日本でコンバージョン住宅が普及するには、いくつかのハードルがある。まず構造。日本の高層ビルは、オフィスはS造、住宅はRC造やSRC造が一般的。S造は柔構造といって、地震などの力を建物自身が揺れることで吸収する。RC造やSRC造は揺れないように壁で固める剛構造。日常生活を送るには揺れにくい剛構造が望ましい。S造を揺れにくくするためには、ブレースなどの補強が必要になる。室内の採光面積も問題。建築基準法では居室の床面積の7分の1以上の開口部が必要だが、間口が狭くて奥行の長いペンシルビルでは十分な採光が取れない。さらに消防法では、マンションには玄関の他に1箇所(通常はバルコニー)、合計2つの避難ルートが義務つけられているため、オフィスにはないバルコニーを追加施工する必要がある。以上のような点をクリアするために、コンバージョンのコストは建て替える場合の6割以上に達するという試算も。
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