住まいのコラム

二人暮らしの生活費はいくら?
費用の平均と収入別シミュレーション

最終更新日:

監修者
和田 由貴
消費生活アドバイザー/環境カウンセラー/省エネ・脱炭素エキスパート/エコピープル/食生活アドバイザー/家電製品アドバイザー
二人暮らしの生活費は平均いくら?
二人暮らしの平均生活費は、家賃を除き約23万円です。家賃の目安は、2人の手取りの合計額の3分の1以内が目安です。東京23区内の場合、二人暮らし向け物件の家賃相場は約14万円なので、生活費の合計は37万円程度になります。年代や住むエリアなど、自分たちの状況に合わせたシミュレーションを行いましょう。

同棲や結婚、ルームシェアなどで二人暮らしをするときには、必要な生活費についてきちんと把握しておくことが大切です。では、二人暮らしには、どのような費用がどれくらいかかるのでしょうか。

この記事では、二人暮らしの生活費の平均や内訳などについて、収入別のシミュレーションとともに解説します。

二人暮らしの家賃を除いた生活費の全国平均は約23万円

2019年の総務省統計局の調査によると、二人暮らしにかかる家賃を除く1ヵ月あたりの生活費の平均は、約23万円です。どのような項目にどれくらいの費用がかかっているのでしょうか。

全年代の二人暮らしの平均生活費

総務省統計局が5年ごとに実施している全国家計構造調査によると、家賃を除く二人暮らしの生活費の平均は下記のとおりです。一人暮らしの生活費と比較してみましょう。

■二人暮らしと一人暮らしの平均生活費(全年代)

費用項目 二人暮らし(全世帯平均) 一人暮らし(全世帯平均)
食費 6万8730円 4万130円
水道光熱費 1万7536円 1万348円
生活用品費 9143円 4695円
被服費 9090円 5905円
保険医療費 1万4454円 6992円
交通・通信費 3万5459円 2万1850円
教養・娯楽費 2万6542円 1万8780円
その他(理美容費・交際費など) 4万6233円 2万3724円
合計 22万7187円 12万6519円

出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとに作成

一つひとつの項目を見ると、一人暮らしよりも二人暮らしの金額のほうが多いものの、一人あたりの出費を考えると、二人暮らしをするほうが家計の負担は少なくなることがわかります。

25~29歳のカップルの平均生活費

全国・全世代の二人暮らしの平均生活費は、若いカップルよりやや水準が高い可能性があるため、ここからは年代別に、二人暮らしにかかる生活費の平均を見ていきます。
世帯主の年齢が25~29歳の二人暮らしの場合、家賃を除いた生活費は下記のようになります。

■二人暮らしの平均生活費(25~29歳)

費用項目 金額
食費 5万2382円
水道光熱費 1万2829円
生活用品費 6850円
被服費 8822円
保険医療費 1万841円
交通・通信費 3万2389円
教養・娯楽費 2万3880円
その他(理美容費・交際費など) 2万9975円
合計 17万7968円

出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとに作成

30歳未満の若い世代の場合、二人暮らしにかかる生活費は全世代の平均より低めです。単純計算すると1人あたりの負担額は半額の8万8984円になるため、一人暮らしの全世代の平均額と比べると3万7000円程支出を抑えることができます。

35~39歳のカップルの平均生活費

次に、世帯主の年齢が35~39歳の二人暮らしについて、家賃を除く生活費を紹介します。

■二人暮らしの平均生活費(35~39歳)

費用項目 金額
食費 6万3952円
水道光熱費 1万4628円
生活用品費 7769円
被服費 1万223円
保険医療費 9626円
交通・通信費 3万4041円
教養・娯楽費 2万6247円
その他(理美容費・交際費など) 3万4829円
合計 20万1315円

出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとに作成

年齢が上がると二人暮らしの生活費も上がり、全世代の平均額に近くなります。中でも出費が増えているのは、保険医療費、教養・娯楽費、理美容費、交際費などです。1人あたりの負担額は、単純計算で10万657円になります。

