住宅ローン基礎知識　新規借り入れ

銀行からいくら借りられるのか

住宅購入を検討する際には「自分はいくらまで、銀行から借りられるのか？」という、住宅ローンの上限額について気になるはずです。

融資上限額は、申込む金融機関によって異なります。さらに、その審査基準は一般には公表されていません。

そこで、今回は公表されているフラット35の審査基準を元に、住宅ローンの借り入れについて解説していきます。

なお、融資上限額は基本的に年収（総支給額）によって変化します。まず年収を元に融資上限額が計算され、その他勤め先の経営状況や対象住宅の担保価値などが審査され、融資の可否が審査される流れです。

ここでは、まず融資上限額の計算方法についてみていきましょう。

返済負担率

住宅ローンの審査では返済負担率、つまり年収に対してどれくらいまで借り入れしているかが最初にみられます。住宅ローンを借りた場合の返済額を想定し、住宅ローン以外のローンがある場合にはそれらの合計額が計算されます。

返済負担率は各金融機関によって異なり、フラット35の場合は以下表のとおりです。

年収	400万円未満	400万円以上
基準	30％以下	35％以下

住宅ローン以外のローンとは、自動車ローン・教育ローン・カードローン・リボ払い・携帯電話購入代の分割支払い金額などが含まれます。

返済負担率の審査では、「年収」と「借金の返済月額」とのバランスが大きなポイントです。そのため、住宅ローン以外の借金があれば、それだけ住宅ローンとしての融資上限が減額されます。

住宅ローンを1円でも多く借りるために

住宅ローンの融資上限額は返済負担率、つまり年収に対して住宅ローンを含むすべてのローン返済額がいくらかによって決まります。ただし、年収についてはすぐに変えることが難しいでしょう。

そこで住宅ローンを1円でも多く借りるために必要なことは、年間の返済額を可能な限り低くして審査申込みをすることです。そのためには、これから借りる住宅ローンについて「借入期間」をできるだけ長く借りること、また「金利」をできるだけ低く設定して借りることが重要です。

以下に借入期間35年、金利2.0％のケースをみていきましょう。

【事例1】
年収：500万円
500万円×35％÷12か月＝14万5833円
毎月の返済額が14万5833円に達するまでは、借りられることになります。

そこで、次の条件で、住宅ローンの融資額を計算してみます。

1. 融資期間：35年
2. 金利：2.0％
3. 返済月額：145,833円

【計算式】95,833円÷係数(3313)×100万円＝約4400万円

住宅ローン以外に借入金がない場合であれば、約4400万円まで住宅ローンを借りられることがわかります。

【事例1-2】
もし、ショッピングのリボ払いが毎月2万円、自動車ローンの返済金額が月額3万円ある場合、住宅ローンに使える返済額は5万円減額されて、9万5833円となります。
上記同様に次の条件で、住宅ローンの融資額を計算してみます。

1. 融資期間：35年
2. 金利：2.0％
3. 返済月額：95,833円

【計算式】9万5833円÷係数（3313）×100万円＝約2890万円

上記計算式によると、住宅ローンの借入可能額は約2890万円であることがわかります。

審査金利について

上記計算式の金利「2％」は、住宅ローンの融資上限額を計算するうえで、審査金利と呼ばれるものです。審査金利とは、実際に借りる金利とは異なり、融資上限額を算出する際に利用されるもので、各金融機関によって異なります。

一般的には2％～3.5％程度と、一般的な住宅ローン金利と比べて高めに設定されています。審査金利は公表されていませんが、金融機関や不動産会社、住宅会社の担当者に聞けば教えてくれることもあるので気になる方は質問してみるとよいでしょう。

なお、フラット35については、一般的な金融機関の審査金利とは異なり、実際の金利と同じ金利で融資上限額が計算されます。そのため、民間の金融機関よりフラット35の方が融資上限額を多く借りられるケースが多くなります。