同棲カップルはお金の管理をどうしてる?
アプリ?クレジットカード?上手な家計管理方法は
最終更新日:
- 矢野 翔一
- 2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者/有限会社アローフィールド代表取締役社長
- 同棲カップルのお金の管理はどうするべき?
- 同棲においてお金の管理はしっかりルールを決めておきたい部分です。どちらか一方に負担がかかってしまったり、金銭感覚の相違から仲違いに発展したりすることのないよう、双方が納得できるルールを作ったうえで管理しましょう。キャッシュレス決済やクレジットカード払いは履歴が残るので管理しやすくおすすめです。家計管理アプリを活用するのもよいでしょう。
大好きなパートナーと暮らす同棲生活。できることなら、争いごとやストレスなく生活したいものです。
同棲カップルの関係を悪化させてしまう要因のひとつに「お金」の問題が挙げられます。幸せな同棲生活を送るためにも、お金の管理方法やルールについてはあらかじめよく考えておきましょう。
約4割のカップルがお金で揉めた経験あり
同棲を経験したことのある男女654人を対象としたアンケートでは、同棲中、お金に関わることでパートナーと揉めた経験がある人の割合は39.1%。およそ4割にのぼりました。
※対象者:同棲を経験したことのある全国の20代~60代男女654人 調査時期:2024年1月
同棲カップルにおいて、お金のトラブルは決して珍しくない問題といえそうです。
アンケートで聞いた 同棲中にパートナーとお金で揉めたことはある?
- ある…39.1%
- ない…60.9%
同棲のお金の管理でよくあるトラブル
同棲カップルの間で起こりがちなお金のトラブル。具体的にどのような問題が出てきやすいのでしょうか。
何にいくらお金を使っているかわからない
二人で使うお金を管理しておらず、お金が必要になった局面ごとに異なる対応をしていると、何にどれくらいのお金を使っているのかわからなくなってしまいます。
一人暮らしであればお金の出どころは必ず自分ですが、二人暮らしでは出どころはふたつ。どちらがどの程度、負担しているのかわからなければ、相手への不信感や浪費の要因になってしまいます。
どちらかに負担が偏ってしまう
お金の管理が不十分だと、二人の費用負担のバランスがどちらかに偏ってしまいがちです。
たとえば、賃料や光熱費が引き落とされる口座の所有者の負担が大きくなってしまったり、主に食材を購入するほうの出費が増えてしまったりすることが懸念されます。
2人の金銭感覚が合わない
同棲すると、それまでわからなかった相手の癖や性格が見えてくるものです。金銭感覚もそのひとつ。
食事やデートの費用を負担してもらっていたときは「やさしい人」「ありがたい」と思えていたかもしれませんが、一緒に生活し始めると、外食や自分以外との交際費用が「浪費」に感じられてしまうこともあります。
同棲中のお金の管理方法を決めるのは、できるだけ物件選びの前に済ませて置きたいものです。それは、家賃の予算が明確になるから。自分が月々どれくらいの生活費を負担すればいいのかわかれば、賃料として出せる予算も明確になります。
お財布は分ける?合算?それぞれのメリット・デメリット
同棲中に揉めがちな、費用負担の割合。家賃や光熱費といった共通の費用をどう分けるか、方法としては大きく次の3つがあります。
・お互いの収入を合算する
・毎月決まった金額を出し合う
・項目ごとに支払う担当を決める
どの方法がベストかは、人により異なります。お互いの意向や性格とともに、それぞれの方法のメリット・デメリットを把握したうえで自分たちに合った方法を決めていきましょう。
収入を合算するメリット・デメリット
二人の収入をすべて合算して一元管理すれば、お金の管理はしやすくなります。結婚後はこの形で管理する夫婦も多いため、結婚を見据えている場合は選択肢のひとつになってくるでしょう。
しかし、同棲中はまだ他人です。あまり考えたくありませんが、同棲を解消する場合は、二人のお金の分け方で揉めるリスクがあります。
決まった金額を出し合うメリット・デメリット
毎月、お互いが決まったお金を出し合うスタイルなら、公平性が保たれやすく、自分の好きなように使えるお金が残るというメリットがあります。
ただこの方法だと、2人の貯蓄は溜まりにくいものと考えられます。結婚資金を貯めるなど何か目的がある場合は、貯蓄分も考慮したうえで毎月、出し合う金額を決めましょう。
支払い担当を決めるメリット・デメリット
「家賃や光熱費は私」「食費はあなた」など、項目によって支払う担当を分ける管理方法は、収入差があるカップルにおすすめです。自分の好きなように使えるお金も残るため、ストレスは溜まりにくいでしょう。
ただ、この場合も二人の貯蓄はしにくいといえます。必要に応じて、生活費とは別の貯蓄用の口座を作り、決まった金額を入れるなどルールを決めることも検討しましょう。
実際のカップルが選んでいる配分方法は?
