同棲を始めるベストタイミングは?
同棲の前に確認しておきたいこと
最終更新日:
- 矢野 翔一
- 2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
- 同棲を始めるベストなタイミングは?
- 交際期間「1年〜2年以内」の間に同棲を始めたカップルが最も多いようです。しかし、この割合がほかと比較して極端に多いわけではないため、結婚を意識し始めたときや転勤・引越しが必要になったときも同棲を始めるタイミングとして適しているものと考えられます。
「大好きな人と一緒に暮らしたい」「一緒に住みながら結婚の準備を進めていきたい」
このような想いから、パートナーとの同棲を考えている人もいるでしょう。
一方で、これまで別々に暮らしていた中でどのようなタイミングで同棲を始めるべきなのか、きっかけがつかめないという人もいるのではないでしょうか。
また、同棲を始めるにあたっては物件の選び方などに少なからず不安もあるでしょう。
そこで今回は、同棲を始めるベストなタイミングとともに、同棲する前に確認しておきたい点や物件選びのポイントを解説します。
同棲を始めるベストなタイミングは?
同棲は2人でするものなので、お互いに「一緒に暮らしたい」と考えていることが大事なポイントです。それをふまえて、同棲を始めるベストなタイミングを考えてみましょう。
どのタイミングで同棲する人が多い?
アンケートで聞いた 交際からどれくらいの期間で同棲を始めた?
同棲経験のある20代~30代の男女654人にアンケートを行ったところ、交際を始めてから同棲開始までの期間は3年以上がもっとも多い結果となりました。
※対象者:全国の同棲経験のある20代~30代男女654人 調査時期:2024年1月
一方、半年未満で同棲を開始した割合も合計するとおよそ3割ほどで、決して少なくないようです。
同棲を始めるきっかけ
続いて、同じ同棲経験者に同棲を始めたきっかけについても聞いてみました。
アンケートで聞いた 同棲を始めたきっかけは?
結婚を意識し始めたら
同棲を始めるベストなタイミングのひとつに、「お互いに結婚を意識したとき」があります。プロポーズや婚約の後であれば、お互い結婚の意思が確認できているため、安心して同棲を始められるでしょう。結婚前に多くの時間をともに過ごすことで、結婚式の打ち合わせも進めやすく、結婚後の生活をイメージしやすいというメリットがあります。
どちらかの転勤・引越しのタイミング
どちらか一方の就職や転勤、独立や賃貸住宅の更新なども、同棲を始めるよいタイミングになります。「どうせ引っ越すなら2人で住める家を探そう」という考えに至りやすく、節目や結婚前提というきっかけがなくても同棲がスタートするケースです。
同棲する前に確認しておきたいポイント
事前に何も確認せず軽い気持ちで同棲を始めると、後々もめてしまう可能性があります。同棲する前に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。
二人暮らしに適した間取りや広さ
同棲は、どのような間取りの部屋でも可能です。とはいえ、どちらか一方にでも「プライベートの空間が欲しい」「寝室とリビングは分けたい」という意向があれば、ワンルームは避けるのが無難。窮屈に感じ始めて、結局、同棲解消となってしまう可能性があります。1LDKや2K〜2LDKの物件を探すのがよいでしょう。
全体的な間取り以外に注目したいのがバス・トイレです。一人暮らしではバス・トイレが一緒の間取りでも問題ありませんが、二人暮らしでは、バスとトイレを使うタイミングが重なり不便に感じることがあります。予算が許すのであればバス・トイレ別物件がおすすめです。
国土交通省の定める二人暮らしの最低居住面積水準は「30m²」とされています。30m²とは、16畳強。一方、豊かな住生活を求めるなら、都市部では「55m²(30畳強)」、郊外や地方では「75m²(41畳強)」以上の面積が必要とされています。
同棲を始めるための初期費用
賃貸住宅の初期費用 | 費用相場 |
---|---|
敷金 | 賃料の1ヵ月分 |
礼金 | 賃料の1ヵ月分 |
前払い賃料 | 賃料の1〜2ヵ月分 |
仲介手数料 | 賃料の1ヵ月分 |
火災保険料 | 5000円〜1万円程度 |
保証金 | 賃料の1ヵ月分 |
出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」をもとに作成
賃貸物件を借りるときの初期費用の内訳と相場は、上記のとおりです。総額は、月額賃料の5〜6ヵ月分ほどになります。また、これらの費用に加え、引越し費用や家具・家電の購入費用も別途必要です。
同棲に適した間取りや広さの物件を探す際には、まず「個室が欲しいか・必要か」という点を話し合ってみましょう。最近では、テレワーク中心の方も多いでしょう。その場合、寝室やリビングの他に、小さくても集中できる部屋が1つあると重宝するものです。部屋が少ないほうが賃料が安いとも言い切れませんので、まずは検索条件を絞り込みすぎずに物件探ししてみましょう。
これだけは決めておくべき!同棲のルール
開始する前は期待が大きい同棲ですが、いざ始めてみると、価値観や生活スタイルの違いからパートナーと揉めてしまうことも珍しくありません。
揉めた原因をアンケートしたところ、以下のような結果が見られました。
アンケートで聞いた 同棲中にパートナーと揉めた原因は?
