抱えている可能性も考えましょう。
実際に隣人から迷惑行為を受けたときは、まずは家主や管理会社へ相談を。生活を脅かすほど迷惑行為がエスカレートするようなら、警察への相談も視野に入れた対策を進めるとよいでしょう。
監修者プロフィール

- 亀梨 奈美
- 株式会社real wave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年に株式会社real wave設立。不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに執筆している。