二人暮らしの主な生活費の内訳

二人暮らしをするうえで欠かせない費用が、食費と水道光熱費です。これらの費用は、どのような内訳になっているのでしょうか。

二人暮らしの食費の内訳

二人暮らしの食費の主な内訳は、次のとおりです。なお、この金額は全国・全世代の平均です。

■二人暮らしと一人暮らしの食費の内訳比較(全年代)

費用項目 二人暮らし(全世帯平均) 一人暮らし(全世帯平均)
食材 3万1585円 1万2691円
油脂・調味料 3119円 1309円
菓子類 5489円 3041円
調理食品 9465円 7172円
飲料 3955円 2725円
酒類 2979円 1519円
外食 1万2141円 1万1673円
合計 6万8733円 4万130円

出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとに作成

二人暮らしでは、一人暮らしに比べて食材費や油脂・調味料費が倍以上になっているのに対して、調理食品や外食費の費用はそれほど大きく増えていません。一人暮らしよりも二人暮らしのほうが、自炊の割合が多いことがうかがえます。

二人暮らしの水道光熱費の内訳

水道光熱費は、電気代、ガス代、水道代の大きく3つの費用があります。二人暮らしの水道光熱費の内訳は次のとおりです。

■二人暮らしと一人暮らしの水道光熱費の内訳比較(全年代)

費用項目 二人暮らし(全世帯平均) 一人暮らし(全世帯平均)
電気代 8723円 5162円
ガス代 3470円 2500円
水道代 4351円 2271円
その他光熱費(灯油代など) 993円 415円
合計 1万7537円 1万348円

出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとに作成

全体で見ると、二人暮らしでは、一人暮らしの約1.7倍の水道光熱費がかかります。中でも支出が大きいのは電気代です。一般的に、二人暮らしになって一人暮らしより部屋数が増えると、照明器具や家電の数も増え、電気代が上がると考えられます。電気代は冷暖房を使う季節に特に上がりやすいので、電化製品のスイッチをこまめに切るなど、節電を心掛けるとよいでしょう。

一人暮らしと比較すると、二人暮らしは確かに支出が増えますが、2人になったからといって倍になるわけではないため、一人当たりの負担額は安くなります。特に食費は、自炊の場合には一人暮らしの時よりも無駄が少なくなり、ランチにお弁当を作るなど、工夫次第でかなり安く抑えられるようになります。

二人暮らしの家賃の目安

一般的に、家賃の目安は手取り収入の3分の1以内といわれています。二人暮らしの場合は、二人の手取り収入の3分の1以内に家賃を抑えるようにしましょう。手取り収入が2人とも20万円なら、管理費などを含めた家賃の上限額は13万3000円ということになります。

ただし、家賃の金額は、住むエリアや駅からの距離、築年数、部屋の広さ、設備などによって変動するものです。郊外に比べて都市部のほうが家賃相場は高く、たとえば同じ東京都でも、23区内と23区外では次のような違いがあります。

■二人暮らし向け賃貸物件の家賃相場(東京都)

東京23区内 東京都下(23区外)
マンション 14万0734円 8万9007円
アパート 10万4030円 7万9437円

goo住宅・不動産「東京都の家賃相場」(2023年8月抽出)

もし、希望する物件の家賃が高い場合は、郊外や駅から遠い場所にも目を向けて探してみることをおすすめします。
また、新築よりも築年数が経っている物件のほうが家賃は安くなります。最近では築年数が古くてもリフォームやリノベーションされている物件が多いので、そのような部屋を狙うのもひとつの方法です。

二人暮らしの生活費シミュレーション

続いては、属性や年代別に、二人暮らしの生活費を具体的にシミュレーションします。自分たちに合ったケースを参考に、必要な生活費をイメージしてみましょう。

学生カップルの場合

安定収入の少ない学生カップルの場合は、家賃や食費、水道光熱費などをできるだけ抑える工夫が必要となります。生活費の一例は、下記のとおりです。

■学生カップルの生活費シミュレーション

費用項目 金額
家賃 7万円
食費 4万円
水道光熱費 1万2000円
生活用品費 5000円
被服費 8000円
保険医療費 5000円
交通・通信費 3万円
教養・娯楽費 2万円
その他(理美容費・交際費など) 2万円
合計 21万円

