一物五価

1つの不動産には、4つ、あるいは5つの価格があるとされており、これを「一物四価」、あるいは「一物五価」と表現します。
これは一体どういうことなのか、分かりやすく解説していきたいと思います。

一物四価について

【画像】一物四価の4つの価格

不動産には「実勢価格」・「公示価格」・「相続税評価額(路線価)」・「固定資産税評価額」の4つの価格があることを表現したのが「一物四価」という言葉です。

実勢価格は主に不動産の市況で、公示価格は国土交通省が、相続税評価額は国税庁が、固定資産税評価額は自治体がというように、それぞれ不動産に価値をつける主体が異なることから、このようにさまざまな価格が存在しています。

実勢価格(時価)

いわゆる市場価格のことで、需要と供給のバランスで決められていきます。
経済情勢や周辺環境に合わせて刻一刻と変わっていくものです。
実勢価格は、公示価格を100とした場合の100~110程度になることが多くなっています。

公示価格

公共用地買収や補償の基準となり、取引の目安価格となります。
毎年3月末頃に国土交通省より公表され、全国で約2万6000箇所の地点で1月1日時点の価格を鑑定評価して決定しています。

相続税評価額(路線価)

主に相続税や贈与税の課税の標準となる価格で、公示価格の8割の水準とされています。
毎年7月に国税庁が公表し、1月1日時点の路線価を公表します。
ちなみに、公示価格の8割程度になる理由は、1年に1回しか評価が行われないため、その間で地価が変動するなどして生じる納税者間の不公平を避けるためです。

固定資産税評価額

主に固定資産税に課税するための指標となるもので、公示価格の約7割に設定されており、市町村(都23区の場合は都)が基準年度の4月に公表しています。
固定資産税評価額は3年に1回しか評価が行われません。
このため、こちらも納税者間の不公平を避けるために公示地価の7割程度を目安に設定されているのです。

【画像】公示価格を100とした場合の各価格の関係

この表はおおよその各価格の水準を示しています。

一物五価について

先ほどの4つの価格に加えて「基準地価(価格)」を加えると、5つの価格が存在することになります。
実勢価格を除くものは、価格査定に役立つ地価指標とされています。
これらの価格はそれぞれ根拠となる法令や通達、公表者、公表時期、利用目的、価格水準等が異なっています。

基準地価

毎年9月に都道府県より公表されます。
全国で約2万2500箇所の地点が対象になり、7月1日の時点で価格を決定しています。

概ね公示価格と同程度を目安に設定され、また調査方法も公示価格とほとんど同じです。
つまり、公示価格を補完する目的で存在しているものと考えるとよいでしょう。
公示価格や相続税評価額(路線価)が1月1日時点を基準にするのに対し、基準地価は7月1日時点を基準とするため、異なる時点の地価を見るのにも役立ちます。

不動産の価格は4価ないし5価といわれることがよくありますが、それぞれの価格の意義や利用方法が異なるので、特に混乱や支障をきたすということはありません。
ちなみに、一物五価に「不動産鑑定評価額」を加えて一物六価と呼ぶこともあるので、覚えておくとよいでしょう。

一物五価を用いた実勢価格算出方法

一物五価における相続税評価額(路線価)や固定資産税評価額は、調査主体と利用の目的が異なりますが、それぞれ不動産売却前に相場を調べる際、役立てることもできます。

具体的には、以下のように計算します。
・相続税評価額(路線価)÷80%
・固定資産税評価額÷70%

相続税評価額(路線価)は国税庁のホームページで、固定資産税評価額は毎年所有者に対して送付される納付書で確認できるため、この方法であれば誰でもすぐに不動産のおおよその価格を算出できます。

実際の売却価格は、買主がいて初めて決まるものなのであくまでも目安となりますが、このように複数の方法を活用して売却相場を調べられるようになるとよいでしょう。

※掲載内容は2021年3月時点の情報に基づく
執筆・監修/逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)

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