現在、日本のマンションで建て替えられた例は100件あまり。ほとんどは築30年から40年のマンションだ。そのせいか「今の日本のマンションは30年しかもたない」といわれる。しかし、この年数は物理的な寿命とは直接関係しない。まだまだ住み続けられるのに、修繕に多大なお金をかけるよりも建て替えてしまったほうが得になるという理由が多い。つまり経済的なコストの問題だ。結果として30年で取り壊されるが、それで寿命が尽きたとは言い難い。「建て替えるか、修繕するか」というテーマは、阪神淡路大震災で倒壊したマンションでも議論された。建て替え費用の半分以上の修繕費がかかるなら、修繕より建て替えを選ぶという人が多いようだ。家電製品などは、補修するよりも新しく買ってしまったほうが安いという逆転現象すら起きている。住宅はそこまでいかないが、日本では物理的な面より、経済的な面が重視されていることは間違いない。
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