住宅ローン基礎知識 新規借り入れ
住宅を購入する際、親から資金援助を受けられる方もいるでしょう。
そのとき気になるのは、税金ではないでしょうか。
資金援助を受ける方法によって、かかる税金の種類が変わります。
ここでは、親からの資金援助と税金の関係について解説します。
親子間であっても、お金を「もらう」場合は贈与税の対象になります。
贈与税は贈与する額が大きくなるほど税率も高くなる累進課税であり、最も高い税率は55%です。
一般税率
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1000万円以下 | 1500万円以下 | 3000万円以下 | 3000万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ‐ | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
特例税率(直系尊属から20歳以上の者への贈与)
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1000万円以下 | 1500万円以下 | 3000万円以下 | 4500万円以下 | 4500万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ‐ | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
なお、贈与税には110万円の基礎控除があり、1年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。その他、贈与税には以下のような非課税制度があります。
直系尊属から、住宅取得のための資金として贈与を受けた場合、一定額までは非課税になる特例があります。
「一定額」は、以下のとおりです。
【契約年別の非課税限度額】
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
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平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3000万円 | 2500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1500万円 | 1000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1200万円 | 700万円 |
ただし令和3年税制改正大綱では、新型コロナウイルスによる経済的影響を鑑みて、令和3年4月1日~12月31日についても令和2年4月1日~令和3年3月31日と同じ額(省エネ等住宅1500万円/左記以外の住宅の場合1000万円)にするとしています。
住宅取得等資金贈与の特例は、基礎控除額110万円とあわせて利用できるため、合計で1610万円まで非課税にできます。
毎年110万円の控除を受けられる制度を暦年課税制度と呼びますが、これとは別に、相続時精算課税制度と呼ばれる制度もあります。
相続時精算課税制度の適用を受けると、その相手との間で一生涯2500万円分まで贈与を非課税とすることができ、2500万円を超えた分には一律20%の贈与税が課されます。
相続時精算課税制度の適用を受けた贈与については、相続時に再計算することになるため、納税を相続まで先送りする制度と考えるとよいでしょう。
なお、相続時精算課税制は、60歳以上の祖父母から20歳以上の子や孫に対する贈与のみに適用されます。
また、住宅取得等資金贈与の特例との併用が可能で、その場合は合計3,500万円まで非課税になります。
住宅の取得に際して親から「お金を借りる」場合は、実際に返済をしないと贈与になってしまいます。
贈与とみなされると、贈与税がかかります。借用書を交わすなど形式を整えて、実際に返済したことを記録として残すことが大切です。
親子リレーローンを利用して、住宅を一緒に購入することもあるでしょう。
その場合は、土地や住宅の所有権を共有持分にする必要があります。
共有持分にした場合、将来親が亡くなったときに相続の手続きが必要です。
その際に相続争いが起きて、別の親族と共有することになってしまうことがあります。
親と一緒に住宅を購入する場合は、そのようなリスクがあることも覚えておく必要があるでしょう。
※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)