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欧米の大都市では、大小のビルなどの建築ストックが集積しているエリアでコンバージョンが進んでいる。その背景には、職住近接や都市再生という問題がある。夜間人口の少ない都心のオフィス街と、住宅と関連施設だけが集まった郊外の住宅地との間を鉄道で結ぶという形態では、豊さを実感できないことに気づき始め、仕事も暮らしも遊びも手近な場所で楽しめる都市生活を充実させるニーズが高まってきたことだ。加えて、一部の業務エリアでは社会的経済的な環境変化から、オフィス需要が減り、地域全体の人口が減少し、治安が悪化。法人税収が減り、都市自体の衰退をももたらした。こうした状況に対して、自治体が都市再生をテーマにコンバージョンを進めるという図式である。もともと歴史的建造物を壊さずに再生利用する文化が定着している欧米では、オフィスなどの住宅への転用も抵抗なく進んだ。スクラップ・アンド・ビルドの盛んな日本とは基盤が違う。
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