遠隔地の物件を売却する場合
不動産の売却は、現在住んでいるところを売却するケースが最も多いですが、例えば、「田舎にある実家を相続したが管理できないので売却したい」といった場合はどうすればよいのでしょうか。
遠隔地の不動産を売却する際は、売却を依頼する不動産業者を選ぶことになりますが、その選定における考え方は大きく分けて2つあります。
1つは全国展開している不動産業者、もう1つは遠隔地の地元の不動産業者への依頼です。
双方にメリット・デメリットがありますが、いずれにしても不動産業者に依頼する前に、手持ち不動産がいくらぐらいで売却できそうか、自分で調べておくとよいでしょう。
具体的に売却価格の目安を調べるには、以下のような方法があります。
・不動産情報サイトで物件の近くにある類似物件の価格を調べる
・国土交通省のデータベース(土地情報情報システム)を利用して過去の成約価格を調べる
・相続税路線価や固定資産税評価額を参考にする
自分で売却価格の目安を調べたら、実際に不動産業者に物件を査定してもらい、査定金額が妥当かどうかを判断します。
その場合、少なくとも2~3社の不動産業者に査定を依頼することをおすすめします。
大手不動産業者に依頼する際のメリット・デメリット
大手不動産業者は全国展開をしているところが多いため、遠隔地の事業所と連携することで比較的スムーズに売却できます。
窓口は自宅近くの事業所にしておき、そこから遠隔地の事業所を介して売却する物件の状況を把握できます。
ただし、地方の大都市圏でないと対応してもらえない場合が多く、遠隔地の場所によっては連携が難しい場合もあるのがデメリットといえます。
また、遠隔地が営業エリア外というケースもあるので、その場合は地元の不動産業者に依頼せざるを得ません。
地元の不動産業者に依頼する際のメリット・デメリット
地元の不動産業者は大手不動産業者とは異なり、問合せに対するレスポンスが悪いことがあります。
大手不動産業者と地元不動産業者では、事業の規模や方針が異なるため、対応に差があることは、やむを得ません。
しかし、古くからその場所で不動産業を営んでいる会社は地元に密着しているので、物件の状況を把握しやすいというメリットがあります。
大手不動産業者と地元の不動産業者を比較すると、大手不動産業者のほうがメリットは多いように思えますが、不動産会社に関してはそうとはいい切れません。
不動産業には地元特有の情報やネットワークが必要であり、地元の不動産業者のほうがそれらに精通していることが多いからです。
不動産業者選定のポイント
不動産業者を選定する際は、不動産業者の担当者がどれだけ親身になって対応してくれるかが、売却の成否を左右します。
特に売買の仲介を専門とする不動産業者は、売却の媒介契約を取ることが仕事なので、売却物件の情報をいち早く得ようとします。さらに、媒介契約が欲しいがために、高く査定する傾向があります。
このような不動産業者と媒介契約を結んだとしても、まったく問合せがなく、結果的にかなり安い価格で売却することになります。
不動産業者は物件価格が安ければ安いほど売却しやすく、すぐに仲介手数料を得ることができます。
このような事態を避けるためには、冒頭でお伝えしたとおり、一度は自分で売却物件の価値をリサーチすることをおすすめします。
不動産業者の査定額が相場より高いようであれば、その理由を聞いてみましょう。
査定額の根拠が納得できるものであれば問題ありませんが、そうでない場合は媒介契約を欲しいがために高値をつけている可能性があります。
以上のことから、遠隔地の不動産を売却する際は不動産業者の選定や売値も含めて、自分自身でも情報を収集することが必須といえるでしょう。
※掲載内容は2021年3月時点の情報に基づく
執筆・監修/逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)