学生の主な収入源は、アルバイトや親からの仕送りです。アルバイトも学業と両立しなければならないため、収入には限りがあります。食事は基本的に自炊にするなど、できるだけ支出を控える必要があるでしょう。
上記のシミュレーションでは、一人あたりの負担額を10万5000円としています。もし、手取り収入がそれよりも少ない場合は、家賃の金額を下げられないか、物件をあらためて探してみてください。

20代後半・社会人カップルの場合

社会人で20代後半になると収入も安定し、二人暮らしにも余裕が生まれやすいでしょう。二人の手取り収入がそれぞれ20万円程度と想定して、生活費をシミュレーションしてみます。

■20代後半社会人カップルの生活費シミュレーション

費用項目 金額
家賃 13万円
食費 5万円
水道光熱費 1万5000円
生活用品費 1万円
被服費 1万円
保険医療費 1万円
交通・通信費 3万円
教養・娯楽費 2万円
その他(理美容費・交際費など) 3万5000円
合計 31万円

仕事で着用するスーツが必要な場合などは、被服費がもう少し高くなる可能性があるため、娯楽費や交際費などを削ってバランスをとります。また、収入をすべて生活費にするのではなく、将来を見据えて貯金をすることも大切です。

30代前半・社会人夫婦の場合

30代になると、20代よりもさらに収入が上がることが予想されます。30代前半の社会人夫婦の場合、次のような生活費シミュレーションができます。

■30代前半社会人夫婦の生活費シミュレーション

費用項目 金額
家賃 14万円
食費 5万6000円
水道光熱費 1万3000円
生活用品費 1万円
被服費 1万円
保険医療費 2万3000円
交通・通信費 3万5000円
教養・娯楽費 2万8000円
その他(理美容費・交際費など) 3万5000円
合計 35万円

上記のシミュレーションでは、一人あたりの生活費負担は17万5000円です。30代前半で二人ともフルタイムで働いていれば、都市部でもさほど問題なく家賃を払っていけます。
一方、結婚してどちらかが専業主婦(夫)になる場合は、1人分の収入で2人の生活費をまかなわなければなりません。その場合は、食事を自炊中心にする、娯楽費や交際費を削る、家賃の安い郊外に引っ越すといった対策が必要になるでしょう。

結婚をして子どものいない夫婦や、結婚を前提にしている同棲期など、子どもがいない状態での共働きの時期は、人生においての一番のお金の貯め時ともいわれています。しかし、比較的お金や時間に余裕がある分、趣味などに散財しがちです。貯めるだけが正解ではありませんが、将来を見据えて計画的に支出を管理する必要があります。

二人暮らしの生活費を節約するコツ

二人暮らしの生活費を節約するには、次のようなコツがあります。項目ごとのコツを押さえて、賢く節約を心掛けましょう。

家賃

一人暮らしならワンルームで問題なくても、二人暮らしはそういうわけにはいきません。部屋数が増えたり面積が広くなったりすると、その分家賃は上がります。

家賃を抑えたい場合は、人気のエリアや新築物件ではなく、郊外や築年数の古い物件の中から探してみるとよいでしょう。たとえば、同じ沿線でも、急行や快速が停まる駅よりも、各駅停車しか停まらない駅周辺のほうが家賃相場は低くなります。また、駅からの距離が数分違うだけで、家賃の金額が変わるケースもあります。

食費

食費を節約するには、できるだけ自炊を心掛けます。ランチの外食をやめて手作り弁当にするだけでも、1ヵ月の食費を節約できます。

毎食自炊するのが大変な場合は、時間のあるときにまとめて作り置きするなどの工夫をしてみましょう。

水道光熱費

二人暮らしの光熱費を抑えるには、できるだけ同じ空間で過ごすようにするのがコツです。たとえば、リビングで二人いっしょに過ごせば、エアコンや照明をつけるのもリビングだけですみます。食事や入浴のタイミングをできるだけ合わせることも、水道光熱費の節約に効果的です。

