財産を子供に贈与する時に相続時精算課税制度を選択した場合、贈与をした時の贈与税は格段に少なくなるが、将来の相続税については人によって異なる。その理由は、贈与財産を相続財産に加算する場合、贈与した時点の時価で評価されるため。たとえば、2年間で3300万円の贈与をした場合、贈与した時点では160万円の贈与税しかかからない。もし、この資金が住宅取得資金なら、住宅資金特別控除の特例を受けられるので、贈与税はゼロ。そして20年後に相続が発生したとする。その住宅の評価額は1500万円になっていたとしても、相続財産に加算されるのは元の時価である3300万円。つまり、計算上は減価償却しない。いったん贈与して財産を減らしたと思っても、実際には相続時にまた遺産が増えるともいえる。したがって、この制度は税金対策としては機能せず、子供に財産を早めにゆずってお金を使わせるためのシステムと考えたほうが賢明だろう。
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