やはり揉める原因で多いのは、お金の問題や家事・生活スタイル。
同棲後に失望してしまうことのないよう、事前にルールを決めておくとよいでしょう。
お金の管理と生活費の負担割合
生活には、当然ながら住居費や食費、光熱費などさまざまな費用がかかります。お互いの交通費や交際費は各々が負担するとしても、生活費については負担割合や管理方法についてルールを設けておいたほうがよいでしょう。
方法は1つではありません。すべての生活費を折半する方法もあれば、家賃は彼氏、生活費は彼女など、項目別に分けることもできます。共有の財布や口座を作り、不足分をお互いが充当するといった管理方法もあります。どの方法がよいということはないため、話し合ってお互いが納得できる方法を決めていきましょう。
家事の分担
生活する中で欠かすことのできない家事。自分のことは自分でやるとしても、共有スペースの掃除や食器の後片づけ、洗濯や料理など「二人のための家事」の分担はあらかじめ決めておいたほうがお互いストレスなく生活できます。
「できる人がやる」とするのもよいですが、その認識を揃えておくことが重要です。どちらか一方に負担が偏ることがないようにしましょう。
お互いが許せないことの共有
同棲すると、それまでわからなかった相手の癖や生活スタイルが見えてくるものです。
たとえば「バスタオルは必ず毎日洗いたい」という人もいれば「1回で洗うなんてもったいない」と考える人もいます。同様に「食事をした後はすぐに食器を洗いたい」のか「ある程度溜まってから片づければいい」のか。「休日は目覚ましをかけずに寝たい」のか「休日だからこそアクティブに動きたい」のか。
その中でも自分にとって「これは許容できない」と思う行動を相手がとっていると、そこがストレスになり一緒に生活するのが苦になってしまうこともあります。
お互いに許せないことを把握しあい、尊重しながら生活をしていくことが大切です。
同棲する部屋の選び方
一人暮らしするときは、自分の好みや自分にとって利便性の良い場所から物件を探せばよいですが、二人暮らしとなるとそうもいきません。同棲するとなると、生活スタイルも大きく変わることでしょう。同棲する部屋を選ぶときには、次のようなことを起点に、2人での暮らしをイメージすることが大切です。
場所で決める
同棲するエリアは、お互いの勤め先や学校の場所を考慮したうえで決めるようにしましょう。とはいえ、必ずしも中間地点がいいとは限りません。電車の乗り換えや急行停車駅かどうかなども考慮して「距離」ではなく通勤・通学にかかる「時間」からベストな場所を導き出すことをおすすめします。
家賃で決める
生活を圧迫しない適正な家賃は、手取り収入の1/3〜1/4程度といわれています。
給料に対する適切な家賃は?一人暮らし・二人暮らしの目安を解説!
ただ、この目安は一人暮らしにも当てはまるため、二人暮らしであればこの割合をもう少し下げることも可能でしょう。光熱費や食費も、一人暮らしよりは増えるとしても2倍になることはそうそうありません。同棲が結婚前提のものであれば、結婚に向けた貯蓄も必要です。収入だけでなく、出費や貯蓄したい額も想定したうえで予算を決めましょう。
周辺環境で決める
同棲後にイメージしているライフスタイルや2人の好みによって、適した環境は異なります。
たとえば、2人とも帰宅時間が遅くなりがちなカップルなら、24時間営業のスーパーやコンビニが近隣にあると便利です。毎日電車で出勤するカップルなら駅から近い物件に利便性のよさを感じるでしょう。
同じ駅だったとしても、駅からの距離によって周辺環境が大きく異なることもあります。物件選びをするときは、実際に候補となる街を2人で歩き、暮らしをイメージしてみることも大切です。
ここで挙げられている「場所」「家賃」「周辺環境」は、いずれも物件選びにおいて重要な項目です。しかし、希望条件をすべて満たす物件は、そう簡単に見つかるものではありません。大切なのは、住まいに求める優先順位を決めることです。
まとめ
交際期間「1年〜2年以内」というタイミングで同棲を始めるカップルが最も多いようですが、ベストなタイミングは2人の気持ちや状況次第だといえるでしょう。どのようなタイミングだとしても、ストレスのない快適な同棲生活を送るためには、生活するうえでのルールを決め、お互いの生活や好みに配慮して物件を選ぶことが大切です。
監修者プロフィール
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。