二人暮らしに理想の間取りは?
間取り別メリット・デメリットを解説
最終更新日:
- 高野 友樹
- 公認不動産コンサルティングマスター/相続対策専門士/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
- 二人暮らしのカップル・夫婦におすすめの間取りは?
- 2人の生活サイクルが似ていて、いっしょに過ごす時間を多くとりたいなら、1DKや1LDKがおすすめです。家賃を抑えつつ、それぞれのプライベート空間を確保したいなら、2Kや2DKもよいでしょう。予算に余裕があるなら、居室の使い方の自由度が高い2LDKを選べば、将来家族が増えたときにも対応できます。
パートナーといっしょに暮らし始める際、どのような部屋に住むかはとても重要なポイントです。暮らしやすい部屋は、2人の性格やライフスタイルによっても違ってくるので、自分たちに合った間取りを選びましょう。
この記事では、二人暮らしの部屋の広さの目安や、おすすめの間取りのメリット・デメリットについて解説します。併せて、それぞれどのような人に向いているかなど、選び方のポイントについても見ていきましょう。
二人暮らしに必要な部屋の広さは30㎡以上
快適な二人暮らしを送るためにどれくらいの広さの部屋が必要かは、人それぞれです。ただし、一応の基準として、国土交通省の「住生活基本計画」では、二人暮らしで「健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な水準」は、2人あたりで居住面積30㎡、「豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる水準」は都市部で55㎡、郊外や都市以外で75㎡とされています。
このことから、二人暮らしで部屋を探す際は、少なくとも居住面積30㎡以上を目安にするとよいでしょう。ゆとりを持ちたいなら、居住面積55㎡以上を目安にするのがおすすめです。
二人暮らしに必要なのは広さだけでなく、部屋の数も重要です。ワンルームや1Kなど、居住空間が1つしかない間取りでは、常に2人が同じ空間にいることになり、窮屈さを感じがちです。
二人暮らしには、リビングスペースと居室が分かれている1LDKや1DK、居室が2部屋確保できる2K、2DK、2LDKの間取りがおすすめです。それぞれの特徴を捉えて、自分に合った間取りを見つけましょう。
都心部で55㎡以上の部屋だと、家賃も10万円以上になるのが一般的です。広さを求めて当初の予算を大きくオーバーすると、その後の生活が苦しくなってしまいます。部屋自体はそこまで広くなくても、ものをできるだけ少なくすることで、広々と使うことは可能です。まずは持ち物を見直して、そこから逆算して部屋の大きさを決めていく方法も有効です。
二人暮らしにおすすめの間取り1:1LDK
1LDKは、8畳以上の広さのキッチンと居室という間取りです。キッチンスペースは、ダイニングテーブルに加えてソファなどを置くだけのゆとりがあり、リビング・ダイニングとして使えます。
生活スペースとしてくつろぐ部屋と寝室を完全に分けられるのが魅力で、二人暮らしに人気の間取りです。築浅の物件に1LDKの間取りが多い傾向があり、築浅にこだわりたい場合は、物件選びの選択肢も広がりそうです。
1LDKのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<1LDKのメリット>
・物件数が多く、築浅の物件も多いので、気に入った物件を見つけやすい
・LDKが広いので、ソファなど大きめの家具が配置しやすい
・2人で過ごす時間が長くなり、コミュニケーションがとりやすい
・2LDKの間取りと比べると、家賃が安く二人暮らしを始めやすい
<1LDKのデメリット>
・プライベートな時間や空間が作りづらい
・就寝時間などの生活サイクルが違うと、部屋が分けられないのでストレスを感じやすい
・二人暮らしには収納スペースが少ない場合がある
・テレワークをするスペースが確保しにくい
1LDKがおすすめの人
1LDKは、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)部分をくつろぎの場所として、居室部分を寝室として使うのが一般的です。就寝時以外はLDKでいっしょに過ごすことになるので、2人の時間を多く取りたい場合や、2人の生活サイクルが似ているカップルにおすすめです。
一方で、プライベートな空間は作りづらいので、1人の時間を大切にしたい人や、出勤・帰宅時間が大幅に違うなど、生活サイクルが違うカップルには向いていません。また、仕事や趣味に集中できるスペースも作りづらいので、テレワークをする人や趣味の時間を大切にしたい人にも、やや不向きといえます。