先ほどと同じ同棲経験者に、同棲中の費用の分配について聞いたところ、以下の結果となりました。
合算や決まった金額を出す、担当を決めるといった分配をしているカップルのほか、特に決めていないというカップルも一定数いることがわかります。合算や決まった金額を出す、担当を決めるといった分配をしているカップルのほか、特に決めていないというカップルも一定数いることがわかります。
自分たちにとってよい方法を、ふたりで話し合って決めるのがベストですね。
アンケートで聞いた 同棲中、かかる費用はどう配分していた?
- お互いの収入を合算…24.3%
- 決まった金額を毎月出し合う…27.7%
- 家賃・食費などで支払う担当を決める…19.7%
- その他…1.2%
- 特に決めていない…27.1%
同棲におすすめのお金の管理方法
「お金の出し方や負担方法」と「お金の管理」はまた別問題です。出どころや負担割合を明確にしたうえで、何にどれくらいの出費があるのか把握できていたほうが、不信感を募らせたり、浪費してしまったりするリスクを低減できます。
以下に、おすすめの管理方法を紹介します。
(1)アプリを使う
「家計簿をつける」というのもお金の管理方法のひとつですが、レシートをかき集めて手書きで記入したり、エクセルに打ち込んだりするのは手間。そこでおすすめなのが、家計管理アプリを使うことです。
アプリによって使用方法は異なりますが、レシートをスマホのカメラで撮影すると自動で項目に分けて出費を入力してくれたり、収支のグラフを生成してくれたりと、便利な機能が搭載されているアプリは多数。家族やカップルで共有する機能がついているアプリもあります。使用感や必要な機能に応じて選び、活用してみましょう。
(2)キャッシュレス決済中心にする
アプリを使わなかったとしても、キャッシュレス決済を利用すれば履歴が残るため、何にいくら使ったか把握することができます。
キャッシュレス決済の中には、個人間で送金ができる機能が付帯されているものもあります。毎月決まったお金を相手に支払うような場面でも、キャッシュレス決済は便利です。
また、キャッシュレス決済の多くは利用金額に応じてポイントが付与されるため、現金決済よりお得だといえます。
(3)生活費用のクレジットカードを作る
二人の生活費をクレジットカードで払うというのも選択肢のひとつです。クレジットカードも何にいくら使ったか履歴が残るため、家計管理がしやすいでしょう。また、登録したクレジットカードと連携できる家計管理アプリもあるため、支払いも管理もワンストップとすることが可能です。
ただし、同棲しているとはいえ、他人同士のカップルは基本的に「家族カード」を作ることはできません。クレジットカードを使う場合は、各々の名義のカードを使うことになるでしょう。
お金の管理方法を決めるうえで留意していただきたいのが、実際に生活し始めると、予想外の出費が生じる可能性があるということです。たとえば、一方が家賃、一方が生活費を負担すると決めたとしましょう。家賃は住んでから増額することは稀ですが、生活費は大きく変動するものであり、思った以上に食費や光熱費がかかってしまうこともあります。このような場合にどう調整するのかについても、あらかじめ話し合っておくことをおすすめします。
まとめ
同棲前にお金の管理方法やルールを決めておくことは、同棲中のトラブルや浪費を避けるために非常に大切です。「この人なら大丈夫」と思っていても、いざ一緒に生活してみると、それまで気がつかなかった性格や感覚の違いが見えてくることもあります。
異なる環境で育ってきた人間同士、価値観の差がないほうが珍しいでしょう。お金に対する考え方の違いは多かれ少なかれあるものと認識し、相手を尊重しながら話し合いを重ねることで2人の仲はより一層深まるはずです。
監修者プロフィール
- 矢野 翔一
- 関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。