人が死亡すると同時に相続は開始する。法律面からいうと、遺族が悲しみにくれている暇はあまりない。なぜなら、相続人でもある遺族は、相続が開始したことを知った日から3カ月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなけれぱならないのだ。相続を承認するというのは、故人が残した財産、負債の一切を受けることを認めること。資産より借金のほうが多くても、すべて含めて相続することになる。相続放棄しなければ莫大な借金を負うかもしれない。どちらにするか、3カ月以内に決めなければならないのだから大変である。さらに、相続開始後4カ月以内に、被相続人の所得税の準確定申告をして、同10カ月以内に相続税の申告をしなければならないことになっている。もしも事前に対策を立てておかなければ、告別式から四十九日へと故人を忍ぶ儀式が続く中で、財産目録の作成、遺産分割協議などをあわてて行なうはめになる。相続開始前の準備が大切である。
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