熱帯地方の木材には年輪がない。年輪があるのは、日本のように季節の変化があって、細胞の育ち方が違っている地域に限られる。春から夏にかけては細胞分裂が盛んで枝葉が繁って幹も育つが、目幅が広くて色が淡くなる。この部分を「春材」(「spring wood」)といい、細胞が大きくて粗く、比重も軽くて柔らかい。夏から秋にかけては、木細胞の分裂が抑えられるため、目幅が狭くて色は濃くなる。この部分を「秋材」や「夏材」という(英語では「summer wood」)。秋材は細胞が小さくて密度が高いので、材質は硬い。この春材と秋材が交互にできるために年輪が形成されるというわけ。春材と同じような意味で、樹木の成長が盛んな時期に形成された部分を「早材」という。これに対して、成長が抑えられる時期にできた部分を「晩材」といい、秋材と同様。銘木などの高級な材料は、早材部を抑えて年輪の幅が細かくできように育てる。
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