オートロックは安全?意味ない?
知っておきたいデメリットも解説
最終更新日:

- 亀梨 奈美
- 不動産ジャーナリスト/株式会社real wave代表取締役
- マンションのオートロックとはどのような設備ですか?
- オートロックは、ドアが閉まると自動でロックがかかるシステムです。開錠方法には、集合キーやスマートキー、指紋認証、顔認証、カードキーなどがあります。鍵の閉め忘れによる部外者の侵入や、家に鍵を閉めに帰ることになるリスクを軽減できます。ただし、部外者の侵入を完全に防げるものではありません。メリットとデメリットを理解して、オートロックの必要性について考えることが大切です。
警視庁によると、住宅侵入窃盗は減少傾向にあるものの、令和4年の時点で1日約43件も発生しています。セキュリティ対策が甘い物件が狙われやすいため、防犯を気にする人にとっては、オートロックは物件選びの条件の1つになるでしょう。
ただ、オートロックは鍵の閉め忘れのリスクがないものの、それだけで侵入を防止できるとは限りません。
ここでは、オートロックは本当に安全なのかをテーマに、メリットやデメリット、注意点などについて詳しく解説します。
マンションのオートロックシステムとは?

マンションのオートロックシステムとは、ドアを閉めた際に自動でロックがかかる仕組みのことで、住戸の玄関ドアやエントランスに導入されています。
鍵を閉めるわずらわしさから解放されたり、鍵の閉め忘れによる部外者の侵入のリスクを軽減できたりと、さまざまなメリットがあります。
オートロックの種類

オートロックを開ける方法には、バリエーションがあります。オートロックの種類とそれぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
集合キー式
集合キー式は、住戸の玄関ドアと同じ差し込み型の鍵でエントランスのオートロックを開錠するタイプです。1つの鍵の管理で済むため、鍵を忘れてマンションに入れなくなるリスクを軽減できます。しかし、1つの 鍵でエントランスと住戸の玄関ドアが開くため、落としたり盗まれたりすると侵入のリスクが大きく上昇します。
また、複製しやすいタイプの鍵であることも踏まえると、セキュリティレベルは低めといえるでしょう。
暗証番号式
暗証番号式は、あらかじめ配付された暗証番号をテンキーに入力すると、開錠するタイプです。紛失や複製のリスクがないものの、入力するところをのぞき見される恐れがあります。また、暗証番号を忘れたり、複 数回間違えてロックがかかったりするリスクもあるため、使い勝手が良いとはいえません。
カードキー式
カードキー式は、カードリーダーに通して使う磁気カードかセンサーにかざして使う非接触ICカードで開錠するタイプです。非接触式ICカードはカードケースやバッグに入れたまま利用できるため、スムーズに解錠 できます。ただし、紛失や破損、磁気不良によってマンションに入れなくなるリスクがあります。
指紋認証・顔認証式
指紋認証・顔認証式は、指紋や顔をセンサーが感知し、登録情報と合致した場合に開錠するタイプです。複製や紛失のリスクがないうえに、鍵やカードキーをバッグから取り出す手間もかかりません。ただし、指紋 認証は乾燥しがちな冬、手荒れがあるときなどには読み取れない場合があります。そのため、指紋認証ができなかった場合に代わりの方法で開錠できるものが望ましいでしょう。
スマートキー式
スマートキー式は、スマートフォンアプリを利用して開錠するタイプです。アダプターを接続して遠隔操作をできるようにすると、鍵を閉め忘れた際に自宅へ戻る必要がなくなります。また、鍵の開錠履歴を確認で きるため、侵入されたことがわかります。
ただし、スマートフォンの故障やアプリの不具合などで開錠できなくなるリスクがあります。念のため通常の鍵も持ち歩くことが大切です。

オートロックシステムに限ったことではありませんが、マンションに設備や機能を導入するにはお金がかかります。最先端かつ高セキュリティのオートロックシステムは魅力的ですが、その分、導入費用も高額であり、賃料や分譲価格に転嫁される金額も高くなります。
オートロックのメリット

オートロックは、鍵の閉め忘れの心配がなくなるだけではなく、セキュリティ上のさまざまなメリットがあります。オートロックのメリットについて、詳しく見ていきましょう
部外者が侵入しづらい
マンションは複数人が出入りするうえに住民全員の顔を覚えることは難しいため、部外者の侵入に気づくことは困難です。マンションのエントランスにオートロックが設置されたマンションは、鍵を持っている住人 、もしくはインターホンを鳴らして住人に開錠を許可された人しか出入りできません。部外者が侵入しづらいため、被害にあうリスクを抑えることができます。
訪問営業なども受けにくい
オートロックマンションは、エントランスでインターホンを鳴らして、住民が開錠しなければ入ることができません。そのため、不要な訪問営業や勧誘などを断りやすいでしょう。玄関まで来てしつこくインターホ ンを鳴らされる心配もありません。
空き巣に狙われにくい
警察庁の「令和4年の刑法犯に関する統計資料」によると、2022年の空き巣の認知件数は10553件で、そのうち鍵を閉めていないことが原因の事件は4145件ともっとも多い結果となっています。
エントランスと玄関がオートロックの場合、空き巣は2つのドアを開錠する必要があるため、侵入に時間がかかります。侵入に時間がかかると他の住人に見つかるリスクが高まるため、侵入対象として避ける傾向があります。
オートロックのデメリット

