住宅ローン基礎知識 借り換え
住宅ローンは、日銀のゼロ金利政策やネット銀行の参入により銀行間の競争が激化した影響で、稀に見る低金利状態が続いています。数年前に組んだ住宅ローンでも、現在提供されている住宅ローンに借換えることでメリットを享受できる状況です。
しかしながら借換えにはデメリットもあるため、メリットとデメリットを踏まえて借換えの効果を検証する必要があります。
低金利の住宅ローンに借換えると、総返済額を下げることができます。近年の住宅ローン金利は低水準なので、総返済額を引き下げられるケースが多いです。
低金利の住宅ローンに借換えることで、月々の返済額を抑えることも可能です。総返済額にこだわらず、月々の負担軽減を図るなら、返済期間を延長して借換える方法もあります。
現在住宅ローン金利は低水準ですが、いつまで低水準が継続するかは予測できません。現在変動金利の住宅ローンを借りている人は、将来の金利上昇リスクを軽減するために、このタイミングで固定金利の住宅ローンに借換えるのも一考です。
住宅ローンの契約時に加入する団信は、時代とともに保障内容が変化しており、どちらかというと充実する傾向にあります。
そのため、契約時にはなかった保障が、近年の団信には入っていることも考えられます。住宅ローンを借換える際は、あらためて団信に加入することになるので、保障が最新で充実したものになります。
住宅ローンを借りるための手続きを最初からやり直すことになるため、公的機関で住民票や所得証明の書類を用意し、銀行で手続きを行い、審査を受けます。審査に落ちるリスクもありますが、通るとしても少なからず手間がかかります。
現在の住宅ローンで住宅ローン控除が使える期間が残っていても、借換え後の返済期間を10年未満にすると住宅ローン減税が使えなくなります。
住宅ローンを契約する際は、全額繰上げ返済手数料、抵当権抹消費用、保証料、事務手数料、抵当権設定費用、印紙税などが発生します。
支出を抑えるために住宅ローンの借換えを行う場合は、これらの諸費用を支払うことで、かえって負担が増えないか確認する必要があります。
諸費用を加味した総返済額が今の住宅ローンより少ないとしても、上記の諸費用の一部は自分で支払う必要があるため、ある程度まとまった現金を用意しておかなければなりません。
金融機関によっては、住宅ローンが引き落とされる口座を給与の振込先に指定することを求められることがあります。
あるいは、公共料金の引き落とし口座に指定することや、銀行が発行するクレジットカードに申込むことを求められることもあります。
住宅ローンの借換えは、現在契約している金融機関ではないところで契約しなければなりません。
住宅ローンを借りている銀行で、自分が借りているものよりも条件が良い住宅ローンが提供されていても、借換えることはできません。
借換え後の返済期間は、現在借りている住宅ローンの残存返済期間が引き継がれるケースが多く、原則的に融資期間の延長はできません。
「住宅ローンを組んだときと比べて収入が減った」「転職した」「起業した」「住宅ローン以外の借金をした」「大きな病気をした」といった場合は、借換えができないこともあります。
住宅ローンの借換えは、メリットもあればデメリットもあります。
メリットのほうが多いと判断した場合は、現在の住宅ローンの繰上げ返済を検討するのも一考です。
※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:清水 みちよ(宅地建物取引士)