製材の性質は、原木が自然に立っていた状態によっても変わってくる。木が育った環境によって、曲がったり、年輪のできる密度に違いが出てくるわけだ。たとえば、傾斜地に生えた樹木は地面から斜めに伸びていくわけではなく、上の方向に伸びるので、根本から上に向かって曲がるように育つ。この場合、斜面の谷側で凸形に反った面を「背」、山側で凹形になる面を「腹」という。背のほうが年輪の密度が高く、腹のほうは年輪の幅が広い。平地の場合も太陽の当たり方で年輪密度が変わる。南面で日当たりの良いほうが年輪密度が低いため「腹」、北面で日影になるほうが年輪密度は高く「背」となる。この性質を利用して、梁などの横架材は、たわまないように背を上向きに使う。ただし、床下の大引の場合は、腹を上に背を下側に向けて使う。これは背を上にすると、床束が持ち上がるような力が働いてしまうため。使用する部位によって背と腹を使い分ける。
|
|