金銭面では、2LDKの間取りと比べると家賃が安い傾向があるので、家賃を節約しつつ二人暮らしを始めたい人におすすめです。1LDKは1990年代から主流となった間取りで、新築や築浅の物件も多いので、築浅であることを重視したい場合には、気に入る物件を見つけやすいメリットもあります。
二人暮らしにおすすめの間取り2:1DK
1DKは、4.5畳以上8畳未満のキッチンと居室という間取りです。基本的には一人暮らし向きの間取りですが、キッチンが比較的広く、ダイニングテーブルも置ける間取りであれば、2人で住むことも可能です。
1DKのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<1DKのメリット>
・二人暮らし向けの間取りの中でも、特に家賃が抑えられる
・2人で過ごす時間が長くなり、コミュニケーションがとりやすい
<1DKのデメリット>
・二人暮らしにはやや狭い間取りなので、プライベートな時間や空間がとりにくい
・二人暮らしには収納スペースが少ない
・「2人入居不可」の物件がある
1DKがおすすめの人
1DKは、ダイニング・キッチン(DK)部分を食事の場所、居室部分を寝室として使うのが一般的です。家にいるあいだは常にいっしょに過ごすことになるので、1人の時間がなくても苦にならない人、2人の時間を多く取りたい人や、生活サイクルの似ている人におすすめです。
1DKは築年数が古い物件が多いこともあり、ほかの間取りに比べて家賃を安く抑えられるので、家賃を節約して貯金などに回したい人にも向いています。
一方で、1人の時間を持ちたい人や自宅で仕事をする人、趣味に没頭したい人などは、1DKだと窮屈さやストレスを感じる可能性が高いので、ほかの間取りを選ぶとよいでしょう。収納スペースも比較的小さいため、荷物が多いカップルにも不向きです。
二人暮らしにおすすめの間取り3:2K・2DK
2Kは、6畳未満のキッチンに居室2つの間取り。2DKは、6畳以上10畳未満のダイニング・キッチンに居室2つという間取りです。居室が2室あるので、片方を書斎や趣味の部屋、片方を寝室とすることもできますし、2人それぞれの居室とすることもできます。
2Kと2DKのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<2K・2DKのメリット>
・1DKや1LDKに比べて収納が充実している
・2人それぞれのプライベートな時間・空間を確保しやすい
・2LDKと比べて家賃が比較的安い
<2K・2DKのデメリット>
・築年数が古い物件が多い
・K(キッチン)、DK(ダイニング・キッチン)の広さによっては手狭に感じる
2K・2DKがおすすめの人
2K・2DKは、キッチン部分に加えて居室が2部屋あるので、個人の空間を確保しやすい間取りです。築年数が古い物件が多く、家賃も比較的安めなことが多いので、家賃を抑えつつ、それぞれのプライベート空間を持ちたいカップルに向いています。
一方、K(キッチン)またはDK(ダイニング・キッチン)の共有部分は手狭になりがちなので、2人でいっしょにゆったりとくつろぎたいカップルにはあまり向いていません。また、築浅にこだわりがある人や設備の古さが気になる人にもやや不向きといえます。
二人暮らしにおすすめの間取り4:2LDK
2LDKは、10畳以上の広さのリビング・ダイニング・キッチン(LDK)と居室2つの間取りです。LDKは広々とくつろいで過ごすスペースとして、居室2つはそれぞれの個室にすることもできますし、片方を寝室、片方を趣味部屋にすることもできます。
二人暮らしにとって汎用性が高く、使いやすい間取りで、将来的に家族が増えても、居室の片方を子ども部屋にするといった対応も可能です。
2LDKのメリット・デメリットとしては、下記のようなものがあります。
<2LDKのメリット>
・物件数が比較的多く、気に入った部屋を見つけやすい
・2人でそれぞれの個室を確保できる
・LDKが広く、ソファを置くなどレイアウトの自由度が高い
・将来的に家族が増えても対応できる
<2LDKのデメリット>
・ほかの二人暮らし向けの間取りに比べて家賃が高い
・広い分、掃除の手間がかかる
・光熱費が高くなりがち
2LDKがおすすめの人
2LDKは、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)に加えて居室が2部屋ある広々とした間取りです。LDK部分は2人でくつろぐ場所として十分な広さがあり、部屋のレイアウトや、好きなインテリアを置くなど楽しむことができます。居室をそれぞれの個室にしてもよいですし、片方を寝室、片方を趣味部屋や仕事部屋とすることもできます。
