住まいのコラム

マンスリーマンションとは?
一般的な賃貸との違い、メリット・デメリットを解説

最終更新日:

監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
マンスリーマンションのメリットとデメリットを教えてください。
マンスリーマンションは、ホテルや旅館に1ヵ月宿泊するのに比べると、安く借りることができます。家具・家電が揃っており、ライフラインも通っていることから身軽に入居できることもメリットのひとつです。一方、一般的な賃貸住宅と比べると賃料が高く、入居時に賃料や光熱費、退去時の清掃費などをまとめて支払わなければならないことが多い点はデメリットといえます。

マンスリーマンションとは、短期滞在を前提とした賃貸住宅です。基本的に、入居時点で必要なライフラインが通っており、家具・家電も備わっているため、必要最低限の荷物だけで入居できます。賃料は、ホテルや旅館に宿泊するよりリーズナブルなため、一時的な滞在先として適している物件です。

本記事では、ホテルや一般的な賃貸住宅と比較しながら、マンスリーマンションの特徴を解説します。

マンスリーマンションとは

マンスリーマンションは、月単位などで契約できる賃貸マンションです。1ヵ月しか借りられないのではなく、1ヵ月単位で契約できるため、短期から長期まで幅広く対応できます。

管理者が電気・ガス・インターネットなどのライフラインの契約者となっているため、入居後に開通手続きなどをする必要はありません。

マンスリーマンションと賃貸住宅・ほかの宿泊施設との違い

1ヵ月から長期の滞在にまで対応しているマンスリーマンションですが、一般的な賃貸住宅や宿泊施設とはどんな違いがあるのでしょうか。

一般的な賃貸住宅との違い

一般的な賃貸マンションは、家主と「普通借家契約」を締結しますが、マンスリーマンションを借りる際には「定期借家契約」を締結します。定期借家契約は、契約期間を自由に定めることができる賃貸借契約です。普通借家契約のように更新契約はなく、期間満了時に契約は終わります。ただし、入居者と家主が合意すれば、再契約は可能です。

ウィークリーマンションとの違い

ウィークリーマンションは、週単位で賃貸できる住宅です。ウィークリーマンションも、マンスリーマンションと同様、家主と定期借家契約を締結することもありますが、賃貸住宅ではなく旅館やホテルのように扱われることも少なくありません。

ホテルとの違い

ホテルとマンスリーマンションの違いは、目的にあります。「泊まる」ことが目的のホテルは、寝具やテレビ、ドライヤーなど、泊まるための必要最低限の設備や家具しか備わっていないことが多いものです。一方「暮らす」ことが目的のマンスリーマンションには、調理や洗濯など、暮らすために必要な環境と設備が備えられています。

また、ホテルでは清掃サービスやルームサービスなどが提供されますが、マンスリーマンションの場合は、基本的に生活に必要なことは自らこなさなければなりません。

マンスリーマンションの借り方・費用

続いて、マンスリーマンションの借り方や初期費用について見ていきましょう。

マンスリーマンションの契約の流れ

マンスリーマンションの一般的な契約の流れは、次のとおりです。

(1)物件探し
(2)申し込み
(3)賃貸借契約
(4)支払い
(5)鍵の引き渡し

賃貸住宅を契約するときには、契約までに不動産会社の担当者と一緒にいくつか物件を内見するのが一般的です。
一方、マンスリーマンションは、基本的に内見なしで契約まで進みます。後述しますが、マンスリーマンションは入居時に賃料を支払うのが一般的のため、入居審査があっても簡易なものです。

マンスリーマンションの初期費用・家賃

マンスリーマンションを借りる際に必要となることの多い初期費用は、次のとおりです。

・賃料
・水道光熱費
・管理費
・退去時の清掃費

別途、インターネットや家具・家電の利用料がオプションとなっているケースもあります。

賃料は、契約時に一括で支払うのが一般的です。一概にはいえませんが、賃料はホテルや旅館に同期間、宿泊するよりは安く、一般的な賃貸住宅の月額賃料よりは高い傾向にあります。

マンスリーマンションのメリット

マンスリーマンションのメリットは、次の3つです。

敷金・礼金が不要

マンスリーマンションの契約時は、原則的に、敷金・礼金を支払う必要がありません。

敷金は、家賃の滞納や退去後の原状回復に備えて、入居者が家主に預けておく費用です。マンスリーマンションは、基本的に家賃は前納で、退去時の清掃費もあらかじめ支払ったうえで入居するのが基本のため、敷金が不要なのです。