オートロックは、空き巣の侵入や鍵の閉め忘れなどのリスクが低くなる一方で、使い勝手の面でさまざまなデメリットがあります。オートロックのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
鍵を無くしたらマンションに入れなくなってしまう
鍵やカード、スマートフォンなど、オートロックの開錠に必要なものを紛失すると、マンションに入れなくなります。家族が家にいればインターホンを鳴らして開けてもらえますが、一人暮らしの人や共働き家庭の
人は家に誰もいないために入れなくなる可能性が高いでしょう。
ただ、これはオートロックに限らず一般的な鍵でも同じことなので、オートロックならではのデメリットというわけではありません。
スマートキーは電池切れに注意
スマートキーは、ドアに取り付けるデバイスの電池が切れると使えなくなります。電池切れマークが点滅したりブザーで通知されたりした際は、なるべく早く電池を交換しましょう。一般的には、電池切れの通知が あってから数十回はスマートキーを利用できます。
仮に電池が切れたとしても、非常用シリンダーか通常の鍵を使えば開錠できるため、締め出される心配はありません。
過信は禁物!部外者が侵入できないわけではない
オートロックだからと言って、部外者が絶対に侵入できないわけではありません。エントランス以外に侵入経路がないか、事前に確認しましょう。たとえば、電信柱を登って2階の廊下に降りたり 、住人が開錠したタイミングで後ろから何食わぬ顔で侵入したりするケースがあります。
また、住人の誰かが知人に暗証番号を教えてしまい、関係性がなくなった後にストーカー目的で侵入するケースも珍しくありません。住人の数が多くなるほどに、オートロックを突破されるリスクが高まります。
安全性の高いオートロックマンションを見分けるポイント

オートロックがあるからセキュリティ性が高いと判断するのではなく、他の侵入経路や管理体制などを総合的に見て、安全性が高いオートロックマンションを見分けましょう。オートロックマンションの安全性は、 次のポイントから見分けることができます。
オートロックの誤作動対策はされているか
オートロックは誤作動する可能性があります。誤作動の種類は、条件を満たしていないのに開錠する、ドアの隙間に異物を差し込むことでセンサーが検知してドアが開くなどです。オートロックの仕組みを理解して いる人物は、誤作動を誘発させて突破することもあるため、誤作動対策を施されているか確認しましょう。
共用入り口以外から侵入される心配はないか
裏口や窓などはオートロックではないため、容易に侵入される可能性があります。裏口に防犯カメラがついていたとしても、その場で侵入を検知できるわけではないため、セキュリティ対策が十分とは言えません。 特に、人通りが少ない路地に面している場合は、格好の侵入経路になります。
また、塀をよじ登ったり、電信柱をつたって上階に降りたりすることも考えられます。共用入り口以外の侵入経路を確認し、侵入されるリスクについて総合的に判断しましょう。
管理体制や防犯カメラの有無も確認
マンションを誰がどのように管理しているのかを把握することも大切です。中には、マンションの1階に管理会社が入っており、頻繁に出入りするマンションもあります。また、共用部分の清掃をこまめに行っているマンションも人目につきやすいため、空き巣が侵入しにくいでしょう。
そのほか、防犯カメラの有無や設置場所の確認も必要です。エントランスやエレベーター、廊下など、なるべく多くの箇所に防犯カメラが設置されているオートロックマンションを選びましょう。ただし、防犯カメラは抑止力になるものの、その場で侵入を検知できるわけではないため、他のセキュリティ対策も重視する必要があります。

有人管理や清掃業者への委託についても、魅力的な管理体制であるものの、無料で管理人や清掃業者を雇えるわけではありません。マンションは住人から徴収される管理費によって管理されているため、管理体制の良し悪しとともに、管理費との整合性も併せて確認するようにしましょう。
まとめ
オートロックマンションはセキュリティ性が高いものの、部外者の侵入を完全に防ぐことはできません。自分にとって最適なオートロックマンションを選ぶために、今回ご紹介したメリットやデメリット、注意点を 意識して物件を探してみてください。
監修者プロフィール

- 亀梨 奈美
- 株式会社real wave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年に株式会社real wave設立。不動産全国紙の記者として、不動産会社や専門家への取材多数。
「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに執筆している。
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