加えて、「長期間の外出時にはコンセントを抜く」「水を出しっぱなしにしない」「冷蔵庫の開閉時間を減らす」など、こまめな節電・節水を心掛けます。

通信費

スマートフォンの契約プランを見直したり、格安SIMに乗り換えたりすると、月数千円の通信費を節約できる可能性があります。2人分になると節約効果も倍です。

また、インターネット利用料が無料の賃貸物件を選ぶのもひとつの方法です。

二人暮らし経験者に聞く、実施していた節約方法

実際の二人暮らし経験者は、どのような節約を行っていたのでしょうか。
効果があった節約方法をアンケートで聞いてみました。
※対象者:全国の二人暮らし経験者20代~60代男女654人 調査時期:2024年1月

アンケートで聞いた 二人暮らしの生活で実施していた節約方法は?

回答者の声
家具家電などはお互いが一人暮らしで使用していたものを再利用しており、購入を最小限にとどめた。20代/男性
二人の共同の口座をつくり、給料日に毎月定額の積立をしていました。二人で貯める目標ができたので、楽しく続けられました。30代/男性
必要なものは購入する前にお互いに話し合いをして、いるものといらないものを明確にし購入品への不満がないよう心がけた。30代/男性
2人とも外食が好きなので、その費用を捻出するために、歩ける範囲は徒歩移動をしたり、公共交通機関を利用するように心がけた。30代/女性
お互いアルバイトが飲食店であったため、賄い等を利用することで食費を節約できた。20代/男性

節約を意識するだけでなく、共同の口座を作り「貯める」ことを目標とした、という声も。二人で共通の目標があれば頑張れそうですね。

二人暮らしの生活費の分担方法

二人暮らしで2人とも働いている場合、生活費の分担ルールをあらかじめ決めておきましょう。二人暮らしの生活費を分担するには、主に次のような方法があります。

生活費の総額を割り勘・折半する

2人の収入が同じくらいであれば、生活費を折半するのがシンプルでわかりやすい方法です。二人暮らしにかかる生活費をすべて洗い出し、総額を割り勘して、半分ずつ負担します。お互いが自由に使える金額や、貯金の額なども決めておきましょう。

生活費の項目別に分担する

生活費を割り勘にする計算が面倒な場合は、それぞれが負担する支出項目を決めるのもおすすめです。たとえば、一方が家賃と交通・通信費、もう一方が食費と水道光熱費というよう項目を分け、それぞれが自分の担当分を支払います。
どちらがどの項目を負担するかは、管理のしやすさや収入のバランスなどに応じて決めます。

収入に応じて負担割合を決める

2人の収入に差がある場合は、収入額に応じて家計の負担割合を決める方法もあります。たとえば、一方の手取りが30万円、もう一方が20万円なら、生活費の負担割合を6:4にするといった方法です。お互いが納得できる負担割合をよく話し合いましょう。

最近は夫婦でも、別財布で家計は折半、という家庭が増えています。家計費と個人の支出を切り分けることで自由度が増しますが、生計をともにするなら、互いの貯蓄状況は随時確認しておいたほうがよいでしょう。また、費用負担に不公平感があると、いさかいのもとになるので、たとえば家事負担の割合で調整するなど、十分な話し合いをしておきましょう。

まとめ

二人暮らしには、家賃以外に平均して約23万円の生活費がかかります。ただ、実際に二人暮らしを始めてみると、想定外の費用が発生することもあるかもしれません。
生活費の平均データを参考に、「何にどれだけお金をかけるか」「分担方法をどうするか」など、2人でよく話し合って決めていきましょう。

監修者プロフィール 和田 由貴 消費生活アドバイザー、環境カウンセラー、省エネ・脱炭素エキスパート、エコピープル、食生活アドバイザー、家電製品アドバイザー
食費・光熱費・交通費・レジャー費など生活全般の節約、エコライフ、買い物、100円ショップなどを専門分野に、暮らしや家事の専門家としてメディアなど多方面で活動。

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