|
「うちには財産なんかないから、相続なんて関係ない」と思っている人もいるかもしれない。相続税がかからなければ問題はないというのだろう。しかし、相続問題は必ずしも相続税の有無とは関係ない。たとえば、父親が亡くなって相続が発生したとする。相続人は母親と長男、次男。長男夫婦は父親名義の家で母と同居している。次男は結婚して賃貸マンションに住んでいる。父親名義の家の他に財産はない。そうすると、1軒の家を母親、長男、次男の3人で遺産分割するわけだが、売却しないとすっきり分けることはできない。しかし、売却すれば、母親と長男夫婦の住む場所がなくなってしまう。売却した金額のうち、母親と長男の相続分で新たに家を買おうとしても、以前よりは小さくなる。かといって、売却しなければ次男に遺産を分けることはできない。こうした遺産分割を巡って相続争いが起きることも珍しくない。誰にでも相続問題は関係するという心構えが大切だ。
|
|