礼金は、家主へのお礼という意味合いのある費用ですが、マンスリーマンションは短期間の入居であることから、礼金を支払う商慣習はありません。

ライフラインやインターネットが開通していることが多い

マンスリーマンションの入居に際し、自ら電気会社やガス会社と契約する必要はありません。生活に不可欠なインターネットも利用可能な物件が多く、入居後すぐに不便なく生活できます。光熱費は、固定料金で請求されるか、家賃に含まれているかのいずれかです。

家具・家電がついている物件が多い

マンスリーマンションの多くは、借りたらすぐに生活できるよう、必要な家具・家電が備えられています。また、必要に応じて家具・家電がレンタルできる物件もあります。身軽で入居できることから、多くの場合、引越し費用はかかりません。

冷蔵庫やテレビ、電子レンジ、洗濯機、ベットなどの家具・家電、ゴミ箱、トイレットペーパー、ハンガーなどが備わっていて契約したその日からすぐ生活できる環境が整っているのが一般的です。

マンスリーマンションのデメリット

メリットが多いマンスリーマンションですが、次のようなデメリットもあります。

内見ができない物件が多い

マンスリーマンションは、居住者が入居している状態で入居者を募集します。これは、退去日がすでに決まっているためです。入居者がいる状態で物件を見ることはできないため、現物を見ずに契約を決めなければならないことも少なくありません。

契約途中に退去しても基本的に賃料は戻らない

マンスリーマンションは、あらかじめ契約期間を決めたうえで、事前に家賃を支払って入居します。契約期間満了前に退去したとしても、支払った賃料は基本的に戻ってきません。

一般的な賃貸住宅と比較して賃料が高め

マンスリーマンションの賃料は、一般的な賃貸住宅の家賃と比べて高めに設定されています。また、賃料は基本的に入居時に支払わなければなりません。

敷金・礼金が不要で、生活に必要な家具・家電が備えられているため、一見すると初期費用が安く抑えられそうですが、入居時に家賃や光熱費、清掃費など支払うことからまとまった費用が必要です。

家賃に光熱費や水道代が上乗せされているため、あまり電気やガス、水道などを使用しない人にとっては割高になりがちなので注意が必要です。

マンスリーマンションの用途・使用シーン例

1ヵ月単位で賃貸できるマンスリーマンションは、次のようなシーンで利用するのに適しています。

住み替えやリフォーム中の仮住まいとして

・家を買い換える
・家を建て替える
・大規模なリフォーム・リノベーションをする

このようなときは、今の住まいに一時的に住めなくなってしまいます。かといって、何年も住めなくなるわけではないため、1ヵ月単位で賃貸できるマンスリーマンションは一時的な仮住まい先として適しています。

出張・転勤時の滞在先として

家具・家電が備わっているマンスリーマンションは、1ヵ月以上の出張や短期間の転勤時の滞在先としても適しています。短期滞在であればホテルも選択肢のひとつになってきますが、1ヵ月以上の滞在となると、ホテルや旅館の宿泊費は総じてマンスリーマンションの賃料より高くなる傾向にあります。

就職活動中の住まいとして

就職活動には、一定の期間がかかります。地方に住んでいて説明会や面接がある度に都市部に出てくるとなると、手間も交通費もかかることから、マンスリーマンションを拠点に就職活動をするのも選択肢のひとつになるでしょう。

ワーケーションの拠点として

コロナ禍を経て、働き方が変わったという人も多いでしょう。働きながら休暇を過ごす「ワーケーション」という言葉も、近年よく聞かれるようになりました。家具や家電のみならず、インターネット環境も整っている物件が多いマンスリーマンションは、ワーケーションの拠点としても適しています。

まとめ

マンスリーマンションは、1ヵ月から数ヵ月など、一時的な滞在に適した賃貸住宅です。ライフラインや家具・家電も整備されていることから、身軽に入居できます。

一方、一般的な賃貸住宅と比べて賃料は高めに設定されており、入居期間中の家賃や光熱費などは入居時に支払わなければならないため、敷金や礼金が不要とはいえ、初期費用は一定程度かかることをあらかじめ認識しておきましょう。

監修者プロフィール

監修者
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

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