購入が先か、売却が先か

手持ちの不動産を売却して新しい不動産を購入する、いわゆる「不動産の買換え」をしたい場合は、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

不動産の買換えで最初に押さえておきたいのが、購入と売却の順序です。
不動産の買換えでは、購入を先にするのか、売却を先にするのかを決める必要があります。

購入を先にした場合は、現在の不動産と新たに購入する不動産のダブルローンとなるため、売却が長引けば毎月の返済が苦しくなる可能性があります。
一方で売却を先にした場合は、仮住まいを用意しなければなりません。

不動産の買換えにおいては、「購入を先にするのか、売却を先にするのか」という問題が付いてまわります。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらがよいとは一概にはいえません。

そこで、売却を先にしたAさんと購入を先にしたBさんの事例を紹介します。
どちらも不動産(マンション)の売却査定を済ませており、2500万円程度で売却できることがわかっています。

売却が先の場合(Aさん)

Aさんは奥さんと相談した結果、「今のマンションが売れないと困る」という結論に達したため、現在の住まいを売却してから新しい物件を購入することにしました。

Aさんは不動産業者のX社に売却を依頼し、数週間後に2500万円で売却することができました。

仮住まいとして賃貸物件を借りたAさんは、その後も物件を探しているものの、よい物件が見つからず、数年たった今でも買換えができていません。
仮住まいに支払った家賃がかさんでしまい、「前のマンションに住み続けたほうがよかったかも」と後悔しています。

購入が先の場合(Bさん)

一方でBさんは「よい物件はすぐに売れてしまうだろう」と考え、新しい物件を購入してから今のマンションを売却することにしました。

Bさんは、不動産業者のY社に新規で購入する物件探しを依頼したところ、数日後に希望の物件が見つかり、すぐに契約しました。
ところが、今のマンションの住宅ローンに加えて、新規で購入した物件の住宅ローンも返済をしなくてはならなくなり、今のマンションを早く売却するために2500万円よりも安く売却することになりました。

不動産の買換えは購入と売却の同時進行が理想

売却を先にしたAさんは、査定価格でマンションを売却することができましたが、仮住まいに引っ越した後、新規の物件を購入するのに時間がかかってしまい、今でも買換えができていません。
購入を先にしたBさんは、新規で希望の物件を購入できましたが、前のマンションは査定価格よりも安く売却せざるを得なくなりました。

この2人の事例からもわかるように、不動産の買換えにおける「購入と売却はどちらを先に行うべきか」という問いに正解はありません。
理想は、購入と売却を同時進行で行うことです。

同時進行で行うことで、売却を先にするケースの「仮住まいが必要になる」というデメリットと、購入を先にするケースの「ダブルローン」というデメリットを解消できます。

ただし購入と売却を同時進行で行うには、売却を進めつつ新規物件を探さなければなりません。
とはいえ売却も購入も相手方がいることなので、タイミングを合わせるのが難しいこともあるでしょう。
相手方によっては一定期間待ってくれることもあるため、相談や交渉をしてみることをおすすめします。
不動産の買換えにおいて大切なことは、焦って売却したり購入したりしなくても済むように、入念に準備することです。

売却が先 購入が先 売却と購入同時
メリット 購入物件をじっくり選べる 仮住まい不要 仮住まい不要
ダブルローンにならない
デメリット 仮住まいの費用がかかる 売却が決まるまでダブルローンになる タイミングを合わせるのが難しい

※掲載内容は2021年3月時点の情報に基づく
執筆・監修/逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)

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