住宅ローン基礎知識 新規借り入れ
金利は常に変動しています。そのため、住宅ローンの金利がいつ決定されるのか知らない方も多いでしょう。さらに、金融機関が金利を公表する時期もわかりにくいかもしれません。
今回は、これから返済していく住宅ローンの金利が適用されるタイミングについて解説します。
月の中旬に翌月の金利を決定して公表している金融機関もありますが、多くの金融機関は市場の金利動向をみて、翌月の各住宅ローン金利を月末に決定し、翌月の1日に公表します。
金融機関にとって住宅ローンの金利を決めることは、いわば、自社が販売する商品の値段を決めることに等しい作業です。
金融機関が住宅ローンの金利を公表して適用する時期は月初です。しかし、現在契約している住宅ローンの金利が決まる時期は以下のように、さまざまタイミングが考えらます。
金利決定の時期は「申込時金利」と「実行時金利」の2つをおさえておくとよいでしょう。この2つを組み合わせて、実際には以下のタイプが存在します。
財形融資などは、申込時金利が適用されます。申し込みのタイミングは比較的調整しやすく、月の変わり目で金利が変動するタイミングを見計らって、より低い金利を狙うことも可能です。
フラット35や多くの金融機関で適用されるタイプで、住宅ローン実行時(決済日)の金利が適用されるタイプです。
不動産の購入には売買契約、ローン審査、決済と、さまざまな手順があるのに加え、相手方(売主)もいるので実行タイミングを大きく調整することは難しいでしょう。そのため、月の変わり目で、前月がよいか、翌月がよいか程度の選択肢しかありません。
なお、住宅ローンの実行には「金銭消費貸借契約」から「ローン実行」まで1週間程度、期間が空きます。ただし「金銭消費貸借契約」を結ぶタイミングでは、翌月の金利がわかっていないことも多く、基本的には金利のわかる月内で融資を実行します。
ちなみにフラット35の場合、金利が「10年国債利回り」に連動するため、1ヵ月間の10年国債利回りが大きく変動しているようなケースでは、翌月の金利も大きく変動する可能性も。特にフラット35は全期間固定金利のため、実行月の金利が返済最終月まで続くことを考えると、慎重に選択することも重要です。
金融機関によっては申込時金利と実行時金利のうち、低い方の金利を選べるタイプもあります。
実行時金利しか選べない金融機関と、申込時金利と実行時金利の低い方を選べる金融機関があり、融資条件などに大きな違いがなければ、後者を選んだ方がお得に利用できるはずです。
なお、申込時金利と実行時金利の低い方を選べるタイプの場合、「申し込みから実行まで8ヵ月以内」など期限が定められている場合もあります。そのため事前に適用条件について、しっかり確認しておくことをおすすめします。
※本記事は、2021年3月時点の情報に基づき一部内容を修正しました
監修者:逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)