ただし、家賃が高めなので、経済的にゆとりがあり、いっしょに過ごす時間もプライベートの時間も大切にしたいカップル向きです。将来家族が増えた場合は、居室を寝室と子ども部屋にすることもできるので、子どもを持つ予定がある人にもおすすめです。
2LDKは、工夫次第で柔軟に部屋の使い分けができるのでとても便利です。たとえば、LDK部分と居室1をつなげて、かなりゆったりとした1LDKとして使うこともできます。一緒に住んでいくうちに個々のプライベート空間が欲しくなる場合や、子どもが生まれた場合など、将来を見越して2LDKを選ぶのもよいでしょう。
同棲が初めてのカップル・新婚夫婦の二人暮らしにおすすめの間取り
同じ二人暮らしでも、同棲が初めてのカップルと、これから結婚生活をはじめる新婚夫婦では、おすすめの間取りが変わってきます。ここでは、それぞれにおすすめの間取りを見ていきましょう。
同棲が初めてのカップルにおすすめの間取り:1DK・1LDK
初めての同棲で、なるべく家賃や初期費用を抑えたいカップルなら、家賃相場が比較的安くなる1DKや1LDKの間取りがおすすめです。相手と同じ空間で顔を合わせる時間が長くなるので、コミュニケーションもとりやすいでしょう。パートナーとの時間を長くとりたいカップルに向いています。
新婚夫婦におすすめの間取り:2LDK
新婚夫婦におすすめの間取りは2LDKです。2部屋に加えて広めのリビングスペースがあるため、家族や友だちを招きやすい間取りになっています。また、クローゼットなどの収納設備が比較的充実しているので、結婚生活で徐々に荷物が増えても、収納が足りなくなるという心配が少ないのも魅力です。
居室が2部屋あることで、寝室以外に書斎を作ったり、趣味の部屋を作ったりと、ライフスタイルに合わせたゆとりのある生活を送ることができます。
間取りの種類は同じでも、部屋の大きさは1部屋ごとに異なります。図面を見て、間取りから使い方のイメージを膨らませるのは大切なことですが、もっと大事なのは、内見に行って、実際に各部屋をメジャーで計測することです。各部屋を予定していた用途で使えるかどうか、部屋の導線や部屋の形などといっしょに、細かくチェックしましょう。
二人暮らしの部屋探しのポイント
二人暮らしの部屋探しでは、お互いの性格やライフスタイル、生活サイクルを考えたうえで、どのような部屋がよいのかをよく話し合うことがポイントです。特に注意したいのは次の3つの観点です。
ライフスタイルに合うエリア選び
郊外のほうが家賃は安くなりますが、その分、通勤時間などの負担は大きくなります。2人とも出社のある勤務先で働いている場合は、それぞれの通勤時間が30分程度になることを目安に、エリアを選ぶのがおすすめです。どちらかの通勤時間が極端に長いと、不満のもとになります。駅周辺の買い物施設が仕事帰りにも営業しているかや、最寄り駅からの夜道の明るさなどもチェックしましょう。
二人暮らしに必要な設備を確認
二人暮らしをするなら、設備として「バス・トイレ別」「独立洗面台」は必須といえます。キッチンのコンロは2口以上がおすすめです。2人分の荷物が入るだけの収納があるかも重要なので、物件探しの際にしっかりと確認しておきましょう。
譲れない・妥協してもよい設備や条件のすり合わせ
譲れない条件と、妥協してもよい条件のすり合わせは、物件探しの最初にしっかりと話し合っておくことが大切です。たとえば、片方が譲れない条件として「プライベートな空間」を挙げるなら、1DKや1LDKの部屋は候補から外れます。
しかし、譲れない条件が多すぎると予算をオーバーしがちなので、2人で3~5つ程に絞ってから、部屋を探すとスムーズです。
まとめ
2人で仲良く、快適に暮らしていくには、2人の性格やライフスタイルに適した部屋を選ぶことが大切です。
まずは譲れない条件と妥協してもよい条件についてしっかり話し合ったうえで、それぞれの間取りのメリット・デメリットを踏まえて、自分たちの暮らし方に合う部屋を探してみてください。
監修者プロフィール
- 高野 友樹
- 公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
不動産会社にて600件以上の仲介、6000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。現在は株式会社高野不動産コンサルティングを設立し、不動産コンサルティングを行う。